2006年5月7日(日)放送
千葉県市原市・小泉邸
- 部屋ごとに変わる表情 民家の記憶を持つモダン平屋 -
2004年11月完成
敷地面積    461平米(136坪)
建築面積      185平米(56坪)
延床面積      142平米(43坪)
木造軸組工法 一部鉄骨造
建築費:3440万円    坪単価:70万円



壁・天井を白く丸いモザイクタイルで統一。書や花が映えるギャラリーあるいは美術館のような空間です。

白を基調とするモダンなリビング。南北の大開口と深い軒が縁側を連想させます。

大きな開口に設えられた落ち着いた緑色の折戸。そこはかとなく「和」の空間を感じさせます。

家具も選び抜かれています。デザインを見ているだけでも楽しめます。


ステンレスの質感が機能的な印象を与えるキッチン。大人が3人入っても作業できる余裕がうれしいですね。


白基調の居間から一転、黒基調の寝室。すぐ隣に洗面・トイレ・納戸があって実に機能的。

細長い天窓から光が降り注いで、明るく清潔感のある水回り。昼の入浴が気持ちよさそう。

主に奥さんの作業場、客間として使っている予備室。シンプルな仕上げと回遊できる間取りが将来の発展性を感じさせます。

小泉一斉+千葉万由子
 
小泉一斉
1971年   千葉県生まれ
1996年   武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
1998年   芝浦工業大学大学院修士過程修了
1998~2001年   乃村工藝社
2001~2003年   入江経一+PowerUnitStudio
2003年   SmartRunning設立
2003年~   東京工科専門学校非常勤講師
     
千葉万由子
1974年   埼玉県生まれ
1998年   蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
2003年   SmartRunning設立
2003年~   東京工科専門学校非常勤講師

Smart Running一級建築士事務所
連絡先   〒221-0077 神奈川県横浜市港北区師岡町245-#306
TEL   045-546-2477
e-mail   info@smart-running.net
URL   http://www.smart-running.net
 
 定年を迎えた両親の住まう、築40年になる家屋の建替です。
 この住宅では、長年暮らしてきた住まいの記憶を継続させるように計画が進められました。 以前の住宅は、座敷のある純和風の木造家屋で、南の庭に面して開かれた大きな開口と深い軒がありました。

 季節や天気による様々な変化を室内に取り込んで、表情豊かな生活が演出されていました。生活と連動した住まいの表情、その記憶を軒や開口、各部屋のつながりによって表現しています。
 建物を構成する素材や建物自体のデザインは大きく変わりましたが、そこでの生活は、以前と変わらぬ時を刻んでいます。

 各部屋は、機能と生活行為から決定された寸法によって凸凹した平面形状をしています。
 こちらの部屋の出っ張りは、隣の部屋の凹みという具合に、噛み合っているわけです。こうすることで、廊下を無くしながら家族間の距離を演出し、また、プライバシーを確保しながらも家族の気配を感じることに成功しています。
 
 南側の庭と北側の借景。様々な草花、樹木を眺めて季節を感じながらの生活です。
 そして、建物は住宅としては理想の平屋です。
 熟年に入ったご夫婦のために建築家である息子さん夫婦が力をふるいました。その甲斐あって実に気持ちの良い建物になっています。
 モダンなデザインの中に、ご両親が違和感なく暮らせる工夫が数え切れないほど込められています。
 息子さんやお孫さんが訪ねて来ても余裕を持って受け入れられる、言わばネットワークの中心になる家だと思います。