2006年4月9日(日)放送
神奈川県横浜市・斎藤邸
- 街暮らしを楽しむ 団塊世代の9坪住宅 -
2005年5月完成
敷地面積       49平米(15坪)
建築面積         29平米(9坪)
延床面積        81平米(24坪)
RC造
建築費:3000万円    坪単価:125万円



奥様長年の夢だったキルト・ショップ。通りがかりの人も入りやすいオープンなデザイン。

レタリング・デザイナーであるご主人の仕事場。半地下ですが家の裏手が段丘なので、明るくて風通しも抜群。

中2階は奥様のキルト教室用スペース。大きなテーブルを囲んで楽しそうです。

コンパクトなLDKですが、意外と多人数が入れます。キルト教室の後は賑やかなお茶会。


奥様が集めた骨董の数々。コンクリート打ち放しの壁の素っ気無さが器の美しさを引き立てます。


『スペースが小さいのだから湯船は置かない』この思い切りに感心。シャワーバスは見た目と違ってかなり温まるそうです。

大学生の息子さんの部屋。縦方向にヴォリュームを持たせて広さを演出します。

最上階は落ち着ける寝室。屋根の形状そのままに天井が弧を描きます。

小林真人(こばやしまひと) 
 
1956年   東京に生まれる
1980年   京都工芸繊維大学 住環境学科卒業
1980年   黒川雅之建築設計事務所入社
1985年   同社 取締役 建築部部長
1995年   小林真人建築アトリエ設立
1997年   (株)黒川雅之建築設計事務所
    取締役を退任しコラボレーターとなる
1997年   (有) 小林真人建築アトリエ設立
2003年~   東京農業大学非常勤講師
     
■主な受賞歴■    
2005年   平成17年度 足利市建築文化奨励賞(足利K邸)
    第22回 住まいのリフォームコンクール 優秀賞(ネコハウス)
    第50回 神奈川建築コンクール 奨励賞(斉藤邸)
   

小林真人建築アトリエ
連絡先   〒113-0033 東京都目黒区緑が丘2-18-11
TEL   03-5701-8790
FAX   03-5701-8790
e-mail   atelier-mahito@mub.biglobe.ne.jp
 

 横浜山手の丘に建つ,パッチワーク作家の奥様のお店と教室・サインデザインをするご主人のアトリエとを併設する住宅です。
ご夫婦は表通りに面する立地を優先し、住宅街のゆったりとした戸建住宅を売却してこの土地に移り住む事を決心されました。
土地の価格差から土地はかなり小さく変形なものになる一方で、多くの用途を混在・成立させる方法と空間を建築として解決しなければなりませんでした。

 敷地は幅13メートルの国道に面して3.6メートルの間口、奥行き13.5メートルという細長さ、裏は3メートル程の擁壁の下で緑豊かな小学校の校庭と接しています。
土地にはそれぞれに空間の力や流れが存在しますが、この敷地には国道から校庭に抜ける空間の力がとても強く感じました。
 トンネル状の建物にして、視覚・風・光をその力に沿って抜くことで、小さな敷地の小さな建物に大らかでダイナミックな快適空間を実現したいと考えたのです。
中はスキップしながら空間を連続させ、自宅のダイニングスペースを日中は教室の生徒さん達とお茶を飲む空間として利用するという様に、「プライベート」・「ショップ&教室」・「アトリエ」3つの機能をそれぞれ重複して使用できるフレキシブルな連続空間とする事で、限られた面積を有効に利用しています。
 国道から見落としそうなこの場所に建物そのものを店舗の看板としてアイキャッチ機能を持たせる事も重要なテーマでした

 
斎藤さんは以前80坪の大きな家にお住まいでした。それを思い切って手放して、このコンパクトな家に住み替えられました。これはまさに生き方そのものです。
これから第2の人生を迎える世代にとって、どんな生き方をするのかは大きな問題です。
斎藤さんは、街で人とふれあう生活を選びました。そのためのコンパクトな家です。
建築面積わずか9坪に大人3人の生活空間と仕事場、お店を設けるという難しいプランです。
これを建築家を信頼して、細かいことを言わずに全てまかせた、ということが成功の要因なのではないでしょうか。