2006年6月25日(日)放送
東京都調布市・結城邸
- 住み手のセンスが光る シンプルな箱の家 -
2005年7月完成
敷地面積       93平米(28坪)
建築面積       46平米(14坪)
延床面積       73平米(22坪)
集成材造
建築費:1790万円    坪単価:81万円



外壁は黒でシャープな印象。玄関を入ると木の質感と裸電球の照明がやさしく迎えてくれます。

この家唯一の個室である水回り。ガラスの仕切りや巧みな窓の配置で閉塞感ゼロです。

リビングは東西方向に長く、5メートルの吹き抜けと相まって実際の面積を超える広々感を生んでいます。

電磁式のフラットなキッチンカウンターも部屋をすっきりと広く見せることに貢献しています。


椅子や照明は逸品揃い。奥さんのチョイスだそうです。


広いテラスはリビング一体。深いひさしが日差しをコントロールします。

好みの布をパネルに張った「ファブリックパネル」はインテリア好きの間で流行中です。この家にピッタリ。

まさに「箱」のような立体ワンルームが家族をつなぎます。将来どんな風に「ヴァージョンアップ」していくのか楽しみです。

難波和彦(なんばかずひこ)
 
1947年   大阪生まれ
1969年   東京大学建築学科 卒業
1974年   同大学院博士課程 修了
1977年   一級建築士事務所 界工作舎 設立
1996年   一級建築士事務所 株式会社 難波和彦+界工作舎 代表取締役
    東京大学建築学科 早稲田大学建築学科 東京工業大学建築学科 講師
    大阪市立大学建築学科教授
2003年9月より   東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 教授
 
受賞歴
1989年   JRお茶の水駅プロポーザルコンペ佳作
1992年   川口都市デザイン賞、グッドインテリアデザイン賞
1995年   新建築吉岡賞、住宅建築賞、東京建築賞、「健康な住まい」コンテスト
 
優秀賞
1996年   国立国会図書館関西館コンペ優秀賞
1998年   住宅建築賞
1999年   東京ガス「あたたかな住空間デザインコンペ」最優秀賞
2000年   TEPCO「快適住宅コンテスト」優秀賞
2004年   JIA環境建築賞
 
難波和彦+界工作舎
連絡先   〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-16-10
TEL   03-3478-5579
FAX   03-3478-5686
e-mail   kai@kai-workshop.com
 
東西に細長い敷地で、東側が道路に面しています。敷地の南側が広大な畑に面していたので、南側に庭をつくり、全ての部屋が南面するように間口3.3mの細長い家を提案しました。
室内は限りなくシンプルな一室空間住居です。浴室とトイレ以外は間仕切りがありません。
ご主人からは外観について、奥様からは内観の印象について、それぞれ要望がありました。
外壁はアルミサッシを含めて黒色で統一し、室内は断熱サンドイッチパネルのラワン合板をそのまま仕上げ材にして白く染めています。結果的にこれらがこの家を印象的なものにしています。熱性能について考えると、黒い外壁は夏季の熱負荷に不利になりますが、外壁に通気層を設け放熱することによって室内への熱負荷をほとんどなくすることができました。
 
親子3人のための心温まる建物です。
延床面積が22坪と聞いてびっくりしました。30坪以上は楽にあると思っていたんです。空間の構成が巧みで実際の面積をはるかに超える広がりを生んでいるんですね。
また、デザインも外観も中観も非常に趣味の良さと感じます。隣に建物が建ったとしても日差しを確保できる東西に細長いプラン、夏冬の光をコントロールする深いひさし。
細かいところまで住む人のことが考えられた優れた建物だと思います。