2004年4月24日放送
神奈川県川崎市・岡空邸
-桜愛でる家 花見デッキで大宴会!-
2003年3月完成
敷地面積        86平米(26坪)
建築面積      51.5平米(16坪)
延床面積       126平米(38坪)
鉄骨造
建築費:2900万円  坪単価:76万円


ガルバリウム鋼板で覆われた鉄骨3階建て。2階の窓を通して青空が見えます。表札にも『花見デッキ』と書かれています。

広い玄関です。早速ここから樹齢70年ともいわれる桜が見えます。玄関スペースはご主人の趣味の日曜大工をやるために、あえて広くしたそうです。

この玄関を通らないと浴室には行けません。このプランには家族間で賛否両論あったそうですが、ご主人の『銭湯に行く気分』という一言で決まったそうです。浴室からも、うっすらと桜が楽しめます。

2階の花見デッキはリビング代わり。桜が目の前に迫ります。水道局の施設の中央にそびえる桜の大樹、まるで岡空さんのお宅のためにあるようです。窓を開け放てば、花見デッキは半屋外空間!

半屋外空間を意識させるために、ダイニング側の壁には外壁と同じガルバリウム鋼板をあえて使ってあります。薪ストーブは建築家中村好文さんデザインのもの。

撮影の日はちょうど花見パーティーが開かれていました。集まった友人はなんと50人。ライトアップされた桜を愛でながら宴は夜遅くまで続いていました。

ダイニングテーブルとイスはフリッツ・ハンセン社のもの。もともと持っていたこのセットに合うような空間を建築家に依頼しました。テレビは収納の中にあります。

子供部屋、寝室、ご主人の書斎がある3階は間仕切りの扉がありません。ひとつの大空間として使っています。屋上にも上れ、ここからも桜を楽しめます。
来間直樹

1965年   鳥取県米子市生れ
1989年   武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
菊竹清訓建築設計事務所等を経て
2001年  

クルマナオキ建築設計事務所設立
第7回 WOODONE 実施コンペ優秀賞受賞

     
クルマナオキ建築設計事務所
〒153-0064
東京都目黒区下目黒4-1-16-502
TEL/FAX   03-5722-5641
E-mail   kuruma@kuruma-arch.com

隣地の樹齢数十年と思われる桜を楽しむことに的を絞った、単純明快な住宅です。 敷地は、不整形な形で、決して良い条件ではありませんでした。この住宅は、その敷地そのままの形を必要最低限の生活スペースである四角いボリュームと、桜に相対し、自由なスペースとしての台形のボリュームに分けて構成されています。
2階の北側は最も桜を近くに感じられる場所。ここでは北側に巾6.5mの大開口をとっていますが、熱環境的に不利な条件や、網戸の問題などを解決するために、この場所を外部空間として計画し、「ハナミデッキ」と名づけました。
常々、機能性や造形の美しさはもちろんのこと、住まい手が「何か」を感じられる空間をつくりたいと考えていますが、岡空さんは、春だけでなく、四季折々の楽しみを見つけられた様子で、この計画の意図を私以上にご理解いただけたようです。
この住宅が竣工してからというもの、桜の開花予想が気になって仕方ありません。
 
桜の大樹が枝を落とされることなく、いい姿で周りの人の目を楽しませています。無理がなく自然に生えているといいますか、この建物もそんなエッセンスを桜から頂いているようなきがします。無理のない建て方です。土地の形状に合わせて、また狭さを克服するために極力壁を作らず、空間を生かしています。桜を愛でる家、大成功ですね。