2004年7月10日放送
東京都町田市・井口邸
-究極のローコストに挑戦! 巨大地下室のある家-
2001年1月完成
敷地面積        149平米(45坪)
建築面積        59平米(18坪)
延床面積       147平米(44坪)
RC造地階+木造2階建て
建築費:2438万円     坪単価:55万円


井口さんのお宅は地下1階、地上2階の3層住宅。外観は落ち着いた配色で、所々に見える緑が色合いをそえています。ご家族はバツイチの井口さんとお母さんのお二人です。設計は建築家の井口さん自身が担当されました。こだわったのはローコストの住宅にすること。その秘訣が色々あるそうです。

1階のリビング・ダイニングは広さ19畳の空間。リビングの上部は吹抜けとなっています。トップライトから明るい光が入り込みます。日差しが強ければ、簾(すだれ)をかけて、日除けにしているそうです。

リビング・ダイニングの天井や壁は仕上げをせず、構造材剥き出しとなっています。仕上げにかかる経費を削減。そして、床はビスでとめただけになっています。床が汚れたり、傷付いたりしたら、裏返して使用できます。裏面は汚れや傷がついていないため、新品の床と同じになります。

リビングを挟むようにデッキが2つありました。南東側のデッキは庭へと続き、緑を身近に感じながらくつろげる場所となっています。

キッチンは業務用のものでそろえました。金額は40万円。業務用でも安価なものを選べばコストダウンにつながります。しかも、アジャスターで高さの調節可能。使い勝手も抜群です。

お母さんが家事などをして長い時間を過ごす部屋がこちら。息子さんの設計した家は落ち着かないそうですが、この部屋は唯一落ち着ける場所。専用のデッキやこの家でたった一つの造り付け収納もあり、お母さんのことを考えて設計された部屋になっています。

地下にある井口さんの寝室兼書斎は広さ25畳、天井高3メートルの大空間となっています。地下だけ別世界に来たような空間です。夏は涼しい居心地のよいスペースでもあります。

地下室の開口部はハイサイドになります。サッシはコンクリート用ものでなく、安価な木造用のものを工夫して取り付けました。このおかげでまたひとつコストダウンにつながったそうです。更に究極のローコストの秘訣も伺ってみました。その答えは「ひとつひとつ安い材料を吟味する」こと。安くても安く見えない材料を選ぶ、これがローコスト化の最も大切な事だそうです。

井口 博之

1980年   シヴィックデザイン研究所
1986年   長谷川敬アトリエ
1987年   井口建築事務所開設
1993年   有限会社トランクスに改称
 
有限会社トランクス一級建築士事務所
〒225-0011 
横浜市青葉区あざみ野1-6-3-204
TEL   045-903-1904
FAX   045-903-4904
E-mail   tranks@246.ne.jp
 
自宅です。敷地の手前と裏手に近隣の方のお墓があり、そのせいか相場より安く土地を手に入れることができました。質より室(?)をとることに決め、ローコストに徹して地下室を作りましたが、何と言っても夏の涼しさは格別です。(冬は寒いですが・・)今はまだ家の周囲に緑が多く、デッキを居間がわりにしてくつろいでいますが、いずれ周囲の生産緑地に家々が建て込んできても今の開放感を保てるように、外塀やトップライトなどで工夫しました。家全体が開放的すぎて、同居中の母はどうもお気に召さないようですが・・
 
井口さんのお宅は使い易く開放的な空間です。仕上げをしない、部材に安いものを使用しているなど、ひとつひとつを注目するととてもチープな感じがします。しかし、安い部材を使い、できあがった空間はすごく豊かで贅沢なものとなりました。リビングは1・2階をつなぐ吹抜けのトップライト、両サイドのデッキスペースとあいまってとても開放的で、明るさが嬉しい空間です。地下に行くと広さ25畳、天井高3メートルの大空間がありました。明るい場所と暗い場所、その両極がある。あの地下室素晴らしい空間でした。私も地下室が欲しくなりました。