2004年3月20日放送
神奈川県川崎市・中村邸
−6mの塀 超密集地での開放空間−
2001年7月完成
敷地面積    146平米(44坪)
建築面積     63平米(19坪)
延床面積    111平米(34坪)
RC造2階建て
建築費:3170万円  坪単価:94万円


中村さんのお宅は家が密集した住宅地に建っています。目の前の道は車一台がやっと通れる程度。隣家がすぐそこに迫っています。中村さんのお宅はどこから見ても、コンクリートの壁だけがそびえ、高さ6メートルの壁で囲まれているのが良くわかります。

ダイニングキッチンは広さ11畳。部屋の東側の壁は全てガラス張りになっています。そのガラスの奥に見えるのは中庭。家の外には壁で閉じ、中庭に面するところをガラス張りにすることで開放感を得ています。ダイニングのテーブルと棚は建築家がデザイン。新築の家に合わせて家具を買うのも楽しいですが、家具まで全て建築家に任せるのもひとつの方法です。

キッチンはドイツ製のステンレス・キッチン。キッチンのものは全て外国製。コンロはフランス製。こちらは五徳(ごとく)となる部分が簡単にはずせるようになっているため、掃除が楽で使い勝手がいいそうです。そして、ステンレスのキッチンに合わせた冷蔵庫はデンマーク製。デザインは素晴らしいですが、音がうるさくてたまらないです。

中庭は広さ21畳。シンボルツリーはヤマボウシ。この中庭が中村さんのお宅のリビングになるそうです。初めからアウトドアリビングと決めていたとは、驚きました。これ以上ない開放感。そして、自分達だけの空と太陽。風と光を浴びて、ゆっくりとくつろげるリビングです。

和室は広さ4.5畳。こちらはお母さんのスペース。中庭に面しているところは全てガラス張り。素晴らしい開放感。室内なのに、外にいるようです。ガラス面には簾(すだれ)が備え付けてあります。かすかに見える外の景色と落ち着いた室内。簾(すだれ)一枚で、景色が一変します。

浴室の壁、天井は緑色のモザイクタイルとなっています。明かり取りとして北側にはガラスブロックを使用。このガラスブロック、昼に太陽光を取り入れるだけでなく、夜も素晴らしい効果を発揮してくれるそうです。夜は外側から見ると素晴らしいとか。モザイクタイルの反射した緑色の光がもれ、闇を美しく照らしてくれます。

2階の中村さんの寝室は広さ6畳。寝室の横にはデッキスペースがありました。このデッキの先は中庭になっています。外側の壁とデッキの手すりに囲まれて、2重に守られたような空間です。

デッキの横に更に部屋がありました。こちらは中村さんの書斎。広さは5畳。静かに落ち着きたい時、ちょっとこもりたい時に最適な場所です。夜には小さな窓から、ライトアップされた中庭のヤマボウシが見えます。
宮原 輝夫

1966年   東京に生まれる
1990〜1998年   竹中工務店
1999年   宮原建築設計室 設立
    群馬大学 工学部 非常勤講師
     
宮原建築設計室

〒151-0053
東京都渋谷区 代々木 2-23-1-349 ニュー・ステイト・メナー 3階
TEL   03-5304-5075
FAX   03-5304-5710
E-mail   teruo@pop01.odn.ne.jp

この住宅は、敷地外周の8割以上が隣地に接し、全く眺望を期待できない上に、プライバシィの確保すら難しい、そんな敷地にたっています。
光を求めるための全ての開口は中庭へ向き、また部屋の奥行きを全て4m以内に押さえることにより、室内は光に溢れます。床面から天井高いっぱいに採られた開口は、中庭を室内に取込み、また室内を中庭へ引出します。丸パイプを用いたルーバーはリズミカルな影を生み出して住人の領域を定義し、中庭へ差し込むように配置された茶室は、2.7mの跳ね出しにより柱から解放され、精神の場として相応しい様子となりました。
これらは「真に必要なものを見極め、必要な量を、必要な場所へ配置する行為」=設計によって得られるものです。
 
中村さんのお宅は外から見ると四角のコンクリート打ちっ放しのボックス。そして、壁の中は中庭を中心として、とても明るく開放的な空間となっています。住宅密集地の建物として、とても良い答えがここにあると思います。中村さんは建築家を信頼し、全て任せたそうです。電化製品も建築家が選び、ドイツ、フランス、デンマーク、スイスと西欧のものでそろえました。全体を通してとてもモダンで良い形に出来上がったと思います。