2004年12月11日(土)放送
東京都八王子市・中桐邸
−変身する家 部屋が倍増 夜は別の顔−
2004年7月完成
敷地面積         153平米(46坪)
建築面積         60平米(18坪)
延床面積        114平米(34坪)
木造2階建て
建築費:2570万円    坪単価:75万円



中桐さんのお宅は46坪の敷地に建つ木造2階建て。墨色の壁と屋上へと続く階段が印象的な建物です。夜になると明かりが太陽光から照明に変り、表情も変化します。

玄関を入ると正面に中庭がありました。中庭の両サイドは奥さんの部屋と息子さんの部屋。ガラスには特殊なフィルターが貼ったミラーガラスになっています。太陽光を反射して、中が見えません。夜には照明によって内部が映し出されます。ここも昼夜変化します。

2階のリビングは広さ8畳。置かれた家具はインテリアに興味のある奥さんが選ばれました。AVラックは脱サラして家具職人になったご主人の友人が作ってくれたもの。スクリーンとプロジェクターも設置し、大画面と大音響で映画も楽しめるようになっています。

夜になると室内の雰囲気は一変します。リビングから窓の奥に見えるご主人の部屋まで良く見渡せ、広く感じられるようになります。中庭を見ろせば、昼間は室内を伺えなかった息子さんの部屋がよく見えます。


ダイニングに置かれたテーブルもご主人の友人が作ってくれたもの。家族3人が丁度良い距離間で囲める大きさです。キッチンはダイニングの横に配置。クローズキッチンのため、少々乱雑になっても目障りにならず、思いっきり使用できます。


ダイニングには一枚扉がありました。このドアを開けるとそこには階段。外から見たときに印象的だった階段はダイニングから出られるようになっていました。階段を上がると…。そこは屋上。この屋上を作るのはご主人の夢だったそうです。ここでタバコを一服。タバコが更に美味しく感じられるとか。

1階の息子さん部屋は若者らしい楽しい空間となっています。昼間は中庭が見え、奥さんの部屋は見えません。夜になるとミラーガラスに自分の部屋が写り、明かりを消せば、奥さんの部屋まで見通せます。見え方もいろいろ変ります。

茶室もありました。奥さんからご主人からのプレゼントだったそうです。にじり口の扉を開けれると…、緑豊かな庭がありました。美しい庭を眺めながらご主人のためにお茶をたてる。ご夫婦の時間が豊かになりそうです。

岡井敦(おかい あつし) / 中村貴史(なかむら たかし)


岡井敦
1973年   神奈川生まれ
1996年   明治大学理工学部建築学科卒業
2000年   エーティープラスティー設立
2001年   クロノポリス・コンテスト 伊藤俊治賞
2002年   東京AADスタジオ AAD賞(グランプリ)
     

中村貴史
1973年   東京都生まれ
1996年   明治大学理工学部建築学科卒業
1997年   美和建築設計室
2000年   エーティープラスティー
2004年   スタジオ441設立
 
エーティープラスティー 一級建築士事務所
192-0045 
東京都八王子市大和田町6-1-12, 2-663                                         
TEL&FAX   0426-56-2816
E-mail   pudding@qg7.so-net.ne.jp
 
Nkg house(中桐邸)の各室は家族構成の変化に対応し『のびちぢみ』する構成となっています。その結果、様々な使い方に対応できる住宅となりましたが、大切なのは『のびちぢみ』すること自体ではなく、制度としての家族を超え、複雑な関係性をもつ集団としての(リアルな)家族を建物が包み込もうとしたときに、そのような構成が必要だったという点だと考えています。
 
中桐さんのお宅のファサードはとてもモダンな感じがします。駐車場は並列3台、玄関までのアプローチはアールになっています。室内に入ると印象的なのは中庭。建物が密集しているため、採光を考慮し、大きな窓を設置しています。映画鑑賞やお茶など趣味も大切にされ、建物にもボリュームがあります。しかし、延床面積は34坪。実際にはとても34坪とは思えない広がりがありました。建築家の設計力が発揮された結果ではないでしょうか。建築家はご長男の友人の30代の若者2人だったそうです。若い建築家は親世代を納得させる素晴らしい建物をつくり上げた。そんな感じが致しました。