2004年8月28日放送
東京都江東区・高橋邸
−車イスの父へ… 下町人情の2世帯住宅−
2003年5月完成
敷地面積      83平米(25坪)
建築面積    49.3平米(15坪)
延床面積     148平米(45坪)
鉄骨造3階建て
建築費:3000万円(床暖房費含む)   坪単価:67万円


高橋さんのお宅は人情あふれる下町に建っています。高橋さんご夫婦と可愛い二人のお嬢さん、そして、ご両親の6人大家族が暮らす2世帯住宅。特徴的なの外壁は建築家オリジナルで、苔が生える楽しみもあるそうです。

2階のLDKは間仕切りのない30畳の開放的な空間。家族6人が一緒にごはんを食べたいという願いから、大テーブルがおかれています。家中に車イスのお父さんへの配慮が数多く見られます。

キッチンは親世帯、子世帯で共用。お母さんと奥さんが共に作った料理が食卓に並びます。完全分離型の2世帯住宅が多い昨今、あえて完全同居を希望されました。奥さんの家族への温かい思いには感心です。

ダイニングには大きなテーブルが置かれています。建物に合わせて建築家がデザインした力作。思いがけない告白がありました。実は高橋さんと建築家の出会いに私も一役かっていたそうです。これは嬉しい!つい涙ぐんでしまいました。

リビングにはリクライニング式のソファーが置いてあります。座り心地は抜群。デッキには野菜などの植物がありました。植物を育てることで、お子さんも成長したとか。

3階は子供室兼寝室。こちらも間仕切り一切なしの大空間。ここではお子さんが走り回り、遊び疲れたら昼寝をする。お子さんを中心としたスペースです。

1階のトイレは広々としたスペースを確保。車イスお父さんでも移動がしやすくなっています。もちろんバリアフリー。

車イス対応の浴室は工夫満載。簡単な工夫で車イスでも、健常者でも使いよい浴室となっています。壁はヒバ。木のいい香りがより一層疲れをとってくれます。

海野 健三(うんの けんぞう)

1949年   東京生まれ
1974年   東京理科大学卒業
1980年   海建築家工房設立
1984年   建設業許可 取得
1985年   自宅建設 セルフビルド
1988年   株式にする
1993年   自社ビル建設 セルフビルド
 
(株)海建築家工房
〒135-0011
東京都江東区扇橋2-24-2
TEL   03-3648-8486
FAX   03-3646-6213
E-mail   unno@umi-aa.com
 
当社で設計し、施工もしたお宅です。その方が責任を持った家づくりが出来ます。
外壁は当社オリジナルのUウォールを採用することで、外壁メンテナンスは不要です。
床は床暖房をして、熱伝導がよいタイル仕上げとしました。そのことで、床においてもメンテナンスが不要となっています。1階の床下空間もなくし、面倒な床下のメンテナンスからも解放しました。
庇や樋等の金属はステンレスを使用し、鉄部はドブ付け亜鉛メッキとしました。
家全体において、メンテナンスをなくすように配慮して、築後のメンテナンスコストの軽減をはかっています。
3層が階段で繋がっているため、外断熱、高断熱を採用し、床暖だけで家全体が暖房できます。また、東西に大開口を設け、風の通りをよくしたおかげで、冷房は使わないで過ごせます。そのことでランニングコストも軽減されます。
 
高橋さんと建築家の海野さんの出会いに一役かったということで光栄に思える訪問でした。海野さんの作品の根底には、いつも優しさを感じます。生きていれば年を重ね、病気になることもあれば、ケガをすることもある。そういう場合、人間にとって必要なことは何かということを非常に真摯な態度で考えていると思います。構造は鉄骨。外を砂利で覆い空気層を作り、断熱効果さらには防音効果を増します。外観は自然素材を用い経年変化も楽しみです。