2006年8月27日(日)放送
888回記念 北海道特集(1)
北海道札幌市・但馬・長野邸
- ガーデニングとアンティーク キッチンが真ん中の家 -
2005年3月完成
敷地面積      207平米(63坪)
建築面積        83平米(25坪)
延床面積       94平米(29坪)
木造在来工法
建築費:1719万円    坪単価:60万円



こちらの玄関には、北海道の家に必ずといってある“風除室”がありません。代わりに玄関ドアを厚くしたことに加え、土間と部屋を引き戸で仕切れるようにしています。

家全体がワンルーム空間。寝室は引き戸で仕切ることもできますが、普段は開け放して大きな空間として使っています。

大きな窓が隣の緑地を切り取ります。ここが住宅街の一角であることを忘れさせます。置かれた家具・小物も統一感があり、おしゃれです。

様々な草花が茂る“英国風”ガーデン。天気の良い日はテラスに座ってランチやお茶を楽しみます。


家の真ん中に据えられた台所。設計時に重視したのは“片付け易さ”と“見た目の良さ”だそうです。冷蔵庫も隠す徹底ぶり。


大きな吹き抜けのダイニングキッチンと打って天井高を抑えたリビング。ストーブを前に落ち着ける空間です。

庭を眺めながら入れるお風呂。洗面・ウォークインクロゼットが一直線に配置されていて機能的。

2階は趣味の空間。大窓もこの角度からだと印象が変わります。ご主人自作のイーゼルはなかなかの仕上がり。

湊谷みち代+大塚達也
 
湊谷みち代
一級建築士
日本建築家協会(JIA)会員
日本建築家協会(JIA)登録建築家
北海道工業大学建築学科非常勤講師
1966年   札幌生まれ
1989年   北海道工業大学建築工学科卒業
1989年   岩見田建築設計事務所入所
1995年   ナカヤマ・アーキテクツ入所
2000年   ミナトヤミチヨ建築事務所設立
2004年   m+o 設立
     
大塚達也 
一級建築士
日本建築家協会(JIA)会員 
工学修士
1970年   苫小牧生まれ
1994年   室蘭工業大学建設システム工学科卒業
1996年   室蘭工業大学大学院建設システム工学修了
1996年   中井仁実建築研究所入所
2004年   m+o 設立
     
一級建築士事務所 m+o エム・アンド・オー
連絡先   〒064-0954 札幌市中央区宮の森4条2丁目3-17
TEL   011-623-5182
FAX   :011-623-5183
E-mail   m--o@jcom.home.ne.jp
URL   http://www.mando.jp/
 
 「緑を見ながら暮らしたい」という建主のたってからの要望があり、1年以上の間土地を探し続け、札幌市が保有する約8.4haの緑地に隣接する場所に、この住宅を建てることができました。閑静な住宅街の一画にあるこの土地は、南西側だけが自然豊かな緑地に面しています。山桜・姫リンゴ・ナナカマド・柳・白樺など四季折々に変化する木々を眺め、傾斜面のふもとを流れる沢の音を聞くことが出来る恵まれた土地を、いつも感じる事ができ、意識や視線が自然に緑地に向かえるような空間になることをイメージしました。また、毎日の生活を楽しむ要素の一つとして、「料理を作り食べること」を大切にしている事から、緑地を望む特等席になるようダイニングとキッチンをこの家の中心に配置することを考えました。
 ダイニング・キッチン・寝室・ロフト感覚のフリースペースなど、生活の中心となる部屋を2層吹抜の大きな空間の中に納め、北側には浴室・トイレ・クローゼットなど機能的にひとまとめとなる空間をつなぎ、南側にはリビングと玄関を配置し、住宅街に居ながらも、それぞれに大きな開口部を設けて緑地からの自然だけが感じられる様、これら細長い大小三つの箱を並べたシンプルな配置になっています。
 コンパクトでワンルーム的な家にすること、趣味で集めている和骨董を置くこと、木を使うこと、風通しの良いこと、気持ちの良い場所で本を読むこと...生活に望む建主夫婦の言葉を素直に受け止め、自然の中で気持ち良く暮らすための生活空間を提案できたと思います。
 
この家のテーマは2つ。南西の緑地の深い緑をどのように建物に取り入れるかということと、奥さんの趣味で集められた古道具をインテリアとしてうまい具合に飾りたいということでした。どちらも見事に成立させています。設計なさったのは奥さんの親友の女性建築家。施主のことをよく理解しているからこそできる繊細な配慮を感じます。

私が気に入ったのはダイニングキッチンです。家の中心にあり、料理をしても食事をしても楽しそうです。 ここで緑を楽しみながら暮らしてゆけるお施主さんを本当にうらやましいと思いました。