2004年12月25日(土)9時30分〜10時25分放送 テレビ朝日
 ※地域によって放送日は異なります。 




2004年12月25日放送
石川県金沢市・伊東邸
−スローライフ!甦る蔵屋敷−
2003年12月完成
敷地面積  1650平米(500坪)
建築面積     60平米(18坪)
延床面積     89平米(27坪)
木造2階建て


伊東さんは使われていなかった築100年以上も経つという蔵を改築されました。蔵は大容量の収納力があり、火に強く、気温や湿度の影響も受けにくいのがその特徴です。白漆喰が印象的な外観。住居になっているとは思えない蔵そのもの佇まいとなっています。


玄関から入るとそこには2つの蔵がありました。これには驚きました。2つの蔵を木の壁で覆っているため、外からは1つに見えたんですね。木の壁は刀を守るように囲っているので、鞘(さや)と言われるそうです。伊東さんは左側の蔵を改築して住まいにしています。


内部は蔵の基本構造をそのまま活かし、1階と2階が吹抜けでつながったワンルームとなっています。中央に置かれた薪ストーブ1台で部屋中温かくなるそうです。大事なものを火事などから守る納庫として建てられた蔵。外壁には燃えることのない土が使われ、この土が断熱材として機能し、室内の湿気を調節してくれました。だから蔵は冬暖かく、夏涼しい、快適に過ごせるのです。

蔵は窓が小さく、採光が悪い。そこで、南側の壁の一部を切り取り、窓にしました。ここから日差しが入り、室内が明るくなります。内壁は昔のままにしています。木材はクサマキ。水湿や白蟻に強く、保存性と防虫性に優れているそうです。

伊東さんご夫婦は金沢で産まれ育ち、静岡で会社員として仕事をされてきました。定年を迎え、金沢に戻り、故郷では自然に囲まれながら生活しています。畑を耕し、山に入る。その作業も大変ですが、第二の人生を楽しまれています。

壁には奥さんが描いた絵が飾ってありました。絵を描くことは奥さんの趣味。そして、所々に見られる裁縫も奥さんが手でぬったもの。昔の人がやっていたことをやらずして死ぬのはもったいないとひとつひとつ手で縫われています。便利になった昨今、忘れかけているものがあるかも知れませんね。

キッチンはオープンキッチン。こちらで自宅の畑や地元で採れたものを調理。金沢に帰ってきて作る料理も変ったそうです。自家製の味噌を使ってのお味噌汁に、日本海の名物、笹かれいの一夜干し。自分で育て収穫する。慈しみながら頂く食事。まさにスローライフの実践です。

水周りは一部をガラス張りにしたボックスの中に集中しています。ライトが付いていれば、人の姿がうっすらと見え、使用しているのがよく分かります。浴室には窓が取れなかったそうです。外を眺める窓がなく、寂しい気もしますが、壁、天井を檜にし、檜の香りを楽しみながらお風呂に入れるようになっています。

家山 真(いえやま まこと)
 
1968年   富山県生まれ
1988年   石川高専 建築学科卒業
1992年   豊橋技術科学大学大学院 建設工学専攻修了
三共建築設計事務所 勤務
1996年   建築像景研究室 共同設立 代表
1998年   金沢美術工芸大学 非常勤講師
2001年   家山真建築研究室に改称 現在に至る

家山真建築研究室

〒921-8034
石川県金沢市泉野町6-2-26-105
TEL   076-242-6924
FAX   076-242-6926
E-mail   ieyama@nifty.com

約110年前に米蔵として建てられたこの土蔵は、関東での会社勤めを終えて33年ぶりに故郷に帰られたご夫婦が、ご両親の近くに生活の場を確保するために住宅として改修しました。約500坪の敷地の一角に建つ土蔵の南側には竹林の山が広がり、閉じられた土蔵から南側の眺望と採光を確保するために天井までの開口部とテラスを造りました。また、浴室やトイレなどの水廻りは乳白色のガラスで囲まれた小さな空間にまとめ、大きな蔵の空間に対して小さなボックスを入れ子状に配置しています。この乳白色のガラスボックスは、計画上窓をとることができないトイレや洗面所に蔵内部から明かりを採るとともに、夜はそれ自体が行灯のように発光する装置にもなっています。古い建物の改修にあたり、ただ昔に合わせて直すだけではなく、新しいものを対比的に用いることによって、双方がより生きてくると思います。


2004年12月25日放送
石川県金沢市・南部邸
−金沢一望!絶景の現代風町屋−
1999年11月完成
敷地面積     274平米(83坪)
建築面積     122平米(37坪)
延床面積     208平米(63坪)
鉄骨造3階建て


  ※ ひがし茶屋街 ※ 町屋 内部
南部さんのお宅は金沢の市街地に建つ鉄骨造3階建て。建物の間口8.2メートル、奥行き18メートル。間口が狭く、奥行きの長いうなぎの寝床型敷地となっています。江戸時代にはうなぎの寝床型敷地に町屋が建っていました。その街並みが今でも残っているのが江戸時代に裕福な町人達が遊んだというひがし茶屋街。南部さんのお宅はその町屋の特徴を生かした設計となっています。

  ※ 加賀格子  
玄関前へのアプローチを上るとそこには格子戸がありました。町屋のファサードにも繊細な加賀格子が見られます。さすがに町屋の設計を意識しているだけの事はあります。中は広さ4畳半の和室となっていました。

2階のリビングは広さ20畳。ここにはなんとプロ顔負けのDJブースがありました。南部さんは大のパーティー好き。客人を集めてはパーティーを行うそうです。

リビングの南側は全面開口部。もちろん全開放可能。開け放てばさわやかな風が抜けていきます。

    ※ 町屋の坪庭
バルコニーからは素晴らしい眺望が楽しめます。一番奥に設けた坪庭は町屋の特徴ですが、南部さんのお宅では坪庭ならぬ絶景。町屋のエッセンスを大胆に取り入れています。

リビングの横の引き戸を開けるとダイニングとキッチンが出現。キッチンとダイニングはどうしても生活観が出やすい場所。扉一枚閉めるだけで、隠すことができます。急な来客があっても、難なく対応できるのがいいですね。

3階の部屋は外階段を上った先にあります。そこはご主人が天空の部屋と呼ぶ空を眺められる場所。中庭から見える青空、そして、夜空を楽しめます。

1階のお風呂はバスコートが付いています。窓も開け放つことができ、まさに露天風呂気分が味わえます。パーティーで集まった客人には必ずこのお風呂に入ってもらうそうです。最高のおもてなしですね。

松島健 (まつしま けん)
1955年   金沢市生まれ
1978年   大阪工業大学工学部建築学科卒業
1987年   松島健建築設計事務所設立
2001年〜   金沢工業大学非常勤講師

松島健建築設計事務所

〒920-0967 
石川県金沢市菊川 2-1-11-105
TEL   076-262-5652
FAX   076-262-6942
E-mail   ma-archi@po2.nsknet.or.jp

この家は金沢の旧街道沿い、歴史と現代が混在する道路に面して建っています。敷地は間口に対して奥行きが深く、しかもその半分が崖地です。両隣の家屋が敷地境界に迫って建っていましたが、崖地側は将来に渡って良好な日照と眺望が確保されていました。そこで、道路に対して閉じながら、崖に向かって大きく開放した家の構えがふさわしいと考えました。家族構成は夫婦ふたりですが、50名ほどのホームパーティーに対応可能であること、夫婦が各個室を持つこと、コレクションの現代アートのためのギャラリー機能を用意すること、などが求められました。
休日は好きな音楽を楽しみながらぼんやりしたい、家は休養のための場所に徹底してほしいとの希望から、素材感のない浮遊した室内や、半屋外的なバスルーム、三階の離れなどを提案しました。与えられた敷地の特性を読み込んだ結果、山岳都市のように街並みを見下ろす家ができました。



2004年12月25日放送
石川県押水町・池田邸
−木と暮らす!田園のモダン古民家−
2003年5月完成
敷地面積    849平米(257坪)
建築面積     145平米(44坪)
延床面積     217平米(66坪)
木造2階建て


  ※ 上時国家 ※ 囲炉裏
池田さんのお宅は7人大家族が住まう古民家を現代風にアレンジした建物。能登半島には約160年目に建てられたた上時国家があります。茅葺の大屋根や家族が暖をとり、食事をした囲炉裏などが今でも残されています。古民家は昔の人が快適な住空間を追求してできた建物です。


1階のLDKは和室も合わせて広さ30畳、天井高5メートルの吹抜け大空間となっています。間仕切りのない驚くほど開放的なスペースです。


リビングは家族7人が集まる場所。リビングのテーブルは家族がみんな集まってもまだ余りある大きさです。お客さんと家族みんなが一緒に食事をとれます。キッチンの目隠しに引き戸が付いていました。リビングから丸見えになるため、急な来客があった時にサッと目隠しができるのはいいですよね。

キッチンはステンレス張り。ダイニングテーブルと一体になっています。よく見るとどこの家にでもある大切なものがありません。それは換気扇。聞いてみるとコンロの奥から何やら金属の板が出てきました。実はこれが換気扇のフード、本体はキッチンのアイランドの中にあります。使うときだけ引き出して、後はスッキリとできる優れものです。これも建築家のオリジナルです。

リビングと一体となっている和室。この部屋も間仕切れます。間仕切りになるのは右側の大きな引き戸と左側の玄関扉。玄関扉が和室の扉にもなる。1枚で2役をこなしています。建築家の見事なアイデアです。

浴室は目の前が大きな庭、天井が5メートルの吹抜けという異例のスケールとなっていました。大きな窓から庭を眺めながら湯船につかる。まさに露天風呂です。こんなお風呂に入ったら思わず鼻歌が出てきそうですね。わ〜らにまみれてよ〜♪

2階の勉強スペースは1階のLDKを見下ろせる場所に配置してます。家族の気配を感じながら、その気配が気になりすぎることの無い、勉強するのに丁度いいLDKとの距離間になっています。

パソコンルームもありました。パソコンの上にはスリット窓を設置。この窓から素晴らしい景色が眺められます。目が疲れたら、ここから外を見る。目も心も癒されますね。

長村寛行(ながむら ひろゆき)
1957年   石川県生まれ
1978年   国立石川工業高等専門学校建築学科卒業
1981年   豊橋技術科学大学建設工学課程卒業
1982年   豊橋技術科学大学大学院建設工学課程修士課程中退
1982年〜1989年   大高建築設計事務所
1989年〜1996年   長村建築事務所
1996年   -architect office- Strayt Sheep設立
 
受賞
1997年   日本建築士会連合会賞
2000・2004年   中部建築賞
1998・1999・2003年   北陸建築文化賞
 

-architect office- Strayt Sheep/長村寛行

〒920-0847
石川県金沢市堀川町24-2
TEL   076-262-8712
FAX   076-264-2052
E-mail   fontana@sr.incl.ne.jp

エアコンもなく自然に暮らす家族が気持ちよく過ごせるような、オーソドックスな平面を持つ現代版の田舎屋です。床下や天井裏もなく、壁も無垢の木ということで構造材だけで作られたログハウスの在来工法版でしょうか。その周りをガラスで囲うことで、水に弱く変色する木を経年変化無く使うことができました。断熱材を入れても壁内の結露を防止するのはなかなか難しいことです。この建物では結露を防ぐのではなく、外壁のガラス内面に結露を誘導しサッシュから排水する方法をとっています。エアコンは結露を無理やり防ぐのではなく仕方のないこととしてパイプで排水していますが、同じ考え方なのです。
現場の仮設事務所で毎夜のように行われた、施工者の岡田氏との打合せには池田夫妻もよく参加されました。自宅の長所や短所を理解されていたのはいいことだと思います。建て主は人任せにするのではなく、一つ一つ自分自身で納得しながら決断していくことが大切ではないでしょうか。その結果がこの住宅として存在しているように思えます。




豊かな自然あふれる北陸の地に、華やかな文化が実を結んだ古都金沢。
この地でも若き建築家たちが、大いなる伝統をバネに、創意工夫に励んでいます。
金沢には、先人たちのたくましい知恵と工夫が、大切に受け継がれていました。