当番組は平成元年に始まり、
ついに放送回数が800回を向かえました。
その記念すべきお宅です。

2004年10月23日(土)放送
東京都小金井市・片倉邸
-癒しのバリ暮らし クローバーの庭 睡蓮の池-
2004年4月完成
敷地面積     241平米(73坪)
建築面積      85平米(26坪)
延床面積     156平米(47坪)
木造2階建て
建築費:3760万円    坪単価:80万円



片倉さんのお宅は敷地73坪に建てられた木造2階建て。設計は,片倉さんご夫妻。ともに建築家です。めざしたのは「ゆったり、しっとり」暮らせる家。和のテイストとご夫婦が大好きなバリのテイストが見事に合わさった建物です。

1階のLDKは南側全面開口部。奥に見えるのは緑の美しい庭です。この美しい庭と の一体化を追求した空間。庭を最大限利用して「ゆったり、しっとり」という時間を 作り出しています。

庭に出ると池の水音がなんともいえない安らぎを与えてくれます。金魚が泳ぎ、蓮の葉が揺れる池。リゾートのような気持ちの良いひと時を味わえます。

庭に敷き詰められたのは芝生ではなく、クローバー。まるで緑の絨毯のようです。ふかふかとした厚みが、優しく柔らかい景色を演出しています。


キッチンはシステムキッチンを採用。コンロはガスにするか、電気にするか、迷った あげくにIHにされたそうです。しかし、火を使えるところも欲しい。そう考えて庭 で焚き火ができるようにしました。現代的なコンロではなく、焚き火というのが趣深 いですね。


リビングは正方形のスペース。LDKは横長のスペースですが、家具で上手に空間を区切り、この形にしています。住みながら家具や配置を換え、居心地の良い空間を作り上げていったそうです。

浴室の壁・天井はカナディアンレッドシダー。坪庭を設け、植栽を植える。この坪庭ひとつで浴室がとても豊かな空間になります。

2階の和室にはバリ島の楽器がありました。この楽器でバリ島の音楽「ガムラン」を ご夫婦で演奏されるそうです。実際に演奏してもらうと、なんともいえない心地良い 音楽が安らぎを与えてくれました。

片倉靖惠(かたくら やすえ)+片倉保夫(かたくら やすお)

片倉靖惠(かたくら やすえ)
1954年   東京生まれ 武蔵野美術大学建築学科卒業 
長谷川逸子建築計画工房 永井設計室を経て
2001年   片倉建築設計室設立 代表
2004年   K-STUDIO設立
 
片倉保夫(かたくら やすお)
1952年   東京生まれ 武蔵野美術大学建築学科卒業
伊東豊雄建築設計事務所を経て
1988~2004年   黎デザイン総合計画研究所取締役
2001年    片倉建築設計室設立
2004年     K-STUDIO設立 代表  
 
片倉建築設計室/K-STUDIO(ケイスタジオ)
〒184-0003
東京都小金井市緑町4-3-15
TEL&FAX   042-304-1121
E-mail   k-studio@jcom.home.ne.jp
 

ふたりともバリ島がとても好きです。それも高級リゾートではなく、まったくの田舎の村が好みです。のどかな水田風景、緑の中のおおらかな佇まい、鶏の声、どこかなつかしい雨上がりの土のにおい、さわやかな風にのって遠く聞こえる祭りの音。バリのみなさんはゆっくりとマイペースですがとても楽しそうに暮らしています、いまの日本の尺度で比較すると決して豊かとは言えませんが、昔は日本のどこの家にもあったようなシンプルでスローな生活に本当の豊かさを感じます。そんな気分の家を建てたいと思いました。設計にあたって、バリのモチーフや素材を使用したり庭に熱帯の植物を植えたわけではありません、直接的な物や形の表現ではなく、バリの「のどかさ」「おおらかさ」「さわやかな風のながれ」そんな雰囲気を感じることのできる気持ちの良い家にしたいと思いました。それは、私達の周辺からなくなりつつある、なつかしい日本の風景への憧憬なのかもしれません。
 
片倉さんのお宅は土地、建物ともに余裕のある郊外住宅です。そして和のテイストをベースにモダンのテイストが散りばめられて、そのバランスが素晴らしい!この建物で感じたのは気持ち良さ。家の中を空気が留まる事なく循環する。最後にたどり着いた和室から庭の水面を見たときに、よどみなく流れる人生をこの建物がしっかりと支え、住まう人をいたわってくれるそんな感じが致しました。