2006年10月1日(日)放送
埼玉県さいたま市・井上邸
− 仕上げ次第で千変万化 多彩なコンクリート壁の家 −
2005年8月完成
敷地面積
112平米(34坪)
建築面積
59平米(18坪)
延床面積
151平米(46坪)
鉄筋コンクリート造+鉄骨造
建築費:2800万円
坪単価:61万円



大通りと路地に面した羽子板形の変形敷地。その敷地形に素直に建てた面白い形の建物です。茶色の外壁が温かい印象。

2面がガラスの明るくすっきりした玄関ホール。玄関脇の大きな収納が「すっきり」の秘訣です。

全体が明るく開放的な建物にあって唯一の「閉じた」空間である和室。大通りに面しているのに静かです。

広大なリビング。南北は5m弱ですが、東西約13m・高さ約5mの吹き抜けが、それを補って余りある空間を生んでいます。


天井・壁はコンクリート打ち放しですが、天井は化粧合板の型枠、壁は普通合板で色付き撥水材をローラー塗り、と仕上げを変えて面白さを出しています。


北面の長い横スリットの窓は、壁の厚みを利用して飾り棚に。吊戸棚を廃した台所はすっきりした印象です。

敷地の幅の狭い部分を上手く利用した水回り。南面の壁にテーマカラーの茶色があります。

階段のグラデーションは「1〜2階」は茶色、「2〜3階」は青色です。吹き抜けのリビングに張り出した棚のような子供部屋が楽しいですね。

蜂屋 景二+川村 則子
蜂屋 景二 (ハチヤ ケイジ)
1967年   兵庫県生まれ
1993年   東京工業大学大学院修士課程修了
1993〜99年   山本理顕設計工場
1999年   bbr設立
2001〜04年   東海大学非常勤講師
2002〜04年   明海大学非常勤講師
   
川村 則子 (カワムラ ノリコ)
1969年   東京都生まれ
1922年   明治大学卒業
1992〜99年   山本理顕設計工場
1999年   bbr設立
   
 
受賞
2001年   東京建築士会住宅建築賞を『ウノキ』にて受賞
2002年   沼津市優良建築賞を『ロッジ』にて受賞
2003年   東京建築士会住宅賞を『ロータスアパートメント』にて受賞
     
bbr
住所   〒135-0004 東京都江東区森下2-8-7
TEL+FAX   03-3632-3303
E-mail   bbr@bbr-jpn.com
URL   http://www.bbr-jpn.com
 
 住宅や神社、小さなお店が並ぶ大通り沿いの角地に、この住宅はあります。
井上さんからの要望は「コンクリートで格好良くシンプルな住宅」。 敷地の長細い形状を立上げ、迫力あるボリュームにしました。また、クランクする細い道と、違う大きさに開けた窓が、行き交う人達へ様々な印象を与えます。
 家族の生活の中心は2階。台所、食堂、居間を一つの部屋にしました。大きな窓と吹抜けが開放的。そして、チョコレートブラウン色の大壁がキャンバスのように広がります。
 3階は全て子供部屋。2人のお子さんの部屋の仕切りを曖昧にし、自由に広がる子供部屋を作りました。
 夫婦の寝室は1階。普段、2階に居る時にお子さんの声が吹抜け越しに聞こえてきます。
家族の気配が感じられる、大らかなプランを実現しました。
 
歴史ある街並み。羽子板形という形ゆえか、ポツンと取り残されたような敷地。建設会社にお勤めのご主人は、仕事で知り合った建築家に自宅の設計を依頼しました。
吹き抜けになった2階のLDKはとても開放的。一方、1階の和室はこもるような感じで落ち着いています。開放的なばかりでは疲れることもありますから、このメリハリの付け方が絶妙です。
3階の子供部屋も建築の面白みが凝縮されています。下の息子さんが『将来建築家になりたい』と堂々と言っていました。家作りの楽しさが彼にも伝わっていたに違いありません。