2007年3月18日(日)放送
神奈川県鎌倉市・成瀬邸
<むずかしい敷地シリーズ(2)>
− 崖に寄り添う家 −
2006年4月完成
敷地面積 198平米(60坪)
建築面積 56平米(17坪)
延床面積 94平米(29坪)
在来木造一部鉄骨造
建築費:2568万円
坪単価:90万円



敷地内に、高低差が6mもあるという成瀬邸。 崖に寄り添うように建てられています。

一階の寝室は、南北両面に開口。南側は、崖に守られた空間です。

お洒落な洗面台の水まわり。奥の浴室からも崖が見えます。

およそ6畳の客室。草野球のメンバーが泊まりに来ます。地下収納が便利です。

2階は、LDK。 およそ27畳の開放的な空間。草野球の仲間たちが集まって、飲み会が開かれます。

リビングの小物は、多国籍。旅行好きの成瀬さん夫婦のお土産が飾られています。

南北の開口が楽しめるキッチン。 爽やかな夫婦にぴったりのお洒落な空間です。

敷地の一番上には、デッキ。 ここからは、富士山と鎌倉の街並みが一望できます。

田島則行(たじま のりゆき)
プロフィール
1964年   東京都生まれ
1993年   AAスクール大学院修了
1999年   テレデザイン設立に参画
2003年   グッドデザイン賞受賞
2004年   JCDデザイン賞入選
2005年   JCDデザイン賞優秀賞、JIA優秀建築選
    現在、関東学院大学非常勤講師
    著書に『再生する都市』(2005年、ラトルズ出版)、他
 
テレデザイン
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E-mail   tele-inqr@tele-design.net
 
難易度が高かったり、特徴のある敷地には、ついつい発想が広がってしまう。この敷地もやはりそうだった。
敷地内の段差は想像以上で、最大で6m以上もあり、擁壁で固められている。しかもこの擁壁は北向きで敷地の低い位置に影を落とし立ちはだかっている。だが北向きの風景は絶景で、地盤も良さそうだ。採光を確保し、敷地の特徴を設計のアイデアに取り込めるかが、課題になった。
様々なエスキスを経てたどり着いた空間は、上っていく擁壁をトレースするかのように西から東へと高くなり、最後は擁壁の上を越え、階段状のテラスとなって敷地の頂点まで上っている。建物に沿って上昇していくと振り返るたびに風景も次々に変わっていく。
天気や太陽の動きに合わせて刻々と変わる風景の中に住む雄大さ……。日本ではなかなか難しいことだが、こんな斜面では、実はそれが可能になっている。
そして敷地の一番高いところに上れば、屋根越しに広がる風景と、快晴の日には遠くに見える富士山が、この家にアイデンティティを与えてくれる。
 
土地は崖下で、最初はどうなることかと思いました。普通の家は建てづらい、そこで建築家に依頼したわけですね。旅行が大好きなご夫婦が様々な土地の建物・建築物を見てまわって培われた感性と見事にコラボレーションして、この豊かで大らかな、全てを受け入れそうな建物ができました。デッキスペースから富士山まで見えるおまけまで付いています。まさに建物を愛する気持ちがあったからこその成功だったのではないでしょうか。