2007年4月29日(日)放送
神奈川県葉山町太田邸
− コルビュジエに憧れて・・・ ピロティのある家 −
2006年12月完成
敷地面積 100平米 (30坪)
建築面積 60平米 (18坪)
延床面積 133平米 (40坪)
木造+1階RC造
建築費:3646万円
坪単価:67万円



1階を柱だけで支える事で出来るピロティという空間。 多目的に使えるスペースです。

曇りガラスのあかるい玄関。 正面には、勝手口があります。

部屋の一面が窓という、開放的な子供部屋。西側は、デッキで繋がっています。塩害対策の雨戸は、海から近い立地を考えての事です。

2階は他に、水回りと寝室。 雨戸を閉めると、デッキ部分が延長した部屋のように感じられます。

3階はLDK。階段上部は、3mの吹き抜け。トップライトからの光が降り注ぐ気持ち良い空間です。

細長く連なる窓からの光を受けるキッチン。 3mの直線を生かしたスタイリッシュな設計です。

キッチンの奥はリビング。 LDKの中央は、およそ4畳の収納。3階がすっきり見えるのは、便利な収納のおかげです。

ご主人がどうしてもほしかったという屋上。 葉山の山、海が眺められます。

太田 圭一 (おおた けいいち)
プロフィール
基本設計・実施設計・工事監理
太田 圭一 おおた けいいち
1986.03   湘南工科大学電気工学科 卒業
1986.04   葉山町勤務
1992.03   関東学院大学第工学部二部建設工学科建築系卒業
2003.04   関東学院大学工学部建築学科非常勤講師
 
実施設計
大友 晃毅 おおとも こうき NDP-associates
1986.03   早稲田大学理工学部応用化学科 卒業
1988.03   東京工業大学理工学研究科化学工学専攻 修了
1988.04   株式会社 リクルート 入社
1992.03   早稲田大学理工学部建築学科 卒業
1992.04   株式会社 山本理顕設計工場 入所
1992.11   在フランス
1993.05   株式会社 大高建築設計事務所 入所
2002.05   一級建築士事務所 NDP-associates設立
 
構造設計
江尻 憲泰 えじり のりひろ 江尻建築構造設計事務所
1986.03   千葉大学工学部建築工学科卒業
1988.03   千葉大学大学院修士課程終了
1988.04   青木繁研究室入所
1996.04   江尻建築構造設計事務所設立
1998.04   長岡造形大学非常勤講師
 
太田圭一
E-mail   vyq02470@nifty.com
大友晃毅
一級建築士事務所 NDP‐associates
TEL.   03-3320-8887
FAX.   03-3320-5847
URL   http://farm.main.jp
E-mail   farm@bk.main.jp
 
この住宅は弟の家です。身内の家の設計と建築は、思いのほか難航しました。計画途中での敷地の変更や予算などなど。設計は模型をつくり検討し行き詰ることの繰り返しで、その数50を超えました。敷地もじっくり観察、いろいろなヒントをもらいました。
  例えば、空き地・・・この敷地では、両側が隣家の専用通路、もちろん南面の道路も空き地です。次にまわりの家・・・海が西側にあり、西側に窓を持つ家が多いこと。周辺は大邸宅を細かく分譲した住宅地で、若いご家庭が多く、少子化って本当?と思わせるくらい子供の多いことなど。さらによく観ていると、昔のように、子供たちは他人の庭や玄関先を自由に行き来し、遊び場化し、空き地のオーナーになっていました。そこで、1階の駐車場=遊び場と考え、その周りを仲間に入れると、すごく広い遊び場になりました。
  ある大建築家は、「雨の日でも子供が退屈しないように、家の中は廻れるように」というお話がありますが、もちろん廻れます。2階は寝室などがあり、閉鎖的になりがちですが、西側に部屋いっぱいの窓と西日と風雨よけを兼ねた雨戸、その間のテラスで行き来でき、3階はキッチン、クローゼットなどが中心にあり、ぐるぐると廻ることに飽きるのが心配なくらいです。施主は「屋上テラスでバーベキューをしたい。海を見たい。花火を見たい」と熱望、多くの要望の中で唯一実現しましたが、あっという間に子供に占領されてしまいました。
  この家は施主の要望が実現していないのか?別名「おにいちゃんのさくひん」と呼ばれています。「おにいちゃんのさくひん」は完成してみると施主や「おにいちゃん」を飛び越え、姪や子供たちの格好の遊び場となっていて、今や「むすめのさくひん」になりました。これは施主にとって最大の要望だったと思います。
  この家の建築に関わった人達に感謝するとともに、長らく待たせた施主にお詫びと感謝。経済的な援助をおしまなかった両親に感謝します。
 
「自分の家を建てる」これは人生の中でも大きな夢の1つです。太田さんはその設計を兄に任せました。
太田邸にはフランスの建築家ル・コルビジュエが提唱した『近代建築の5原則』のピロティ、屋上庭園、自由な平面・立面、そして連なる窓という要素が至るところに見受けられます。
これは弟さんご夫婦、姪の菜々子ちゃんがどうすれば気持ちよく暮らせるか、考えに考え抜いた結果だったのではないでしょうか。壁に菜々子ちゃんの描いた絵を飾ったり、屋上でバーベキューしたり、とても充実しているように感じました。しかし、意外にも一番喜んでいたのは近所に住むお父さんだったそうです。