2004年9月25日(土)放送
東京都杉並区・井澤邸
-親子の夢いっぱい 父はビアガーデン 息子はサッカー場-
2003年4月完成
敷地面積    142平米(43坪)
建築面積     69平米(21坪)
延床面積    130平米(39坪)
鉄骨造3階建て
建築費:3400万円    坪単価:86万円


井澤さんのお宅は鉄骨造3階建ての2世帯住宅。印象的な乳白色のシリンダーの中は、階段室になっています。透ける素材を使うことで夜は周囲の街並みを照らす行灯となります。

玄関は外まで空間が続き、2階の天井まで吹抜けた他目的スペースとなっています。いつもここでお子さんがサッカーをされるとか。サッカー好きなお子さんにとって夢に見たサッカー場です。日夜練習に励み、将来の夢はJリーガー!!

LDKは縦に長いスペース。奥からキッチン、リビングダイニングとなっています。玄関の吹抜けもここから見下ろせます。友人が集まれば、お子さん達はサッカー、大人達は奥さんの手料理とお酒を囲んで楽しいひと時を過ごします。

キッチンカウンターは空間に形に合わせて縦長となっています。当初、ダイニングテーブルに向いた形で設置したかったそうですが、建築家の「空間が遮られ、狭く感じられる」という意見で、変更したとか。建築家とはだいぶ意見をたたかわせたそうですが、今ではこの形に満足しているそうです。

子供室は玄関の吹抜けのすぐ横になります。コンパクトな空間ですが、実は開放的な空間へと変化します。吹抜け側の壁が扉になっていて開閉可能。開ければLDK、玄関とつながりワンルームになります。

奥さんの部屋はLDKのすぐ横。キッチンの一番近いところにあります。鏡台などを収納の中に入れることで空間がスッキリしています。奥さんが一人の時間を楽しめる空間です。

ご主人の部屋は3階。奥にはルーフテラスがありました。ご主人専用のルーフテラス。ここで飲むビールは美味いでしょうね。まさにビアガーデン。

お父さんの部屋は1階。畳と板の間の10畳のスペースです。庭造りが大好きなお父さんのために庭も設けました。お父さんには嬉しい心遣いです。

浜田 幸康(はまだ ゆきやす)

1961年   高知県生まれ
1986年   武蔵野美術大学建築学科大学院建築コース卒業
1986~88年   同 研究室勤務
1988~93年   富永譲+フォルムシステム設計研究所勤務 
1993年   浜田幸康建築設計事務所開設
1996年   P.D.S.アーキテクツ設立
 
P.D.S.アーキテクツ
〒150-0001
渋谷区神宮前2-30-5-401
TEL   03-5412-0545
FAX   03-5412-0546
E-mail   pds@pds-archi.com
 
この住宅でまず大切にしたことは、ライフスタイルの変化を受け止められる柔軟性や懐の深さがあり、住まい手の個性が反映される場であること。そして何より、居心地が良くリラックスできるスペースとなることだった。次に、「三世代がどのようなスタイルで生活するか」についてじっくりと話し合った結果、世代よりも個人の生活単位を大切にしたライフスタイルを目指すことになった。そして居室部分を、「広間」と「個室」のみで構成するシンプルなスタイルに行き着いた。広間は、LDKの機能を持ち、各個室を結び付ける。そこは個室から見ると、住宅内でのパブリックなエリアで、プライバシーが保たれつつ明るく開放感のあるリラックスできる空間となり、家族間のコミュニケーションと、外部の人々(友人たち)との集いの場となった。
 
井澤さんのお宅はとても開放的でモダンな建物です。ご主人と設計家が親友ということで思いっきり意見をたたかわせて設計されたそうです。人間には既成概念、色々な縛りがあります。意見をたたかわせ、自分の中にある縛りと向き合ってモダンな建物を完成させました。突き詰めれば突き詰めるほど新しい秩序やバランスがうまれるのではないでしょうか。人生は順風満帆というわけではありません。悩み苦しみ、何かにすがり祈る時にこの建物が励ましてくれる。そんな感じが致しました。