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2007年4月22日(日)放送 静岡県沼津市・植松邸 − “ナイフで切った”7つのテラス 春の光がさしこむ家 − |
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| 前田紀貞 | ||||||||||||||||||||||||
| プロフィール | ||||||||||||||||||||||||
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| 前田紀貞アトリエ 一級建築士事務所 | ||||||||||||||||||||||||
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| イタリアの画家、ルチオ=フォンタナの作品の中に、「何も描かれていないキャンバス」にパレットナイフで「切り込み」を入れただけのものがあります。この作品は、キャンバスに切り込みを入れることによって初めて、そこ(キャンバス)に張力が張っていることが視覚化され理解される、というものです。 この「キャンバス」を「空気」に置き換えた建築が【FONTANA】です。 【FONTANA】という住宅は、均質な空気のボリュ−ム(=内部)を7つの円弧状のガーデン(=外部)よって切り裂いています。この7つのガーデンから、光・風・雲・空等の自然が送り込まれ、更に、時間が経過することで、均質だった空間には、全く異なった表情が写し出されます。 究極に絞り込まれた光が幾つもの切り裂かれたガーデンから入ってくることで、人は、空間が時間と共に徐々に変化していくことに気付きます。光は1日をかけて、月は1カ月をかけて、そして四季は1年をかけて、この建物に周期という時間のリズムを付与してくれることになるのです。そしてそれは、光だけではなく、風でも、雲でも、空でも、月でも、皆同じことになります。 建築とは、空間的であるよりむしろ、とても時間的なものであるのかもしれません。 |
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| 外観はいたってシンプルですが、一歩内部に足を踏み入れると想像もしていなかった豊かな空間が広がります。既成概念に捕われない新しい発想から生まれた建物です。 部屋の仕切りはほとんどが透明ガラスで、パブリックスペースから個室までを見通せます。建物のどの位置にいても建築面積分の空間が味わえるわけです。 これまで数多くの建物にお邪魔していますが、またしても驚かされてしまいました。建築の可能性に限界は無いのだなと、改めて感じました。 |
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