2004年2月7日放送
神奈川県逗子市・白鳥邸
-構想15年 宇宙に一番近いドーム-
2000年4月完成
敷地面積    320平米(97坪)
建築面積    106平米(32坪)
延床面積    281平米(85坪)
RC+木造 地階+2階建て
建築費:5333万円  坪単価:78万円


白鳥さんのお宅は丘の上に建つ見晴らしのいい建物。家自体は2棟からなっていて、1つはドーム、もうひとつは勾玉のような形をしています。今までにみたことのない形。設計は建築家であるご夫婦で担当されました。この家を建てるにあたり、構想だけに15年もの歳月をかけたという力作です。

外から見た時にドームに見えた部分は生活観のない非日常的な空間となっていました。壁は白い壁と窓で構成。いくつもあるスリット窓からはそれぞれ違った景色が望めます。中央にはアクリルで作られた小さな机が置かれ、その下には小さな池が作られていました。ここには金魚が住んでいます。

2階のLDKは広さ30畳。天井の一部は吹き抜けになっていて、曲線型の天井が良くわかります。曲がった天井、しっかりとした柱や梁、この家はまるで宇宙船のです。大きなソファーが置かれていました。その大きさは座ってみると良くわかります。まるでベッドです。

カウンター式のキッチンは2階の一番東側にあります。もちろんその眺望は素晴らしいです。素晴らしい景色を味わいながら料理に腕を振るう。ついもう一品作りたくなってしまいそうです。

ロフトにはご主人のアトリエとなっています。白鳥さんは絵画も描かれています。描くものは白鳥さん自身が世界各地を旅して見てきた風景やスケッチした街並みなどです。また、ロフトからの景色は素晴らしく、キッチンからの景色とはまた趣が違います。

ロフトからは屋上へ出れます。ここは白鳥さんの家で最も高い場所になる、一番宇宙に近い場所です。ここからの景色は遮るもののない眺望が楽しめます。

子供室は3つのスペースからなっていて、全てフロアレベルが違います。また、ドーム型になった開口部には障子をはめ込んでいます。とても見事な空間です。お子さんも居心地がよくて、ここにいる時間が長くなってしまうとか。

白鳥さんのお宅はどこもかしこも曲線、丸みのある建物でしたが、唯一曲線ではなく直線で構成した部屋があるそうです。その部屋は1階の設けられた和室でした。見事に設計された和の空間です。さらに4畳半の畳を置き、囲炉裏が切ってありました。また、北側の雪見障子を開けると修練された中庭が姿を見せてくれました。宇宙船と美しい和の空間、どこを拝見しても素晴らしい建物でした。

白鳥 健二

1943年神奈川県生まれ 武蔵工業大学建築学科卒業。パオロ・ソレリ、黒川紀章に師事。その後アトリエCOSMOSを設立。住宅建築を中心に設計活動を続ける。日本建築学会、神奈川県建築コンクール等受賞。「住まいの風姿体」等著書多数。

アトリエCOSMOS

〒248-0014
神奈川県鎌倉市由比ヶ浜2-9-62 フォーラム302
TEL   0467-22-1680
FAX   0467-22-1748
E-mail   architects@cosmosandcosmos.com

<逗子海岸を見下ろすスペースship>
―Cosmosハウスというローテクノロジーな機械―

土地探しのために20年以上も飛びまわり、五年程前に今の場所に着地し、3年前に完成させたのが空から舞い降りたspace shipのような自邸です。宇宙的な家であって欲しいとの思いでCOSMOSハウスと命名したガラス張りの住まいです。20世紀の近代建築家として著名なル・コルベジェは当時の機械文明を背景に「住宅は住むための機械…」という名言を残しました。それから50年が過ぎ、機械の時代は終わり、今、生命の時代を迎える中で、町場の大工さんによる手作りの技術で完成させたのが、生命を内包させた、繭玉型をしたガラスの容器です。精神と肉体が開放される器です。

住みはじめて3年経った。硬直していた家族一人一人にとって、この透明なガラスの容器は既にみんなの解放区となっている。もう手放すことのできない、必要不可欠な空間となってしまった。

―白鳥 健二(アトリエCOSMOS)―
 
白鳥さんのお宅は素晴らしい風景を楽しむための建物です。四角四面の建物が多い中、この建物はドームや勾玉のような形になっています。そして、中に入るととても落ち着いた気分にさせてくれます。白鳥さんはお仕事、ご趣味の領域の中で旅をよくされるそうです。行かれる場所はアメリカ、ヨーロッパはもとより、アジアのネパールやチベット、ブータン。あのあたりに行かれるととてもホッとされるそうです。白鳥さんはそこに時空を越えたルーツを感じ、その要素を積極的に取り入れられました。そして、完成した建物はオリジナリティーあふれています。そして、時間が経てば経つほどその良さが分かってくる建物だと感じました。