2005年2月12日(土)放送
東京都世田谷区・鈴木邸
-家事らくらくキッチン 雑貨に包まれる暮らし-
2004年2月完成
敷地面積      59平米(18坪)
建築面積      35平米(11坪)
延床面積      86平米(26坪)
木造3階建て
建築費:1900万円    坪単価:73万円



鈴木さんのお宅は敷地20坪に建てられた木造3階建て。ご夫婦とかわいいお子さんの3人が住まう、黒色の外壁とファサードのルーバーが印象的なお宅です。玄関の前は車一台分の駐車場になっています。

1階はグラフィックデザイナーをされている奥さんのアトリエと家族の寝室となる畳の間で構成されています。アトリエの棚には奥さんの作品などが美しくレイアウトされていました。どれも興味をひかれるものばかり。中でも鈴木さんの結婚式で引き出物として配った絵本は鈴木さんご夫妻の関係性が伝わってくるものでした。

2階のLDKは広さ20畳、リビングの天井は吹き抜けとなっています。中央にはアイランドキッチンが配置されています。一緒に家事をしたいというご主人の意見からオープンにしたそうです。

2階のLDKは広さ20畳、リビングの天井は吹き抜けとなっています。中央にはアイランドキッチンが配置されています。一緒に家事をしたいというご主人の意見からオープンにしたそうです。


ダイニングテーブルはコンロのすぐ横。出来上がった料理をすぐに食卓に並べられます。ダイニングテーブルはご主人とご主人のお父さんが子供の頃、勉強机として使っていたもの。思い出が詰まったテーブルを今でも大切に使われています。しかし、ダイニングテーブルとしては少し小さめ。そこで、ご主人が延長テーブルを付けれるようにしました。ひと工夫が愛ですね。


キッチンの奥のカウンターの下に洗濯機、キッチンの上には物干し竿がありました。ここで洗濯をして干せるようになっているのです。食事を作りながら、食器を洗いながら、洗濯ができます。そして、乾いた洗濯物をたたむのもキッチン。家事全般をひとつの場所でまかなえる、家事動線が楽なキッチンです。

リビングには奥さんの絵が飾られていました。どれも家が建つまで段ボールの中に眠っていたものばかり。ご主人が奥さんの絵を飾れる場所を作って欲しいと建築家に頼んでくれたそうです。置かれている家具は鈴木さんの両親や祖父母が使っていたという思い出の品。この空間に見事に調和していますね。

3階の子供室には段ボールでできたお子さんのおうちがありました。これは奥さんの手作り。お子さんもこのおうちが大好きだとか。ここからはリビングが見下ろせ、家族の気配をいつも感じられるのがいいですね。

大戸 浩(おおと ひろし)

1954年   神奈川県生まれ
1978年   福井大学工学部建築学科卒業
渡辺豊和建築工房、大野建築アトリエを経て
1989年   建築計画網・大系舎 1級建築士事務所設立
1996年   JCDデザイン賞'96 優秀賞
2000年   福井大学50周年記念館設計競技佳作
2001年   第7回デジタル・デザインコンペ優秀賞
2003年   日経アーキテクチャー創刊750号記念コンペ佳作
2005年   第7回『あたたかな住空間デザイン』コンペティション特別賞
 
建築計画網・大系舎(けんちくけいかくもう・たいけいしゃ) 1級建築士事務所

〒153-0061 東京都目黒区中目黒2-7-11 宮岸ビル4階                                   
TEL   03-3716-2918
FAX   03-3716-8459
E-mail   ooto@taikeisha.net
 
このSOHO付き小住宅の計画では、自宅で仕事をする奥さんが、子育てと仕事を両立できるような良好な住環境が求められました。
またここではソフト面として、クライアントが家づくりに係わり、設計者や職人たちと協力して、家づくりのプロセスを楽しむことも同時に大切にしています。
ご主人は日曜大工が得意であり、室内の多くの棚をつくっています。また大切にしている古い家具の修理などはご自分で行い、楽しく、卓越したセンスで美しく飾っていらっしゃいます。また奥さんはグラフィックデザイナーで、ご自身の作品を住宅の各ポイントに配し、手作りのインテリアを楽しんでいらっしゃいます。設計者がいわば背景としてのスケルトンの部分を設計し、住まい手が図としてのインテリアを楽しめるような、バランスある住宅を目指しました。
鈴木さんのお宅は思わず笑みがこぼれてしまうような、安心感のある建物です。新築なのに懐かしい感じが致します。もちろん構造やデザインなどは新しいものばかり、そこに思い出のテーブルなどの家具を置き、懐かしさを作り出しています。そして、特別デザインされた物がひとつもなく、並べてあるもの、ひとつひとつが吟味されていて、センスの良さを感じます。1階のワークスペースでは多少ストイックな感じがしました。そして、2階に上がると開放感のある居心地のよい空間が迎えてくれる。とてもバランスのとれた建物だと思いました。