2004年6月12日放送
神奈川県横浜市・平山邸
-光落ちる母と娘の城-
2001年11月完成
敷地面積        82平米(25坪)
建築面積        48平米(14坪)
延床面積       113平米(34坪)
RC+鉄骨造 地階+3階建て
建築費:2700万円     坪単価:79万円


平山さんのお宅は敷地25坪に建つ地下と地上3階の4層住宅。建築家の奥さんがご家族のために設計されました。外観からは所々に緑を感じられます。特にアプローチの緑は美しく、まるでトンネル思わせます。家に帰ってきた家人、訪れた客人、そして、行き交う近隣の方の目を楽しませてくれます。

1階のLDKは広さ22畳。厳かでありながら、ゆっくりとくつろげる知的な空間で す。リビングのイスにはボーエ・モーエンセンがデザインしたスパニッシュ・チェア を選ばれています。デンマークを代表するデザイナーがデザインしただけあって、と ても存在感があります。

リビングにはわずか2畳の畳スペースがあります。こちらはご主人のスペース。ご主人はここでゴロッとなって、くつろいでいます。畳の下は収納になっていて、なんと中には布団が入っていました。ご主人は夜が更けるとここに布団を敷いて休まれるそうです。ご主人の砦のような場所ですね。

キッチンはアイランド型になっています。カウンターは鉄で枠を作り、天板や冷蔵庫・食洗機などをはめ込んだだけで出来上がっているそうです。カウンターを挟む両側のフロアレベルに高低差を設け、小学生のお子さんもお手伝いができるようになっていました。

2階は1階LDKと打って変って明るく開放的なリゾートを思わせるような空間です。この部屋の中央には大きなカウチが置いてありました。ここでくつろぐのは奥さんとお子さんと愛犬のアンちゃん。楽しい時間をここで過ごされるそうです。

2階は4メートルの吹抜けになっています。そこに浮かんだように部屋がありまし た。こちらは3階となり、奥さんとお子さんの寝室として使用しています。昼間には 眺望が楽しめ、夜には星空が眺められる。ため息が出るくらいうらやましい空間で す。

浴室もトップライトから明るい日差しが入る空間です。西側には何とプールがありました。広くはありませんが、これがあるだけで気持ちを豊かにしてくれ、夏の暑い日には水浴びを楽しめます。

地下は多くの本がある書庫となっていました。ここには2つの洗面を設けています。そして、洗面奥の鏡が開くようになっていて、その奥にはトイレがありました。この洗面はトイレ側からも使えるようになっています。鏡を開けてしまうとまるで図書館の中にトイレがあるようです。こんなトイレにいるとついつい長くなってしまいそうですね。

安立 悦子(あだち えつこ)

1964年   新潟県生まれ 
1984年   共立女子大学短期大学文科第一部国語専攻卒業
1987年   武蔵野技術専門校建築設計科卒業
1987年~2002年   アルテック建築研究所勤務 住宅、集合住宅、学校などを担当
2003年   建築設計事務所Atelier Blanc設立
     
建築設計事務所 Atelier BLANC(アトリエブラン)
神奈川県横浜市神奈川区高島台17-6 
TEL&FAX   045ー324ー8168
E-mail   blanco@blanc.jp
 
外が好きだ。オープンカフェでお茶を飲むことや公園のベンチで本を読むことも、とても好きだ。木々のざわめき、木漏れ日、新鮮な空気、新しい季節の匂い。好きなことをそのまま『家』の中に持ってきたのがこの自邸です。『内』と『外』の関係をあいまいにして、ボーダーをルーズにする。内と外だけでなく、『室』と『室』でもいいし、パブリックとプライヴェートでもいいけれども、クロスさせたりオーバーさせることで、より広がりと新たな面が見えてくる。自邸なので、ハードにストイックにつくりましたが、誰もが自分の好きなこと、心地よいと感じることを住まいに明確に実現したらいいと思う。車、緑、眺望、広さ、光。まず好きなものを住まいの中心に据えること。本が好きなら本を、音楽が好きなら音楽を。 
 
平山さんのお宅はとても開放感があるコンクリート打ち放し住宅です。建築家の奥さ んは今まで勉強されたことを見事に具現化され、とても自由度のあるのびのびとした 建物をつくり上げられました。玄関前の緑のトンネルは美しく、1階LDKは押さえ の効いた落ち着きのある空間となっていて、2階と3階は明るく開放的になっていま した。階数によって表情が違っていて、3次元の色々な空間を味わえる、とても気持 ち良い建物という感じが致しました。