2005年3月19日(土)放送
東京都世田谷区・村上邸
-都心ライフ満喫! 9坪7層の家-
2004年4月完成
敷地面積      51平米(15坪)
建築面積       30平米(9坪)
延床面積      89平米(27坪)
鉄骨+RC造3階建て
建築費:2700万円    坪単価:100万円



村上さんのお宅は敷地15坪に建てられた建築面積9坪の住宅です。玄関を入ると奥に見えるのが下へ続く階段とその先にある洗面、上に見えるのが部屋となります。村上さんのお宅はスキップフロア―構造で、3階建ての7層住宅。洗面は1層目、玄関と駐車場が2層目となります。

1層目の洗面の横には浴室もありました。洗面と浴室との仕切りはガラス。そして、西側に坪庭も造りました。間仕切りのガラスと外の景色を取り込むことで開放感を演出しています。

3層目は広さ6.5畳のダイニングキッチン。ここが先ほど玄関から見えた上のスペースとなります。ダイニングキッチンからは西側のデッキ、東側にある上に続く部屋や2層目の駐車場へと視線が抜け、広がりを感じられるようになっています。開放感も確保しつつ、どこか落ち着きも欲しい。天井高を低めにすることで適度に広がりのある空間へと仕上げています。

4層目のリビングはダイニングキッチンの上になります。東側は全面大開口。この大開口から広がりと採光を確保。ダイニングと違ってリビングは天井も高くしています。


リビングの南側の壁沿いは本棚となっています。本棚の本はほとんどがご主人のもの。色々なジャンルがありますが、その中に建築の本や雑誌も多くありました。建築好きのご主人は家を建てるにあたり、非常に勉強されたとか。ご主人が建築家と意見を交換し、家作りに取り組まれたそうです。だかこそ部屋作りにもこだわりをお持ちです。


寝室はリビングからさらに上がった5層目。リビングから見ると茶色の壁の奥となります。中の天井・壁・床はすべて壁と同じ色。寝室は落ち着いて休みたい場所。だからこそ開放的で無く、少し閉鎖的な空間に仕上げています。

子供室は広さ8畳、6層目。現在は二人のお子さんの遊び場兼奥さんの部屋となっています。奥さんはぬいぐるみなどが大好き。お子さんのおもちゃと一緒に自分が好きなぬいぐりみも棚に並べています。

一番上の7層目は屋上デッキ。こちらは物干し場やくつろぐ場所として使用されているそうです。昼間は青空、夜は星空を眺める。実に心が休まりそうです。室内外の間仕切りはガラス。洗濯物を干しながら、子供室で遊ぶお子さんの様子も見えるようになっています。

山縣 洋(やまがた よう)
   
1962年   東京生まれ
1987年   東京工業大学修士課程修了
    同年    竹中工務店入社
1994~1996年   OMA(オランダ)に勤務
2002年   山縣洋建築設計事務所設立
2003年~   明治大学、都立品川技術専門校非常勤講師
 

山縣洋建築設計事務所


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E-mail   yo-yamagata@mse.biglobe.ne.jp
 
家の中に雰囲気の異なる場所があると生活が楽しくなると考えています。季節や時間、その日の気分に応じて、居心地のよい場所を見つけて住むことができればと思っています。
この住宅にも7つの異なる雰囲気をもつ場所が用意されています。天井の高さや窓の開け方、光の取り入れ方、材料の使い方などに変化をつけることにより、開放的な場所があったり、落ち着いた場所があったりします。それらの空間を完全にわけてしまわずに、スキップフロアー状にゆるやかにつなげることにより、どこに居てもが視線がいくつかの方向に抜けて、建築面積9坪とは思えない広がりのある内部空間を生み出しています。
 
都市居住は狭小敷地やむえずということが言えます。さらに東側以外は3方を他の建物に囲まれ、その難題をクリアにするため、スキップフロアで広がりを見事に確保されています。光の取り入れ方と建物の彩りも素晴らしいです。随所に陰影が見受けられました。それぞれの部屋の役割もしっかりしていて、空間造りもその目的にしっかりと合っています。ご主人は建築・デザインが好きで非常によく勉強されています。建築家と意見をたたかわせながら、家作りに取り組まれました。この建物が成功したのはご主人の建築に対する思いの強さではないでしょうか。