2004年4月17日放送
東京都江戸川区・八木邸
−12坪6層 下町の芸術家の家−
2003年7月完成
敷地面積      67.5平米(20坪)
建築面積      40.5平米(12坪)
延床面積       120平米(36坪)
鉄骨造
建築費:2850万円  坪単価:76万円


以前の建物は普通の中古住宅、それがモダンに生まれ変わりました。ファサードは全面ガラス。下町のランドマーク的存在です。

玄関を開けると、半階下がった1層目、玄関の2層目、ダイニングキッチンの3層めまで見渡せます。八木さんのお宅はスキップフロアー。1層目は予備室と寝室です。

玄関部分は2層目、横に大きなトイレが付いています。ドアの高さにも驚きです。この鏡は親戚の叔父さんからのプレゼント。一枚の大きな鏡を丸の周りだけを削ったものです。

ここはダイニングキッチン。窓側を見ると4層目も見えます。床は東南アジアのリゾートをイメージして選んだそうです。収納にもこだわりがみえます。

奥さんはグラフィックデザイナー。家の中心にワークスペースを作ってもらいました。収納の下のテレビ台はそのまま4層目に上がる階段です。

パレットと名付けられたフリースペースの4層目はリビング代わり。夕食後はここでくつろぎます。ここからは3層目5層目が見渡せます。建坪12坪とは思えない空間の広がりです。

5層目は浴室と子供部屋。街並みまで見渡せる浴室は開放感抜群!らせん階段も絵になっています。

6層目はアトリエ。鞄デザイナーのご主人はここでバッグのデザインをしたり、お嬢さんはイラストを書いたりします。テラスにはご主人の趣味の家庭菜園。
二宮博   菱谷和子

菱谷和子(ひしやかずこ)
1963年   福岡県生まれ 横浜国立大学工学部建築学科卒
山田弘康 ジェフリー・キプニス に師事
1996年   ステューディオ2アーキテクツ設立
     
二宮 博(にのみやひろし)
1963年   神奈川県生まれ AAスクール大学院 早稲田大学大学院修了
磯崎新 ジェフリー・キプニス 佐藤滋 に師事
2000年より   ステューディオ2アーキテクツ共宰
明治大学理工学部兼任講師
     
おもな受賞歴
1995年   環境芸術大賞優秀賞(出雲市神西湖畔公園計画)
1996年   バルセロナ港湾サービスエリア国際設計競技2等
平田町タウンセンター公開設計競技入選
2000年   SDレビュー2000入選(FLATS A+B)
2002年   第5回あたたかな住空間コンペ入選(FLATS A+B)
2003年   第6回あたたかな住空間コンペ入選(GAP/八木邸)
     
ステューディオ2アーキテクツ
〒221-0865
横浜市神奈川区片倉2-29-5-B
TEL   045-488-4125
FAX   045-488-4195
E-mail   studio2@vc.kcom.ne.jp

時にはお鍋を火にかけながらデザインの仕事をされている八木さんの生活は、家事と職業を両立するひとつの方法ではないかと思います。かつては、職住が近接あるいは一致していることがごく普通のことだったと考えると、最近のSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)というのは、古くからある日本人の生活様式への回帰とも考えられます。八木邸は、小さな敷地だからこそなるべく仕切らずに、 TPO にあわせて使い方を自由に変化させていく連続的な空間です。さらに家族の団欒の場と仕事場をもうまく重ね合せてゆくことで空間的にも生活にも余裕が生まれていると思います。その一方で、家全体に用途を決めこまない多目的な余白を残してゆくと、仕事室や家族それぞれにきっちり個室を振分けるよりも、オープンな人間関係が求められるだろうなとも思います。いろいろな使い方を開拓して楽しんでおられる住まい手から、とても学ぶところが多いと実感しています。

 
わずかともいっていい20坪の土地、建坪は12坪、そこにこれだけの豊な空間ができあがりました。奥さんは建築家と打ち合わせのために何百回にも及ぶメール交換をしたそうです。その情熱の賜物と言っていいでしょう。家全体はスキップフロアー、部屋を限定せずに使うことができます。ひとつの大きなワンフロアー、多目的スペースです。そこには余白が生まれます。これがいいですね。デザイン性に凝った建物に見えますが、そのデザインにもひとつひとつ意味があるお宅でした。