2005年6月4日(土)放送
神奈川県川崎市・白井邸
- ハーブ香る美味しい空間 キッチンガーデンのある家-
2004年3月完成
敷地面積    169平米(51坪)
建築面積     67平米(20坪)
延床面積    137平米(41坪)
鉄筋コンクリート造+木造
建築費:3600万円    坪単価:87万円



傾斜の激しい崖地に、埋め込まれたように建つ外観。 駐車場の上から突き出したようなデッキが開放的でいいですね。

1階は、リビング。 ダイニング、キッチンが一体となった大空間。 緑が見える南に面した大窓が印象的です。 吹き抜けが、室内をさらに明るく、開放的にします。

リビングには鮮やかな、朱色のソファー。 そして、白い大理石の天板に覆われた暖炉が置かれていました。落ち着いた色合いが絶妙なバランスをとっています。 大人の空間といった感じです。

外から階段でつながっている デッキスペース。 釣りから帰ってきた父子が、中を通らず、調理できるように蛇口が用意されています。 休日には、デッキに七輪を置いて、バーベキューも楽しんでいるそうです。


たっぷり収納のキッチンは、奥さんの希望。 勝手口を抜けると、岩場のようなキッチンガーデンが広がっています。 ハーブや果実など、10種類以上の食べられる草花がありました。 キッチンからすぐの距離がうれしいですね。


浴室は、露天風呂をイメージした石造り。 天井、壁は、殺菌効果のある青森ひば。浴槽には竹の枕が置かれていました。ご主人は一度入ると2時間は出てこないそうです。 

2Fは、書斎スペース。右手に長男の部屋、奥には夫婦の寝室があります。 書斎スペースから見える、外の景色は、まるで別荘のようですね。

1Fからの吹き抜けを生かした夫婦の寝室。 吹き抜けを開閉できるため、プライバシーも守りつつも、開放感が味わえます。

白井 克典
   
1957年   愛知県生まれ
1980年   日本工業大学卒業後、林・山田・中原設計同人
2002年   設計同人・白井事務所設立
受賞
1990年   豊田市都市景観賞(豊田の家)
2002年   江戸からかみコンテスト最優秀賞(浜松の家)
2003年   山梨県建築文化賞(大月の家)
論文・著書
    「凝縮された空間」  建築家林雅子(新建築社、2002)
 

白井克典設計事務所

東京都新宿区南本町19 
TEL   03-3353-2438
FAX   03-3353-2439
E-mail   kshir854@k-shirai-archi.com
 
敷地は、8mの高低差がある30度の傾斜地で、南北に細長い三角形の形状をしている。 一見、建物を建てる敷地とは見えにくい土地ではあるが、周辺は緑豊で日当たりも良く、敷地の特徴を生かした住宅が完成した。 建物は、地階部分と斜面を受ける部分のみ土留めを兼ねてRC造としている。 東道路からカーポート、入り口のつながりをオープンにするため、1階床スラブを東面にはね出し、その上に木造で1・2階を建てている。地階斜面側のRC壁を利用し、陶芸のできる工房にあって、カーポートと連続する部分に、入口、階段を配置している。1階は西斜面側に水廻りをまとめ、パブリックスペースを大きく東側に確保した。外部は1階部分にあるデッキとつながったわずかな庭にヒメシャラを植え、借景とのバランスをとっている。 また、敷地頂上部の平らな部分は畑をつくり、野菜を栽培している。北側には、斜面を利用した石積のだんだん畑を設け、東道路から台所に直結した石段の足元にハーブや果物類を栽培している。 仕上材は、建物が完成してから自然にその表情がだんだん変化して、落ち着きを持たせてくれるものが使われている。 住まうほどに味わいの出る素材を積極的に使った。
 
自然素材を用いて、時が経てば経つほど美しくなる。 経年変化に対応した白井さんのお宅。 建築家である白井さんは、家を設計するときに、まず土地を見て、その土地に無理がないように、設計されるそうなんですが、なんとも気持ちいいものですね。 南面の窓から見える景色は、軽井沢か、山中湖か、そんな風にも見えます。 “大人の家”というのは、こういう建物のことを言うんでしょうね。 このような建物が、緑の間合いを取りながら、街並みを構成していく なんて事を考えますと、ワクワクしますね。