2005年12月3日(土)放送
埼玉県戸田市・武田邸
-優しき木に包まれて・・・心地いい昭和レトロの家-
2005年3月完成
敷地面積       89平米(27坪)
建築面積       46平米(14坪)
延床面積      138平米(42坪)
木造軸組工法
建築費:2732万円    坪単価:65万円



角地に建つ武田邸、土色、アースカラーとでもいいましょうか、周囲に配慮した概観です。

1階から3階までをつなぐ弧を描く階段。その途中にご主人の書斎があります。ご主人は、雑誌「散歩の達人の」編集長。ここで仕事もやるそうです。

無垢の木と漆喰に包まれたダイニングキッチン。木の香りが漂う気持ちのいい空間です。壁と天井には杉板、そして漆喰。床にはサワラの木を使っています。抱かれたような安心感と温かさ。これが自然の木の力なんですね。

杉板とステンレスを組み合わせたシンプルなキッチン。休日には、育児に忙しい奥さんに代わってご主人が料理の腕をふるうそうです。キッチンをさりげなく隠す収納は、家具職人が作った逸品。


昭和レトロの代名詞、ちゃぶ台が置かれたリビング。 小さなちゃぶ台は、家族の距離を近づける。そんな効果もあるんですね。 月見台も付いています。


2段ベッドが置かれた子供部屋も、木に包まれています。無垢の木に触れながら育つ。子どもたちにとっては最高の環境ですね。

1階はご主人のお母さんの部屋。しょっちゅう子供たちが遊びに来るそうです。

お母さんの部屋には、本格的な茶室が付いています。雪見障子を開けると、手入れが行き届いた庭を眺めることもできます。この道40年というお母さん。夢がかなって良かったですね。

伊藤 寛
 
1956年   長野県生まれ
1979年   神奈川大学工学部建築学科卒業
長谷川敬アトリエ、小宮山昭+アトリエR勤務
1986~87年   ロータリー財団奨学金を得てイタリア、ミラノ工学大学留学
1988年   早稲田大学大学院修士課程修了
伊藤寛アトリエ設立
現在   神奈川大学、武蔵野美術大学、早稲田大学芸術学校、非常勤講師

受賞暦
 
1989年   名古屋世界デザイン博覧会「建築YATAI」競技設計、金賞
2001年   青森市北国型集合住宅国際競技設計、審査員特別賞
2005年   「黒水晶の家」で東京建築士会住宅建築賞
     
連絡先   〒214-0038 川崎市多摩区生田8-29-13
TEL   044-922-6412
FAX   044-922-6413
E-mail   ito@ito-kan.com
 
「階段書庫の家」
この家は、角地にある3階建。
大きく孤を描く3層分の高さの壁は、外側はわらのはいった土色の左官仕上げ。
表面を粗く仕上げているので、建物の印象がとても柔らかく見えます。
この壁の内側は真白いしっくい塗りで、節のある杉技張の他の部分と強い対比を見せ ています。
この湾曲する壁に沿って階段が取りつき、最後は屋上(空への入口)まで到達します。
ご主人は雑誌の編集長で本が大好き。
ゆったりと上るこの階段に沿って、膨大な本を納める書棚やパソコン机が計画されて います。
1階のお母様の空間、2階の寝室や水まわり、3階のリビング・ダイニングをつなぐ 1本の階段は
ただ上り下りする場所ではなく、家全体の気配を家族みんなが共有できる、知の蓄積を集約したような遊びの空間として計画しました。

 
武田さんのお宅は、土地の形にあわせて少し変形なんですけども、 それゆえに豊かになっていますね。
まず光の入り方。太陽の光が間接照明的に建物内部にやってきます。
穏やかな感じです。 そして何より、自然素材、杉・漆喰が多く使われています。
これが、体にも心にもいい、そんな感じが致します。
また2世帯住宅ですよね。
おばあちゃん、そして孫娘3人が一緒に生活できるわけです。
何かと頼りにできますね。
最近モダンすぎるような建物が多いんですけども、 この建物は、モダンすぎず、かといって素朴すぎずに生活感のあるちょうどいい建物、そんな感じが致しました。