2005年3月5日(土)放送
神奈川県横浜市・山本邸
-気分は白樺高原 横浜でロッジ生活-
2003年12月完成
敷地面積     351平米(106坪)
建築面積       73平米(22坪)
延床面積      119平米(36坪)
木造2階建て
建築費:3045万円    坪単価:85万円



山本さんのお宅は急斜面に建つ、豊かな自然に囲まれた住宅。山本さんは田舎暮らしをしようと長野で土地を探されたそうです。しかし、ここ横浜に豊かな自然に恵まれた土地を見つけ、ひと目ぼれ。すぐに家を建てると決めたとか。

1階のダイニングキッチンに入ると、そこは木に包まれたスキップフロアの空間となっていました。ダイニングからは半階下がったリビングと半階あがった家族室が見えます。全てが無垢の木。ここが横浜ということを忘れてしまいそうな気持ち良さです。

浴室はトップライトからの日差しが降り注ぐ明るい空間。壁の上部にはヒノキを使用。坪庭を設け、には百日紅(さるすべり)を選ばれました。木の香りと百日紅の花を楽しみながらお風呂に入れます。

リビングはダイニングキッチンより半階下がったとこにあります。ここから眺められるのは緑美しい谷間の風景。この景色を眺めながら、ゆっくりとくつろげます。リビングとダイニングキッチンの床材はパイン。


リビングには座り心地の良いソファーと高価なアンプやスピーカーが置いてありました。音楽はご主人の趣味。CDやレコードはおよそ2000枚。景色をつまみに音楽を聴く。どこの高原ロッジよりも豊かな時間が過ごせます。


2階の家族室は広さ10畳。ここでは奥さんが趣味の染色を、ご主人が持ち帰った仕事を、お子さん大好きなおもちゃで…。家族みんなが思い思いの時間を楽しむ場所となっています。北側のパノラマ窓から絶景が望める家族みんなが好きな場所となっています。家族室の床材はメープル。

寝室はゆっくりと休めそうな落ち着いた空間。見事な桐箪笥が置かれていました。これは奥さんがお母さんから譲り受けたものだとか。3階の床材はカリン。床だけで3種類の無垢の木が使用されていました。お子さんは様々な木と触れ合いながら育って行くのですね。

寝室の横には納戸がありました。しかも、トイレ付き。ここのトイレには小さな窓を設置していました、。絶景を楽しみながら、ほっと一息…。トイレでも景色を眺めれるのがいいですね。

長谷川 順持(はせがわ じゅんじ)
   
1962年   横浜で生まれ育つ、現在、新浦安在住
1986年   武蔵工業大学建築学科卒業
1995年   長谷川順持建築デザインオフィス設立
2004年   インタラクティブコンセプト社設立
     
2000年~   武蔵工業大学建築学科にて教鞭をとる
     
受賞暦  
1995年   「居住新時代の木造住宅」設計競技にて最優秀賞
「奈良山の辺の家」で建設大臣賞
1998年   「石巻の家」
イナックスデザイン最優秀作品バリアフリーテーマ賞
2004年   「どまだんシステム」で新領域部門グッドデザイン賞ノミネート
集合住宅「M・CASA」で建築部門グッドデザイン賞受賞
     

住宅作品

 

「妙蓮寺の電化住居」「大きな音楽室ハウス」「津田沼の家」他

   
著作
  「環境共生住宅のつくり方」「快適間取りのつくり方」以上彰国社
   
 

長谷川順持建築デザインオフィス株式会社


104-0033
東京都中央区新川2-19-8-7F                                   
TEL   03-3523-6063
FAX   03-3523-6066
E-mail   interactive-concept@co.email.ne.jp
 
長谷川順持
この住まいは正に「産みの苦しみ」をクライアントとともに楽しんだ住まいです。(今となってはこう言えるのですが、、)軟弱地盤の傾斜面が故に、斜面を杭で地盤補強、最小限の切り土を施しそこへ建築をふわりとなじませ載せていく。綴ってしまえば簡単なのですが、工事は難を極めました。なかなか進まない工事計画を辛抱強く見守り、私達を信じてくれたクライアントに、本当に感謝しています。さて、平らな場所がまったくない30度の傾斜とそこから展開する北側の景色はたいへん魅力的であり、この「土地」にこだわったクライアントの「熱」をいかに建築に写し取っていくかがテーマでした。北側風景を各所から望める「断面構成」。斜面になじむように上り下がりするスキップフロアー、そうした構成を柔らかくささえる自然素材。複雑な空間構成も、結果としては穏やかに風景と呼応する「優しい空気感覚」に結実させたかったのですが、その理由はこの家族の纏う雰囲気、世界が、そうした空気感に似合うと感じたからです。クライアントに似合った住まいとなっているのかどうか、答えは遠くにあるのかもしれませんね。
 
山本さんのお宅はとても心落ち着く建物です。この居心地の良い空間に身を置いていると、自分たちはオートメーションのベルトコンベアのような効率を優先の社会に生きているという事を考えさせらます。山本さんも研究者として技術の最先端のお仕事をされ、技術は日夜進歩しています。山本さん田舎暮らしをしたいと土地探しから苦労されたそうです。仕事と距離を置いた落ち着く場所で過ごしたいと思われたのではないでしょうか。何事も便利で効率良くということが良い訳ではありません。山本さんは音楽を聴くにしてもターンテーブルにレコードをかけています。アナログ的なものを大切にされています。交通などが都心より不便なのを承知で、自然豊かな土地を求められました。そして、できあがった建物は程よく機能的でどこかロッジを思わせます。基本は懐かしさ。そんな感じが致しました。