2006年9月3日(日)放送
北海道特集(2)
北海道長沼町・塚本邸
- 大窓が風景を切り取る 丘の曲がり屋 -
2004年12月完成
敷地面積      2785平米(843坪)
建築面積         149平米(45坪)
延床面積         149平米(45坪)
木造
建築費:2583万円    坪単価:60万円



庭はまだまだ未完成。これからご主人が仕事の合間を見てのんびりと仕上げていく予定だそうです。枕木の外階段はもちろん自作です。

風除室のある玄関を入ると大きな土間。キッチン一体のカウンターもあり、ちょっとした接客もできます。

台所正面にも大きな窓。中庭ごしに林に望み、季節を感じながら料理できます。

印象的な2.5×3.5メートルの大きな1枚窓。丘の下に広がる風景を楽しめます。Yチェアもお似合いです。


床は北海道産カバ材。色にも相当こだわったそうですが、その甲斐ありましたね。水回りから中庭に出られます。都会では味わえない開放感。


趣味室にはなんと5千冊のマンガがきれいに収納されています。寝室の窓はベッドに合わせて低い位置に。落ち着きます。

こちらは仕事や建築関係の本などを置いたアトリエ。ご主人はここで庭作りのプランを練っています。

車庫として計画されたスペースですが、今はご主人の作業場になっています。本格的な工具もあります。

小倉寛征(おぐらひろゆき)
 
小倉寛征(おぐらひろゆき)
1971年   埼玉県に生まれる
1991年   北海道大学工学部建築工学科
1997年   株式会社ドーコン
2004年   Sa design office 設立
2004年   日本建築学会北海道支部「北海道建築奨励賞」受賞
     
Sa design office 一級建築士事務所
連絡先   〒064-0809 札幌市中央区南9条西8丁目2-13-211
TEL   011-533-9020
FAX   011-533-9020
E-mail   ogura@sa-design.jp
URL   http://www.sa-design.jp/
 
札幌から北西に車で30分ほどの自然豊かな丘陵地に立地する住宅です。北西にゆるく傾斜した約800坪もの敷地では、平野に沈む夕日や遠くの市街地のほのかな夜景などの美しい風景を楽しめる一方、冬には厳しい風雪を直接受け、広大な敷地の除雪や草刈りなど、北海道の自然の厳しさを十分に体験できる場所でもあります。このような敷地をあえて選んだ勇気と情熱に応えるため、この丘のもつ特性を十分に活かした住宅を作りたいと考えました。
そこで、大規模な造成をしなくてすむよう、既存の樹木を保存しながら、シンプルなL字型のプランを配置しました。丘のなだらかな地形と一体化するよう、麓からの景観をイメージしながら、L字型の平屋に片流れ屋根を掛けています。
この家の特徴となる「大きな窓」は、陽の動きや星の輝き、雪の降り積もる静けさや草木の息吹といった「自然の表情」を室内に取り込み、自然との一体感を大事にするライフスタイルのための「しかけ」として機能します。
この先白樺が大きく育ち、木立に埋もれる「丘の住宅」となる時が、本当の完成を迎える時だと考えています。
 
とても合理的で住みやすく清潔感あふれる建物です。開放的な居間と、そこから見える中庭と大窓の景色はまさに北海道ならではの雄大さです。
とは言え、人間ですから開放的なばかりでは気疲れすることもあります。そんな時、少しこもれるようなスペース=趣味室・アトリエ=もきちんと作られている所に好感が持てます。
北海道の冬の厳しさは大変なものです。だからこそ春を迎えた時の喜びは大きく、夏の爽やかさのありがたみも大きいのだと思います。そんな季節の移り変わりを感じながら暮らせる、まさに北海道ならでは、この土地ならではの建物でした。