2005年2月5日(土)放送
神奈川県川崎市・伊藤邸
-都会の山荘 八角形 黒水晶の家-
2004年1月完成
敷地面積     153平米(46坪)
建築面積      51平米(16坪)
延床面積     121平米(37坪)
木造3階建て
建築費:3030万円    坪単価:83万円



伊藤さんのお宅は鳥のさえずりが聞こえてきそうな豊かな緑に囲まれた場所に建っています。設計は建築家であるご主人が担当されました。壁は黒、形は八角形と変った風貌をしています。自ら黒水晶の家と名付けた、愛する家族のために設計した建物です。玄関は壁の一部を切り取ったようになってます。切りとった部分は木の色合いををそのまま生かしています。この色の違いが果物の果肉を思わせます。

3階は家族みんながくつろぐスペースとなっています。天井、壁、床どこを見ても全て無垢の木が使われた、まるで木に抱かれたような空間です。天井は杉、壁は鉛筆に使われるインセンスシダ-、床はサワラ。どの材も伊藤さんがこだわって選んだ木材です。

3階の窓から見えるのは緑や空といった美しいものばかり。窓の中に見える景色は絵画のようです。計算された窓の配置が素晴らしいですね。

伊藤さんは一羽の文鳥を飼っています。この文鳥のヤマちゅんがすごいんです!なんと家族の手から手へと飛び移る。これを見て、思わず欲しくなってしまいました。


キッチンもご主人が設計。奥さんの要望わずかだったそうですが、使い勝手の良いキッチンができあがったそうです。収納のほとんどが扉なし。丸見えになりますが、必要なものがすぐに見付かり、取り出しやすいそうです。


彫金作家をしている奥さんのスペースもありました。奥の窓からは美しい緑が楽しめます。この景色を楽しみながら作品をつくり上げる。とても集中できるそうです。

2階は家族のプライベートスペース。ご夫婦の寝室、姉弟の部屋があります。3つの部屋は仕切りの上部が空いていたり、扉が無かったりと全て空間がつながっています。だから寝室からもお子さんの部屋の様子が良くわかります。

1階はご主人の事務所。とても広々としており、2世帯住宅や趣味の部屋としても使えますね。

伊藤 寛 (いとう ひろし)

1956年長野県生まれ。
1979年神奈川大学工学部建築学科卒業。長谷川敬アトリエ、小宮山昭+アトリエR勤務。
1986~87年ロータリー財団奨学金を得てイタリア、ミラノ工科大学留学。
1988年早稲田大学大学院修士課程修了。
同年伊藤寛アトリエ設立。
現在、神奈川大学、武蔵野美術大学非常勤講師。
     
伊藤寛受賞歴
1989年   名古屋世界デザイン博覧会「建築YATAI」競技設計、金賞
2001年   青森市北国型集合住宅国際競技設計、審査員特別賞
 
伊藤寛アトリエ 

〒214-0038
川崎市多摩区生田 8-29-13                                   
TEL   044-922-6412
FAX   044-922-6413
E-mail   ito@ito-kan.com
URL   http://www.ito-kan.com
 
周りを竹林で囲まれた緑多い環境の中で、建物が風景に対して美しい佇まいでありた
いと思いました。光りの陰影を強く出す南京下見板張りの、黒い八角形の筒が地面か
ら生えてきたような建築です。この家の構造や佇まいは、斜面地に生える竹とよく似
ています。
内部は3層あり、上2層が住居で下が仕事場です。内部は全てナチュラルな色の木で
出来ており、部屋の仕切りは最小限に計画されています。その為に何処にいても八方
に視線が抜ける、ひとつながりの空間になっています。

伊藤さんの家は八角形の建物です。内部は多種多様な木の用い方をしています。伊藤さんは木に触れ香りをかいで五感を通し、良い木材を選ばれました。自ら選んだ木材が構築する空間で日々の生活を送られています。徹底的に自然素材にこだわっています。だからとても居心地が良い。外観も木です。しかも黒く塗っています。切りとった部分だけ木の色をそのままにしてあります。この部分が果物の果肉に見える。そして、ここが玄関となります。この玄関からドラマが始まり、とてもあたたかい世界が迎え入れてくれる。そんな感じが致しました。