2006年3月4日(土)放送
東京都世田谷区・土橋邸
-妻はインテリアコーディネイター 10坪1500万のおしゃれ空間-
2004年12月完成
敷地面積        71平米(22坪)  
建築面積      35平米(10.5坪)
延床面積        72平米(22坪)  
木造軸組工法
建築費:1500万円    坪単価:58万円



2階の玄関を入ると広がる白いLDK。北側の大開口をはじめとして、要所要所に作られた窓から入る光が気持ちのよい空間をつくっています。

白を基調にした室内は、時計のカタログをアレンジしたポートレートや、シノワ調の家具など、実に美しく、センス良く飾られています。それもそのはず、奥さんはプロのインテリアコーディネイターなんです。

キッチンは階段下のスペースを利用。コストダウンを図るために、キッチンは大工さんに作ってもらい、塗装は自分たちでしたそうです。

ダイニング上のダウンライトは、家を建てたらこれにしたい!とご主人が考えていたもの。ご主人も結構料理は得意だそうです。家族の評判もなかなかとか。


2階から半階あがったところにあるのは子供部屋。ここにも奥さんが選んだシノワ調のタンスがありました。今は、子供服が入っていますが、愛詩亜ちゃんがお嫁に行くときに持たせてあげたいそうです。


子供部屋の横にある洞窟のような空間は、ご主人の書斎。広さは1畳強。壁、天井も黒。このタイト感が落ち着きます。狭くても良いから自分だけの空間が欲しかったそうです。

子供部屋からまた半階上がってところにある寝室。親子3人で寝ています。横にはデッキ。ご主人がビールを飲んでいると、愛詩亜ちゃんもジュースを持って一緒にやってくるそうです。

1階、浴室の横にある和室。ここもまた黒い空間です。置かれた家具もシノワ調。風呂上りにゴロリとしたいというご主人の希望で作られました。

日比生 寛史
 
1963年 福岡県生まれ
1987年   日本大学大学院修士課程修了
1988年~90年   株式会社 早川邦彦建築研究室
1990年~97年   リチャード・ロジャース・パートナーシップ・ジャパン
1993年~94年   リチャード・ロジャース・パートナーシップ(ロンドン)
1998年~   日比生寛史建築計画研究所
     
1998年より日本大学生産工学部非常勤講師
1998年よりデザインファーム建築設計スタジオ講師
1998~2003年   東京設計学校講師
     
日比生寛史建築計画研究所
連絡先   〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-23-13 メイメゾン5A
TEL/FAX   03-3407-8034
 

 土橋邸は依頼を受けた時にはまだ土地が決まっていませんでした。ただ、クライアントにこういう生活がしたいという明快なヴィジョンがあったので、最初に漠然と断面のイメージスケッチを提案しました。それがすべての始まりで、このスケッチのような住宅が建てられる土地を一緒に探すことになったのです。

完成した住宅は基本的には最初のスケッチ通りで、コストを抑える目的で、建具を極力減らすためにスキップフロアで部屋を分けていますが、これが家族の気配を伝えることとなり、家族間のコミュニケーションを促すことに役立っています。

 また、南側の採光を高い位置から取り入れ、スキップフロアの隙間を縫って各々の部屋へ導き、さらにはリビングの北側にスチール製カーテンウォール(大ガラス面)を設け、季節や時間に関係なく一日中安定した明るさを確保しています。

一般的なローコスト住宅では、いくつかの夢を諦めたり、妥協したり、コスト削減の引き算でできていくことが多いのですが、優先順位を考えて、大切な夢にはコストをかける足し算もできるのです。重要なことはメリハリをつけることです。

完成後はインテリアデザイナーであるクライアントがいろいろと手を加えて、完全に自分達の住宅になっています。
上手く住みこなして頂いて、建築家としては頑張った甲斐がある思いで深いプロジェクトでした。

 
建物には、美用強が必要といいます。
まず丈夫であって、そして使いやすくて、さらに美しい。
土橋さんのお宅はまさに美用強の建物です。
密集地に建つ土橋邸は、周りを建物に囲まれていますが、太陽の光を実に見事に取り入れていますね。
特に、北側を開放して落ち着いた明かりを楽しんでいます。
そして、1階の和室、2階のLDK、3階が寝室なんですけれど、それぞれの空間が、非常に変化があります。
また、お子さんの成長もそうでしょうし、ご夫婦の趣味も変っていきます。
その変化を大きく受け入れる建物、そんな感じが致します。