2006年5月28日(日)放送
神奈川県鎌倉市・栗原邸
- 夢は劇場空間 部屋の名前が無い家 -
2005年12月完成
 敷地面積      108平米(33坪)
建築面積       43平米(13坪)
延床面積      87平米(26坪)
鉄骨造 一部鉄筋コンクリート造
建築費:2800万円    坪単価:71万円



通る人が思わず入りたくなってしまうギャラリー。床の玉石の川は、建築時に出土した室町時代の遺構を視覚化しました。

可動式の壁を動かすとギャラリーから舞台に変化します。将来はここで芝居などを上演する構想もあるそうです。

「舞台上」の収納を開くとワークスペース。扉がちょうど良い仕切りになって集中できそう。

地階は大きな鏡がある芝居の練習場です。天井高は殺陣の練習ができるよう決められました。シアタールームにもなります。


2階の床は蓄熱率が高く床暖房と相性が良い大理石。なんと浴室までもが一体のような設えです。


可動式の畳ベッドは収納であり、友人が訪れた時には食卓にもなるという多用途なもの。部屋の使い方を限定しない、この家を象徴するアイテムです。

らせん階段がそのまま空に抜けるイメージをデザインしたという屋上への扉。職人さんも楽しんで作ったという印象です。

夜になるとライトアップされたシダレザクラと透明な階段室が美しい表情を見せます。

栗原絵里子
 
1968年   神奈川県生まれ
1991年   東海大学工学部建築学科卒業
1991~1998年   株式会社熊谷組 設計部配属
1998~2000年   デザインオフィス絵工房設立
2000年~現在   栗原絵里子一級建築士事務所設立
     
栗原絵里子一級建築士事務所
連絡先   〒247-0062 
神奈川県鎌倉市山ノ内377-1
TEL   0467-25-0252
e-mail   nekonohako@kamakuranet.ne.jp
 
建物計画の際は、緑豊かな鎌倉に溶け込む透明感の有る素材を選択する事と、清潔感と品のあるシンプルで美しいデザインや色彩を選択する様に心掛けました。殊にガラス張りの階段室は空・緑・土・光・水などを常に感じさせ、景色や気候や季節を透かし、内と外の隔たりの無い気持ちの良いスペースで、我が家の猫達もお気に入りの場所の様です。
日本舞踊・社交ダンス・音楽・芝居・造形創作・絵画・建築設計…家族の趣味と仕事が多彩な為、稽古をしたり創作したりアートを発表したりと、使い方次第の自由なスペースで構成した自由度の高い空間作りに努めました。オープンスペースになる土間の部屋を作ったのは、この建物から人と人をつなぐ古来のコミュニティ復活が始まる事を願っての事。
透ける階段室・鍵無しトイレ・キッチントイレバス居間のワンルーム・手作り屋上ハッチ等、実験的な設計が多いのにも関わらず、それぞれの職人さんのお力で実現しました。
 
鎌倉の海、ではなく山の自然を楽しむための建物ですね。
1階がギャラリー・スペース、これが舞台にも変わります。地階は寝室であり、稽古場であり、またオーディオ・ビジュアルを楽しむスペースでもあります。2階はベンチの収納を引っ張り出せば畳の間・寝室であり、食事スペースでもあります。扉を開けば大きなお風呂と言っても良いでしょう。
非常に多目的です。この使い方を限定しない自由度の高さが開放感の源になっているのではないでしょうか。