2006年12月24日(日)放送
埼玉県所沢市・牧野田邸
- 斜めに走る壁・柱 住む現代アート -
2005年5月完成
敷地面積 154平米(47坪)
建築面積 74平米(22坪)
延床面積 109平米(33坪)
木造2階建て、一部鉄骨造
建築費:2400万円
坪単価:73万円



エッジが切り立つ屋根。斜めに走る壁・柱。思わず立ち止まって眺めてしまいます。玄関ドアも台形です。

内壁ももちろん斜め。ヤスリで仕上げた漆喰が面白い表情を見せます。

さながら趣味のコレクションホール。自転車、スニーカー、スカジャンのカラフルさがモノトーンの空間に引き立ちます。

収納棚が浮いているような造形の寝室。水回りもオープンで気持ち良さそう。

階段を上がった所にある第1の居間。長手方向に大空間が広がります。洗面の窓もリズミカルなデザイン。

一見コンパクトな台所ですが、奥に食品庫があって実に機能的。

南の大開口、北の吹き抜け、そして上に向かって広がる壁。開放感は満点以上です。

居間より広い(!)巨大デッキ。木製サッシ(当然ながら一点物)を全開すれば室内外が一体化します。

安部 良
1966年   広島県生まれ
1990年   早稲田大学理工学部建築学科卒業
1992年   同大学院修士課程終了
    石山修武研究室 を経て
1995年   architects atelier ryo abe主宰
2005年   pajaritaでGOOD DESIGN受賞
現在   東海大学理工学部建築学科非常勤講師
    著書「建築依存症/ARCHIHOLIC」ラトルズ刊
 
ARCHITECTS ATELIER RYO ABE
連絡先   〒150-0002
東京都渋谷区渋谷4丁目2-22-201
TEL   03-3407-4676
FAX   03-3407-4675
E-mail   aberyo@dd.iij4u.or.jp
URL   http://ishiyama.arch.waseda.ac.jp/www/lab/abe/aberyo.html
 
敷地は森林を切り開いて造成したばかりの住宅地でした。要望は、公園に面して張り出した広いベランダ。そこに続く開放的なリビング。何処にいても家族の存在を確認しあえる様な一体感のある空間構成。吹抜け空間に設置されるスレンダーな階段。外を見ながら入浴できる浴室とそこからデッキ越しに移動できる寝室。という大胆な住宅像でした。旦那さまのお仕事は不規則なスケジュールで、平日の日中を自宅で過ごす事も少なくない。常識的な家はかえって不自然です。かつての日本の住宅が傘のようであり、現代住宅が箱であるとするならば、もう少し自由でしなやかな衣のようであるべきだと考えました。閉じた箱を開封して外の風景を取り込みながら、空間に重なりやずれを作り出し、壁や床、天井には、微かな斑が発生する仕上げをしました。新鮮で驚きのある日常生活を過ごす「肌理」のある空間を作り出そうとしています。
 
建築の3要素とされる美(美しく)・用(使いやすく)・強(しっかり)を十分に充たした上で、とてもユニークで遊び心のある建物です。建築家の想像力は素晴らしいものです。手間を惜しまず、建て主の要望を取り入れながら、今までにない新しいデザインに挑戦しています。この空間での生活は楽しいでしょうね。建主や建築に対する愛情が込められている印象です。