2005年5月7日(土)放送
東京都渋谷区・長谷川邸
-気分はSF 未来型住宅-
2004年6月完成
敷地面積    135平米(41坪)
建築面積     80平米(24坪)
延床面積    193平米(58坪)
RC造地階+鉄骨造2階建て
建築費:6500万円    坪単価:111万円



白い箱を積み重ねたような外観。駐車場には真っ赤なフェラーリ。お子さんが、「口を開けた怪獣のよう」と表現した家

地下が玄関。トップライトの光に浮かぶ透明ならせん階段はまるでオブジェのよう。右手には、ガラスに覆われた水まわり。

収納やスイッチひとつひとつが、店舗に使われるもの。天井から直接降り注ぐシャワー、お風呂に入りながら愛車を眺められる浴室。

1階はは白とシルバーの大空間。中心にはらせん階段。天井高を低くすることで安心安定感を出す、商店建築の極み。照明は全て間接照明。夜になれば、乳白色の世界に変貌。


一段上がったところにあるのがリビング。大型テレビは、裏の収納のためにスライド式にしてある。収納には見えないシルバーの壁収納。


キッチンもシルバーの世界。隠れながらも家族の気配が分かる。キッチン横がダイニング。ここにも収納にテレビが隠されている。

2階にある子供部屋。シンメトリーにシステムベッドが置かれている。壁には子供たちの作品がずらり。

アプローチの長い寝室。こちらもシンメトリー。

文田 昭仁 

1962年大阪生まれ。大阪芸術大学卒業後、リックデザイン入社。95年文田昭仁デザインオフィス設立。99年、活動の拠点を大阪から東京に移し現在に至る。代表作に「Natural Body」「日産銀座(他)ギャラリー」「東京モーターショー日産ブース」「高島屋大阪店西館地下」など。
 

FUMITA DESIGN OFFICE INC.  (有限会社 文田昭仁デザインオフィス)

〒107-0062
東京都港区南青山2-18-2 福田ビル1F+B1F      
TEL   03-5414-2880
FAX   03-5414-2881
E-mail   mail@fumitadesign.com
 
この住宅を取りまく環境は、各々の住宅が一般的な住宅としての趣で、時折その中に
個性的な建物が散在するような、いわゆる閑静な住宅街であった。
依頼主は普段から仕事で関わり、私の仕事内容や手法を熟知する人物であった。依っ
て今回のプロジェクトが始まったとき、既に信頼関係が成り立っており、非常に恵ま
れた状況で仕事を進めること事ができた。
H邸は、内部的要求と外部からの制限の間で、必然的に出来上がるボリュームの把握
と整理を繰り返すことで導き出されたものである。そしてこのボリュームは如何にし
てボリュームのままリアルなものとして現実化するかが私にとって重要であり、つま
りはその形態が可能な限りプリミティブであるということである。
しかし当然これらは具体的な建材によって実現されなければならず、不要な意味を含
んだあらゆるディテールを抱えるはめになる。そこで必要になってくるのはそのこと
を防ぐためのディテールであり、形態の純度を高めるディテールである。言い換える
とノイズを消去するためのディテールである。

内部空間に於いてもボリュームを分割しながら、それぞれを自己完結する形態とさせ、
更には存在するものと、されるものの関係に還元することで形態を確立させるに至っ
ている。

照明・空調などの設備に関しても同じ事が言える。空間に必要なのはあくまでそこを
照らす光であり、コンディショニングされた空気であって、器具本体ではない。まし
てやそのもの自身のディテールでもない。操作系統も含めて、機能に支障がない限り
隠蔽する事で設備自体が形状を主張することを排除している。またエレメント同士に
はクリアランスを設け空気の出入口として利用している。このことは同時に先に述べ
たボリュームの自立に有効な造形的手法でもある。

終始形態にふれてきたが、ここで改めて感じることは、私にとって初の取組であった
この住宅も、やはり細部に至るまで制御することで成立するものであったということ
と、思った以上に生活者に対して何かを強いるものにはなっていなかったと言うこと
だ。
 
長谷川さんのお宅はとてもモダンな建物です。長谷川さんは、商店建築の施工会社をされています。そこで出会ったデザイナーに、この建物の設計を依頼されました。ディテール部分からの積み重ねも素晴らしい。ここまで徹底してデザインされていると、とても居心地の良さを感じます。近未来の住宅はこうあるんじゃないかという気がしました。