2005年1月29日(土)放送
東京都世田谷区・堀江邸
-娘から両親へ 10坪NY流収納術-
2004年1月完成
敷地面積     67平米(20坪)
建築面積   32.5平米(10坪)
延床面積    109平米(33坪)
RC造地階+木造2階建て
建築費:4050万円    坪単価:122万円



堀江さんのお宅は建築面積10坪の建物。ニューヨークで建築家として活躍している娘さん夫婦がご両親のために設計しました。ファサードは左右対象のデザインとなっています。入り口は二つ。正面から見て右側が玄関へ、左側が地下へと続いています。

1階のLDKは広さ10畳。キッチンには折戸が付いていました。これを締め切れば、キッチンを綺麗に隠せます。急な来客の時には閉めればスッキリとし、便利に使えます。

畳スペースは40センチ高くして腰掛けられるようになっています。こちらには炉もありました。奥さんがここで趣味のお茶を楽しまれているそうです。他にもにじり口や引き出し収納が付いていました。

浴室は白色で統一された空間。壁にある大きな鏡と坪庭で開放感を演出。このおかげでバスタイムがとても豊かになりますね。


ご主人の書斎も折戸の奥にありました。開けてみるとそこにはトイレもあります。なんとトイレと一体になった書斎です。梁と棚の間の壁を鏡にしています。梁が反射して奥まで続いているようです。このアイデアひとつで部屋の広がりが全然違います。


和室は広さ6畳。ここは居間兼寝室として使用しています。壁の一部は大きな忍者扉。開け閉めひとつで空間の広がりを変えられるようになっています。畳とフローリングの段差を利用して引き出し収納を設置。

ロフトへ続く階段の下も収納になっています。わずかな隙間も収納にして、デッドスペースを有効活用しています。ロフトは男のロマン部屋だとか。独りで物思いにふけり、ゆっくりと過ごすのもいいですよね。

地下室は広さ22畳。フロアとドライエリアの床材を合わせることで空間がつながっているように見せています。これも開放感を演出する方法のひとつ。クローゼットも確保。狭いながら広がりと収納を大切にしているのが嬉しいですね。

堀江 芳美 (ほりえ よしみ)  廣木 邦明 (ひろき くにあき)

堀江 芳美 (ほりえ よしみ)
1972年   東京都に生まれる
1995年   日本大学理工学部建築学科卒業
1995~1999年   桂設計
2000年   ヨッチデザイン設立
2002年   ニューヨーク プラットインスティテュート 建築学科修士課程修了
 

廣木 邦明 (ひろき くにあき)
1968年   水戸市に生まれる
1993年   早稲田大学理工学部建築学科卒業
1993~2001年   松田平田(現 松田平田設計)
2001~2003年   ノブタカ アシハラ アソシエイツ(USA)
2002年~   ヨッチデザインにて堀江芳美と協働
2004年~   ラルフ ソブル アーキテクト
受賞暦    
2004年   カナダグリーンデザイン賞 優秀賞
 
ヨッチデザイン一級建築士事務所  

〒158-0084
東京都世田谷区東玉川1-14-5                                      
TEL&FAX   03-3728-2309
E-mail   info@yottidesign.com
 
20坪という敷地を最大限利用し、その狭さを感じさせないよう配慮しました。地下1階からロフト階までの4層分を階段や吹き抜けを通して時に直接的、時に間接的に空間をつなぎ、オープンでありながらもプライベートを確保しつつ、一体感のある空間となるような計画としました。階段を上り下りしながら「家の中を楽しむ」様々なシーンが展開されます。あらゆるところに収納を設け、家具を後から購入する必要がないような計画とすることで、入居後も竣工時の印象と同じように生活できるようにしています。
日本の木造建築の美しさは構造部材の美しさでもあります。この建物では屋根の部材に大きな丸太と細い部材を組み合わせて使用して、木のぬくもりを感じる天井をつくりました。また、木と白い壁、黒い建具とでバランスをとった色彩計画とし、落ち着いた生活を演出することを意図しています。
堀江さんのお宅は敷地20坪、建築面積10坪。建物は建ぺい率、容積率共に厳しい住宅地に建っています。しかし、この建物は建築面積から想像できない広がりを感じます。細かいディテール部分までデザインし、鏡を使い、段差を設け、更には部屋部屋に小窓などを設けています。抜けを非常に計算して設計されているわけです。ご両親のために娘さん夫婦がとにかく力惜しまず、設計されたということです。ものづくりには創作の苦しみが付き物です。その苦しみがご両親の笑顔によって、喜びに変わったのではないでしょうか。