2004年3月6日放送
神奈川県横浜市・小川邸
-設計の妙 伸びる空間 広がる家!-
2003年5月完成
敷地面積    215平米(65坪)
建築面積     86平米(26坪)
延床面積    144平米(44坪)
木造2階建て
建築費:3300万円  坪単価:76万円


小川さんのお宅は敷地65坪に建つ木造2階建て。外観は丸、三角など色々な形が配置されたお洒落なデザインになっています。夜には窓から室内の明かりが漏れて、道行く人の目をたのしませてくれます。

1階のLDKは広さ24畳の大空間。置かれた家具は家を建てたときに買い揃えたものばかり。新しい家にどんな家具を置くか。家具選びも家を建てるときの楽しみのひとつです。南東側の窓は全てガラス張り。そして、その奥にはデッキと庭が有りました。庭のおかげでLDKがとても開放的になっています。この開放感を効果的にするため、デッキ材を縦に敷きました。このおかげでデッキの奥行きが強調され、庭が更に広く感じられます。

キッチンは奥さんが希望したドイツのシステムキッチンを選ばれました。収納扉の青色は自動車に施すのと同じ塗装になっているそうです。カウンターの高さは奥さんの身長に合わせて設計。このおかげでピザやクッキーの生地も作り易くなったそうです。奥さんの得意料理はパエリア。週末に友人、知人が集まると得意料理でおもてなしするそうです。にぎやかで楽しいひと時ですね。

庭のデザインは建築家。そして、施工は小川さんご夫婦。建築家に手ほどきを受けながら、二人だけでここまで作り上げたそうです。苦労が結実した素晴らしい空間です。

和室は広さ8畳。この和室は通常と違う点があります。それは畳の敷き方。通常、畳は縦横、組み合わせた敷き方になっていますが、小川さんのお宅では全て同じ方向に並べられています。畳のラインは一直線。そのラインは障子につながり、障子を開けると庭の敷石のラインにつながっていました。とてもよく考えられています。

書斎スペースは2階の廊下の奥。書斎の天井を見ると不思議な形をした部分がありました。これはかまぼこ型の縦横の天井が重なり合った部分に当たります。家ができたときに見て驚いたのがこの天井の形、造形の美しさだったとか。見事な建築家からのプレゼントですね。

寝室の天井はボールド天井になっています。アール型にすることで開放感を演出。そして、ベッドの上に張られた棒は屋根をアール方にしておくのに必要な構造材だとか。友人が遊びに来ると物干などに勘違いされるそうです。夜にはこの棒の影が素晴らしいオブジェとなります。

浴室はご主人自慢の場所。浴槽の奥にはデッキスペースがあり、窓を開けて入浴するされるそうです。開放的なお風呂で太陽と風を感じられる豊かなバスタイム。日々の疲れを癒してくれる最高のひと時ですね。
黒須 英美

1947年   埼玉県大宮市生まれ
1971年   北海道大学建築工学科卒業
1976~2002年   (株)大林組東京本社設計部
2003年   独立 K.アトリエ 設立
     
K.アトリエ

〒247-0006
神奈川県横浜市栄区笠間2-25-15   
TEL&FAX   045-894-4431
E-mail   hidemi-k @par.odn.ne.jp

この家は、均一な区画割りの宅地分譲地内で、北側は3mのレベル差をもって道路に接し、三方から隣家の壁が迫るという環境に建っています。
道路側の街並みに対しては、三層にわたる大きな外壁面に、正方形、円形、スリット、等々、形とサイズの異なる小さな窓が、注意深く明けられており、変化のある閉じた表情持って
います。 
しかし、玄関扉を明けると様相は一変して、吹き抜け、透明ガラスの壁、ウ゛ォールト天井などが現れ、南側の陽光に満ちた空間に向かって視線が透過し、さらに、設計者デザイン、ご主人施工の、築山とシンボルツリーを持つパティオのような庭にまで達します。そこには、明るく開放的な空間が展開します。
  
2階の浴室は、「明るく開放的な空間で、のびのびと暮らしたい」という、建て主ご夫妻の希望を象徴した理想の空間です。
外壁と同じ仕上げの、高さ2mのフェンスで囲まれた、10帖ほどの広いバスコートに面して、 サッシュをフルオープンすると、外部と一体にになった露天風呂感覚のリラクゼーションスペースが出現します。
  
お隣が近い環境で、プライバシーと開放感という両極の快適性を兼ね備えた建物です。
 
小川さんのお宅は少し広めの土地に建てられたL字型の建物。各部屋からご夫婦で作り上げた庭が眺められます。この家の特徴は視線の抜けの良さです。どこに身を置いても、視界がその場所や部屋に留まらず、廊下やデッキ、庭へと繋がっていきます。通常、壁になるところをガラスにしたり、スリット窓を入れたりすることで視線が抜けるようになる。小川さんが設計を依頼されたのはベテランの建築家です。建築家はお洒落だけではない、生活のしやすい建物を設計されました。今までの培った経験からとても先の先を見ているような感じが致しました。