2006年2月18日(土)放送
東京都文京区・熊谷邸
-芸術先生の遊び心 伸縮自在のカラクリ屋敷-
2004年12月完成
敷地面積        60平米(18坪)
建築面積        36平米(11坪)
延床面積        87平米(26坪)
混構造(RC造+木造)
建築費:3500万円    坪単価:107万円



コンクリートに囲まれた頑丈な外観。扉は、木を組み合わせる工法で作られた昔ながらのもの。 こだわりが感じられる外観です。

扉を入ると、懐かしい路地を思わせる、コンクリートの世界。 切り取られた空が気持ちのよい空間です。

外玄関の階段を上がると2階の玄関スペース。 コンクリートと、木の落ち着いた空間です。 カタログ順に並べたガラスブロックや、戸あたりなど、ご主人の遊び心がいっぱいです。

3階はリビング。ここからは木の空間です。 天井、壁は杉 床はもみの木で囲まれた心安らぐリビング。 障子はすべて戸袋にしまい込め、わずか9畳とは思えない広がりを見せます。


3階のスキップフロアをあがると、ダイニング キッチン。 障子で仕切られた扉を開けると、リビングと繋がった大空間が出現します。 キッチンは、奥さん曰く、どんなに疲れていても元気のでるスペースだそうです。


ロフトはご主人の秘密の隠れ部屋。 ここからは、キッチン ダイニング リビングが、見下ろせます。 スキップフロアを利用した、高低差と奥行きが楽しい空間です。 

閉じる事を優先した奥さんの書斎。 木で囲まれた仕事に専念できそうな空間です。

さわらの香りが漂う浴室。 滑りにくい砂岩を使った石のお風呂もなかなか 気持ち良さそうです。

熊谷 廣己(くまがい ひろみ)
 
1955年 札幌生まれ
1981年   日本大学大学院修了
内井昭蔵建築設計事務所、前川建築設計事務所を経て
1992年   アトリエ設立 
2000年   日本大学芸術学部助教授(~現在に至る)
     
熊谷廣己建築設計事務所
TEL   03-3812-6360
04-2993-2283(大学)
FAX   03-3812-6360
04-2993-2284(大学)
E-mail   hkumagai@art.nihon-u.ac.jp
 

都市にすみたい。
住み慣れた街で生活を続けたい。
住まいづくりは、そんな思いから始まりました。

私は、この住宅を小丘舎と名付けております。
住宅は、究極の自己実現の場とも言われます。

私の場合は違いました。
私は、設計の途中で満員電車に揺れながら疲れ気味の
サラリーマンとその家族たちの横顔をいつも思い浮かべていました。
絶望的な都市の住環境。

プロである私が、狭小住宅を実現できなければ、
多くの都市遊民たちが、この魅力的な東京に住めるはずがないと思いました。

そういう意味では、小丘舎は、私という他者の自邸なのです。
家づくりは、知識でも、素材でもありません。
住まい手の切実な思いから、建ち上がっていくものです。

 
熊谷さんのお宅は敷地が18坪。
そこに延床面積26坪の建物が建っている訳なんですけども
広がりより、むしろとても豊かさを感じます。
繊細にして、大胆という感じですね。
ダイニングスペースから見下ろしてリビングスペースなんですけれども、
こういう考えはなかなか無いと思います。
                                                                      そして、あげたらきりがないぐらいの細かい配慮があります。
そういったものが目に映って、安心感ですとか、気持ち良さにつながるんですね。
まさに芸術作品と言えるような、大人が満足する建物。
そんな感じが致しました。