2006年3月25日(土)放送
神奈川県鎌倉市・金子邸
-春の湘南 水平線と江の島を眺める家-
2004年8月完成
敷地面積       228平米(69坪)  
建築面積         90平米(27坪)
延床面積        239平米(72坪)  
既存RC造+木造在来工法
建築費:4050万円    坪単価:88万円



湘南の海を見下ろす高台に建てられた金子邸。基礎部分は以前建っていた家の基礎部分を使用。1,2階は木造。外壁は潮風に強いベイスギ。時が経てば経つほどに美しくなる外観です。

至る所から光が差す玄関は、土間風。2階までの吹き抜けが気持ちいい。和室の障子を引き込んでしまえば、懐かしい縁側風に。

1階の寝室にも障子。空ければサンルームになります。実はここは、物干し場。潮風対策。これなら一日中干していられますね。

ヒノキが張られた水まわり。浴室からももちろん海が眺められます。ジャグジー風呂でのんびりと入浴。テレビもついていますから長湯できますね。


2階のLDKは、仕切りのない大空間。珪藻土の壁、スギ板が張られた天井と、美しいの一言。どこに身を置いても水平線が一望できます。


引き込み式の大きなガラス戸を開け放てば、リビングとデッキが一体化。潮風を感じ、海を見ながらのコーヒータイム。まさに都会では味わえない至福のひと時ですね。

海を見ながら料理がしたいという奥さんの希望で作られたキッチン。シンクの裏が収納。リビングから収納が見えないよう、縦に並べてあります。

金子さんのお宅で一番眺めがいいのが、屋上。ご主人のたっての願いで作られました。ここにいると、空も船も海も江の島も、この景色は、すべて自分だけのものといった感じがします。

村田 英男(むらた ひでお) 
 
1949年12月29日 山形県生まれ
1972年   工学院大学建築学科卒業
    山下 司研究室
1972年   大栄住宅入社
    モービルホームの技術開発に従事
1976年   技拓株式会社入社
    取締設計室室長として注文住宅等の設計に従事
1994年   村田建築設計 設立
     
(有)村田建築設計
連絡先   〒253-0061 神奈川県茅ヶ崎市南湖4-4-5-403
TEL   0467-57-4591
FAX   0467-57-4592
 

 建て主は中古建物付きの土地を購入。当初リフォームして住む予定が、雨漏りがひどく、建て替えに傾く。様々な業者に相談の結果、納得いかず当社を訪問。予算上地下コンクリート造の駐車場は残し、木造部分を建て替えたい。可能ですか、との問い。
  コンクリート部分は目視では劣化、クラックも無く問題は無さそう。更に、超音波探査で鉄筋の位置の確認全てOK、設計を引き受け取り掛かる。
建て主の希望は、リゾートホテル風の居間、蒔ストーブ、海一面の眺望、南西の江ノ島や夕陽、花火を楽しめる場所、寝転んで読書する和室らしい和室、風呂からの眺め、潮風を防ぐ洗濯物干し場、北側の高校の体育館からの騒音に邪魔されない昼寝・・・
これらを一つ一つ吟味し、解決案を設計に織り込んでいく。
  一方建て主はバラガン、シーランチなど建築に関する本を読み、知識やイメージを膨らませてくる。応えるべき対案として、自然の過酷さや、晴れた日の開放感、包容力を感じられるであろう土地の特徴を踏まえて練り続ける。結果、リゾート感覚溢れる大人の精錬された終のすみかの一品に仕上がったと感じています。

 
 金子さんのお宅は、目の前が海です。この景色をいかに建物に取り込むか。海のそばに建物が建っていれば心地がいいというわけではないんですね。実は大変な細部に至るまでの配慮があるんです。
 例えば、玄関入って土間ですね、そして右側に和室で琉球畳、天井見上げると格子です。そして階段上る一段目の角はすみ切りしてあります。そういうことの気遣いの積み重ねがあってこそのこの気持ち良さなんですね。素材のコンクリートは前の家のものを使ってます。経年変化しています。そして建物自体もベイ杉です。これも潮風に対して強いということもありますけれど、景色を決定づける外観は、自然素材にすべきじゃないでしょうか。