2006年11月12日(日)放送
神奈川県藤沢市・櫛渕邸
- こだわり夫とおおらか妻 バリとモダンの2色住宅 -
2006年4月完成
敷地面積 156平米(47坪)
建築面積 74平米(22坪)
延床面積 132平米(40坪)
鉄骨造(1階)+在来木造(2、3階)
建築費:2850万円
坪単価:71万円



白い箱が宙に浮かぶような外観。アプローチは白砂利敷きです。

1階のコンセプトは、バリのリゾートホテル。濃い目の茶を主体とした色使い、置物などで雰囲気を高めます。

まさにホテルの一室を思わせる寝室。洗面台も室内に備えて機能的です。

主寝室から引き戸を隔てた子供室。小さいうちは、このくらいの距離感がちょうど良いですね。

2階は一転してモダンデザイン。約30畳のリビングダイニングキッチンは広大なワンルームで、大きなソファを置いても余裕です。

床の一部が強化ガラスになっています。1階の気配が感じられるとともに、天窓からの光を1階に落とす役割です。

イタリアンレッドのキッチン。週末はご主人が腕を振るいます。料理はもちろん、お酒のカクテル作りも得意なんだとか。

3階は水回りのみの贅沢な空間。手すりの高さが絶妙で、家並みを隠し山の稜線だけを切り取ります。

猿田仁視
1971年   長野県生まれ
    横浜国立大学・経営学部を卒業後、工務店で大工を経験し、
住宅の現場管理業務に従事。
    その後、店舗デザイン事務所にて住宅設計・店舗設計・施工管理を担当。
2004年3月   キューボデザイン建築計画設計事務所を開設。
2006年   グッドデザイン賞受賞。
 
キューボデザイン建築計画設計事務所
TEL   0467-54-6994
FAX   0467-54-7035
E-mail   cubo@cubod.com
 
クライアントとは大阪と神奈川の遠距離のやり取りでした。遠距離でも意思の疎通は出来るということを証明できた気がします。逆に強い信頼関係が出来ました。
景観の良い敷地での計画。地域のランドマークになるようなキャンティレバーで大きく張り出した外観、内部は、各フロアでインテリアのデザインの設定を変え、雰囲気の違う空間を楽しむ設定にしています。3階にぽつりと乗った浴室からは遠景に緑の山々を望むことが出来ます。トップライトから落ちる光が光井戸を通して下階まで光をもたらします。家族が気持ちよく生活できる場が提案できたと思います。施主と設計がうまく調和して出来た住宅です。
 
西洋に『ブルジョアが3代続かないと文化は生まれない』ということわざがあるそうです。中世文化の発展の影に、芸術家を経済的に支えたパトロンが数多く存在したことを現した言葉ですが、今の日本の状況では、なかなか難しいですよね。将来の文化が心配です。
家づくりという行為は大金を使うわけですから、建主にはパトロンの意識が必要だと思います。そのためには勉強して、良いものと悪いものを見抜く力を身に付けなくてはいけません。若手の、弟のような建築家と一緒に、この建物を作り上げた櫛渕さんには、そうした気概があるようにお見受けしました。