2005年2月19日(土)放送
神奈川県川崎市・福地邸
-庭を愛でる パノラマ窓のある家-
2004年7月完成
敷地面積  1300平米(393坪)の一部
建築面積        83.5平米(25坪)
延床面積       159.5平米(48坪)
木造2階建て
建築費:3580万円    坪単価:74万円



福地さんのお宅は広大な敷地の中に建つ造2階建て。一家6人の大家族が住まう、美しい庭を愛でるられように建てらた建物です。80坪ある庭の樹木は50種類以上、ご主人のお父さんとお祖父さんが植えたそうです。庭には緑の中にキンカン、ゆず、四季咲きレモンなどの豊かに実った果実が見えました。

玄関を入ると正面はガラス張り。ガラス越しに樹齢100年を超えるケヤキの御神木が見えました。家を建てる際にお父さんから庭の松の木と御神木は残して欲しいという要望があったそうです。建築家はその思いをしっかりとくみ取り、設計していますね。

1階のLDKは広さ30畳。庭側の開口部は大型パノラマ窓、素晴らしい緑が眺められます。お父さんがつくった庭を余すことなくが楽しめるのがいいですね。

リビング・ダイニングに置かれた家具には建築家がデザインしたものがありました。リビングのコーヒーテーブルや収納棚は目隠しのアクリルの引き戸を移動できるようになっています。


キッチンは対面式のアイランド型。福地さんは家族みんな料理好き、いつの間にか家族全員で集まって調理をしていることもしばしば。だから広いスペースを確保し、みんなでキッチンに立てるように設計してあります。家族が多い分、収納もしっかりあります。


和室は寝室として使用しています。ここから見えるのはお父さんの畑。さつまいも、エンドウ豆、大根、ネギ、キャベツと家の畑でとれる野菜は福地家の食卓を豊かにします。川崎市では珍しくなった広々とした畑の風景。近くの小学校に体験自習の場としても畑を提供しているそうです。

2階の広間はそれぞれの子供室へとつながっています。その内のひと部屋へはブリッジを渡るようになっています。同じ家の中にあるのに、まるで離れのように感じらるのがいいですね。本棚と階段、吹抜け、ブリッジを組み合わせることでとても豊かな空間になっていました。

屋上も広々としたスペースを確保。洗濯物を干したり、バーべキューなども楽しめます。面白いのが安全のために付けられた手すり。なんと自由に形を変えることができるようになってしました。これも建築家オリジナルのアイデアです。

八木 幸二(やぎ こうじ)

1944年   愛知県生まれ
1969年   東京工業大学工学部建築学科卒業
1970年   同大学助手
1971~74年   シリアの都市計画援助OTCA派遣
1975~76年   クインズランド大学(オーストラリア)研究員
1980年   オクラホマ大学(アメリカ)客員助教授
1987年   MIT(アメリカ)客員研究員
    現在,東京工業大学建築学専攻教授
 
東京工業大学八木幸二研究室
(とうきょうこうぎょうだいがくやぎこうじけんきゅうしつ)

事務所・学校
住所:〒152-8552 目黒区大岡山2-12-1(ポストNo.M1-44)                                   
TEL   03-5734-2678
FAX   03-5734-3579
E-mail   yagi@arch.titech.ac.jp
 
2本の五葉松と御神木,玄関脇の椎の合計4本は既存の位置を維持しながら,住宅のシンボルツリーとして取り込みました。広間を囲う大開口からは,このシンボルツリーと庭の緑を一面に享受することができます。屋上まで抜けていく階段ホールの吹抜けは,窓側の五葉松と壁側を一面の本棚に挟まれ,通過動線以上の役割りを果たし,家族をつなぐコミュニケーションホールとなっています。鬱蒼とした庭の状況から防蟻に配慮し,RCの基礎を通常より高く,ダイニングテーブルや,広間の棚と高さを揃えることで,室内のインテリアの一部として取り込みました。システムキッチン,ダイニングテーブル,広間の棚,2階の廊下収納棚などは,大空間を柔らかく仕切る家具として,住宅の一部として同時に設計しました。屋上の手摺は30mのステンレスメッシュで,円筒形のプランターボックスに緊結しているだけで,自在に変形できる可動手摺です。
 
福地さんのお宅は広い敷地に建っています。色々な木々があり、柑橘類が実をもたげる。とても良い雰囲気です。LDKの窓は大きな庭を眺めるための180度の大胆な開口となっています。80坪あるお父さんが作った庭を余すことなく楽しめます。隣には母屋があり、ご主人のお父さんがお住まいです。外観も母屋の「和」の雰囲気に合うように外色は墨色となっています。モダンな建物となると、居心地の良さよりデザイン先行といった感じが致しますが、この建物は機能的で住んでいる人が心地良く暮らせるようになっています。新しい家ができて、お子さんがとても喜んでいたのが印象的でした。この家ができる前は8畳の部屋に家族5人で一緒に寝ていたそうです。それが個室を与えられて、この家で新たな生活が始まる。そんな感じが致しました。