2004年2月28日放送
埼玉県川越市・横関邸
-田園生活 犬とデッキで暮らす家-
2003年8月完成
敷地面積    313平米(95坪)
建築面積    102平米(31坪)
延床面積    136平米(41坪)
木造2階建て
建築費:2665万円  坪単価:65万円


横関さんのお宅は田園風景の中に建つ木造2階建て。正面から見ると二つの棟が左右にあり、その間はデッキスペースとなっています。周囲が水田のため、稲の色で季節の移ろいを感じられます。外壁にはおもしろい工夫がありました。それは、耐久性を考えて木の外壁を温室で使われるガラスで囲んでいる点です。思い切った新しい試みです。しかも木とガラスの間の空気層によって断熱効果もあるそうです。

リビングは広さ9畳。部屋の中心には掘りこたつがありました。こちらの掘りこたつは折畳んでフラットな部屋として使う事もできます。南側の開口部にはブラインドを設けています。太陽は冬は部屋を暖かくしてくれる「味方」ですが、夏は生活を不快にする「敵」となります。季節や室温によって、日差しを取り入れたり、遮ったりできます。

和室は広さ6畳。ここはお母さんの部屋となっています。北側の窓からは田園風景が望めます。障子には紙でなく、樹脂素材のものを使用。横関さんは犬を飼っています。犬が触れても破れにくく、突き破っても代えやすいものを選ばれました。

アトリエは広さ15畳。こちらは建築家のご主人の仕事場兼事務所。仕事場らしい緊張感のある空間です。もちろんこの家も自ら設計されました。アトリエには外からの入口もありました。そして、その入口の横の壁にハシゴ設けてありました。その上を見ると、ハッチがありました。あれは一体、どこにつながっているんでしょうか。

ダイニングスペースは広さ10畳。大きなダイニングテーブルはご主人の力作。天井の廃材を利用しているため、ローコストでできたそうです。ダイニングから見えるのは田園風景、この広々とした水田が時には若草色に、時には黄金色に。季節のよって景色が変るのがいいですね。

デッキは広さ24畳。ここでは風や自然を感じられるます。ここで読書をしたり、昼寝したり、また、お酒を楽しむのもいいですよね。この場所を一番気に入っているのが愛犬のグラン。ここで思いっきり走り回るのがグランの楽しみだとか。

アトリエは広さ15畳。こちらは建築家のご主人の仕事場兼事務所。仕事場らしい緊張感のある空間です。もちろんこの家も自ら設計されました。アトリエには外からの入口もありました。そして、その入口の横の壁にハシゴ設けてありました。その上を見ると、ハッチがありました。あれは一体、どこにつながっているんでしょうか。

寝室の床にはハッチがありました。ハッチを開けてみると…。下にはアトリエが見えます。先ほどアトリエで見たはしごは寝室につながっていました。この入口がないと寝室へ行くのに、リビング、ダイニング、デッキを通過しなければいけません。真上にある部屋に行くのに、時間もかかるし、距離もある。そして、深夜の移動となると、家族に迷惑もかかる。このおかげで家族もご主人もストレスが少なく済む。家族の事を考えた動線の工夫です。
横関 和也

1970年   神奈川県生まれ
1994年   東海大学工学建築学科卒業 
1994年   太田照己/都市建築デザインファーム勤務
1997年   APE勤務
1999年   ジャムズ設立
     
仲條 雪

1970年   東京都生まれ
1994年   日本大学理工学部建築学科卒業
1994年   ワークショップ勤務
1995年   木下道郎/ワークショップ勤務 
2002年   ジャムズ共同主催 
     
ジャムズ

〒350-0827
埼玉県川越市寺山733-3
TEL   049-229-3606
FAX   049-223-1194 
E-mail   jamms_y@ybb.ne.jp

今回、自宅を設計して、その家に住んでみて半年になりますが、外に居たり、外を眺めたりする機会がとっても増えました。元々設計する上で、外を楽しむというのはテーマにしているんですが、自分の設計に、こうまでハマるとは、正直驚いてます。とはいえ、雨の日も、雪の日もデッキを通らないといけません。建物によってライフスタイルを変えられることを、心地よく思えるかどうか。
この前、デッキに雪が積もりました。サンダルに干物のザルをくくりつけて、カンジキを作ったんですが、失敗しました。あれはスベります。今度は愛犬で犬ゾリに挑戦してみようと思います。
 
横関さんのお宅は自然豊かな田園風景を味わうための建物となっています。田園風景を取り入れる以外に、もうひとつテーマがありました。それは家族の距離間です。ご家族はご主人、奥さん、お母さんの3人。それぞれ、生活スタイルをお持ちです。家族がみんなリビングやダイニングでくつろぐこともあれば、各部屋で各々が自分の時間を過ごすこともあります。家族みんなが仲良く、個人の生活を尊重しながら暮らしていても、共同生活をする場合、色々な配慮が必要です。その配慮が自然な形でできたらどんなに素晴らしいか。家族の距離間を近すぎず、遠すぎず保つのは設計力が問われます。それを問題を見事にクリアしている建物でした。