2005年6月11日(土)放送
東京都世田谷区・番屋邸
- 網に包まれた10坪生活 テラスで愛を語る家-
2005年1月完成
敷地面積     70平米(21坪)
建築面積     36平米(11坪)
延床面積     82平米(31坪)
鉄筋コンクリート+一部木造
建築費:2100万円    坪単価:67万円



旗竿敷地に建てられた番屋邸、建坪は11坪。建物の周囲は、ステンレスの網で覆われています。

リビングの広さは8畳。しかしどうでしょう、デッキ部分、さらにステンレスの網を通して外まで見えますから広く感じます。透明ガラスも全開放できます。なんと角には柱がありません。

置いてある家具は、ミッドセンチュリーで統一。ダイニングテーブルは造り付け、ご主人の趣味のラジコンも存在感ありますね。

デッキはグレーチング張り、周りにはステンレスの網。ここは紛れもなく外部ですが、リビングの延長のような気がします。見上げると小さなデッキ。ここで会話もできます。まるで、ロミオとジュリエットのような雰囲気ですね。


キッチンはダイニングの裏、小さなキッチンですが、ここも透明ガラス、ステンレスの網で覆われていますから、広がりがあります。キッチンはコンクリートの躯体でできています。これはアイデアです。


寝室もリビングと同じ8畳。ご主人の趣味の帽子がたくさん置かれていました。小さなデッキは避難用のもの。ご主人がタバコスペースとして使っています。 

11坪の番屋邸、実は奥さんのご両親と同居。1階のご両親の部屋は周りが透明ガラスで囲まれています。明るい部屋です。お父さんの趣味の本が壁一面に置かれています。

水まわりは曇りガラスで囲まれています。床はモルタル。これもコストを抑える工夫です。浴槽は、足の悪いお父さんが入りやすいようにと、掘り下げてあります。

清水貞博(しみず さだひろ)
1973年   宮城県仙台市生まれ
1998年   東京工業大学工学部建築学科卒業
2000年   東京工業大学大学院修了
大成建設本社設計本部入社
2002年   atelier A5設立
 
松崎正寿(まつざき まさとし)
1975年   神奈川県生まれ
1998年   日本大学理工学部建築学科卒業
2000年   日本大学大学院修了
大成建設本社設計本部入社
2002年   atelier A5設立
 
清水裕子(しみず ゆうこ)
1973年   千葉県生まれ
1998年   日本女子大学家政学部住居学科
2000年   東京工業大学大学院修了
Hellumuth,Obata+Kassabaum,inc入社
2002年   atelier A5設立
     
受賞歴
1999年   第10回空間デザインコンペ 佳作
第13回建築環境デザインコンペ 佳作
第14回メンブレイン・デザインコンペ 2等
2000年   第14回建築環境デザインコンペ 優秀賞
2001年   第15回建築環境デザインコンペ 入選
2002年   おにし屋内広場設計提案競技 6等 
2004年   第7回TEPCO快適住宅コンテスト 佳作
大阪仮設劇場実施コンペ 審査員特別賞 総合2位 
 
住宅作品
    「K.house」、「Y.house」、「B.house」、「N.house」、「I.house」、「T.house」、「K.house」他
 
大野博史(おおの ひろふみ)
1974年   大分県生まれ
1997年   日本大学理工学部建築学科卒業
1998~1999年   ユーゴスラビアENERGOPROJEKTにて海外研修
2000年   日本大学大学院修了
2000~2004年   池田昌弘建築研究所に勤務
2005年   オーノJAPAN設立

atelier A5 一級建築士事務所

〒154-0022 東京都世田谷区梅丘1-22-4-203                                 
TEL   03-3425-6012
FAX   03-3425-6012
E-mail   A5@a-a5.com
 
敷地面積約70㎡の狭小敷地で、周辺を建物に囲まれた旗竿敷地の計画です。敷地は「旗」と「竿」とに二分され、実際に居室を計画出来る範囲は「旗」の部分なので、さらに狭い敷地条件となります。
狭い敷地で、いかに周囲を取り込みながら敷地一杯まで住み手の生活を拡大させていくかがこのプロジェクトの大きなポイントです。
  狭い敷地において、広がりを獲得するため、建物を内、外に2分するのではなく、その間に「半内部」の空間を設けるように計画しています。テラスとして設けられた「半内部」の空間は、ステンレスメッシュにより緩やかに建物全体を包み、建物内の広がり最大限に創り出しています。
半内部としてのテラスとその表皮のステンレスメッシュは周囲に光と風と距離を提供する"靄(もや)"として現れ、"靄(もや)"の中で住み手の生活は敷地一杯まで拡大します。
 
番屋さんのお宅はなんとも斬新な建物ですね。1Fの水まわり、そして2Fのキッチンスペースと建築の新しい可能性を感じます。
特に、この構造、分厚いコンクリートの壁、上から吊るす、さらに引っ張るなど様々な手法が使われています。そして、ステンレスのメッシュ、この網で建物を囲むことで内外をあいまいにし、土地いっぱい、更に無限にまで開放感を与えています。この解釈がいいですね。