2005年10月29日(土)放送
神奈川県藤沢市・北野邸
-1500万円!あったか家族 子ども走るユーカリの家-
2002年9月完成
敷地面積      100平米(30坪)
建築面積       54平米(16坪)
延床面積      100平米(30坪)
木造
建築費:1495万円    坪単価:50万円



間口なんと2メートルの建物。ご主人はあえて旗竿敷地・敷地延長の土地を探したそうです。延長部分は駐車場。車はスライドドアで狭さを克服しています。

旗竿敷地の土地を探した理由は、玄関を「タラップ」風にしたかったからだそう。まさにここはタラップですね。

旗竿敷地の旗の部分には中庭が作られていました。そこに植えられているのはコアラが大好きなユーカリの木がそびえています。中庭の周りは、すべて開口部。ぐるりと一周することができるんですね。

中庭の右手は建築家であるご主人の仕事場。
でも、子ども達がいるとなかなか仕事がはかどらないそうです。


子供部屋ももちろん中庭に面しています。
水玉がテーマの子供部屋には、オモチャと一緒にいろんな楽器が置いてありました。Qななこちゃんはここで音楽の練習。将来はミュージシャンかな?


2階のリビングダイニングは、ユーカリの木と握手できる場所にあります。
1階と同じように、ユーカリの木が茂る中庭をぐるりと回れるようになっています。
家具は、ほとんどがご主人の手作り。これは建築費を抑えるための工夫。
仕上がりは少々ワイルドですが、この方が手作りの暖かみがありますね。 

キッチンの真上に当たるロフロは、広さおよそ4畳。子ども達が上がれない奥さんの趣味の部屋です。ここで奥さんはバッグやワイヤーアートを作っているそうです。

キッチンもご主人の手作り。天板は、白いタイル張りですが、ご主人はモザイクタイルにしたかったそうです。でも目地の掃除が大変だからと、奥さんに却下。しかたなくお盆でガマン。

北野 和男 (旧姓 岩上)  一級建築士
 
1968年   富山県生まれ。
1991年   福井大学工学部建築学科卒業。
    同年藤木隆男建築研究所入所。
1993年~1994年   インド・ダラムサラ・チベット亡命政府にて設計ボランティア活動。
1999年   北野けんちく工房設立。

北野 裕紅   一級建築士
 
1968年   神奈川県生まれ。
1992年   神奈川大学工学部建築学科卒業。
1994年   東京都立大学大学院修士課程修了。
    同年藤木隆男建築研究所入所。
1999年   北野けんちく工房設立。
 
北野けんちく工房
             
連絡先   神奈川県高座郡寒川町宮山75番地
TEL&FAX   0466-22-2594
E-mail   SD8K-IWKM@asahi-net.or.jp
 
子供のころ夏休みにおばあちゃんの家によく泊まりにいきました。当時築80年以上の
古い民家でした。土間を改造した玄関は、いつも扉が開けっ放しでツバメが毎年巣を
作りました。居間は昼でも暗く、高い天井には大きな梁が黒光りして不気味でした。
室内から眺める緑の田園が眩しくて、僕の脳裏に焼きついています。しかしそれらの
風景はすでに存在しません。懐かしさを取り戻すことはできないのです。戦後社会は
経済も芸術も教育も建築も、「過去」を葬って「進歩」を求めてきました。でも、な
ぜ「懐かしさ」を残せなかったのでしょう。家を新築したからといって家具をすべて
買い換える必要がありますか?生活感をなくして生活できますか?おしゃれな家って
何?新しい気分は一瞬のうちに過ぎていきます。子供たちには、新しい気分を味わう
ためにリセットを繰り返すことを覚えるよりも、遠い未来に「懐かしさ」を感じても
らえたらなあといつも願っています。
 
北野和男さん、裕紅さんのお宅は敷地延長の土地なんですね。
間口は特に狭いです。玄関の所が2mですからね。
玄関の扉を開けますとタラップのような階段を登ってきます。
まさに飛行機、もしくは列車の部分、大きくいえば宇宙船みたいにも見えますね。
狭い土地ながら、あえて中庭を設けました。家の中心である中庭には、ユーカリの木が季節ごとに色んな表情を見せてくれます。
家全体、とても機能的であり、子育てのこと、そして家事一般しやすいようにということで建築家のご夫婦が色んなことを話しあって造られた建物です。