2003年12月27日(土)9時30分~10時25分放送 テレビ朝日
 ※地域によって放送日は異なります。 




2003年12月27日放送
山梨県山中湖・高橋邸
-富士見台のある隠れ家-
2002年4月完成
敷地面積   804平米(243坪)
建築面積    133平米(40坪)
延床面積    140平米(42坪)
木造平屋建て


高橋さんのお宅は山中湖の富士山が見える敷地に建てられた木造2階建て。屋根の上には白い物見台がありました。富士山がより良く見えるようにと建築家が設計したそうです。


LDKは広々としたスペースを確保。リビングには薪ストーブを設置。炎にあたると体が温まるだけでなく、心もいやしてくれるような気がしますよね。薪ストーブの上に鍋を置けば、キッチンストーブとしても使用できます。煮込み料理なんかに最適です。


ダイニングスペースには多くの来客時にも対応できるよう大きなものを選ばれました。このテーブルから見えるのは日本一高い山、富士山。その雄大な姿に感動しました。

キッチンは造りつけ。天板のステンレスは一枚板を加工したものを使用しています。シンクも深く掘り下げ、水が飛び跳ねないようにしてもらったとか。キッチン上の細長い板は換気扇兼照明。このデザインを建築家自ら手がけたとか。なかなかお洒落ですよね。

浴室の床には伊豆石を使用し、床暖房も入れました。お風呂に入るとき、寒さに震えるような思いもしなくてすみます。浴槽の先には窓。そして、そこから見えるには富士山。まさに富士見のお風呂です。

寝室にはベッドを二つ置いたシンプルで落ち着く空間です。この部屋には壁一面の収納を設置。その収納をあけて見せてもらうと取り付け式の階段が出現!これは膝の悪いお母さんでも上にあがれるようにと建築家からのプレゼントだとか。

取り付け式の階段を上ると、そこにはロフトスペースがありました。大きな障子を開ければ、下は多くの人が集まるリビング。上と下でコミュニケーションもとれて、この家での楽しみ方の幅を広げてくれています。

物見台へ上ると、富士山の姿がよりはっきりと見えます。富士山を楽しむための最高の齒鰍ナす。まさしく富士を見るための富士見台ですよね。

宮川 格
1958年   東京都生まれ
東京芸術大学美術学部建築科大学院建築設計修了
同大学院研究課程修了
北山 孝ニ郎+K設計事務所に勤務
イタリア(ミラノ)アンジェロ・マンジャロッティー事務所に勤務
1997年   一級建築士事務所、イタル・デザイン・スタジオ(Ital Design Studio)開設
    同代表
2002年   山中湖の山荘を手がける

イタル・デザイン・スタジオ

〒107-0062
東京都港区南青山2-8-2.♯402
TEL/FAX   03-5414-3355
E-mail   ital3355@ever.ocn.ne.jp

標高1.100メートルの、陽当たりの良い南斜面のロケーションの地にあります。

都会の生活から開放を求めて、薪ストーブに火をともした時から、自然を五感で受けとめ、一体感を満喫できるように。
ある時には、一人静かに、書斎的な“隠れ家”であったり、また、ある時には、家族や気の合う仲間達と、楽しく集まって、食事を作ってたべたり、ゆっくりとした充実の時間を過ごせるように。

大屋根の下で、皆が共有できる“こと”を空間の広がりと奥行きの中で、多様でありながら、かつ、簡潔に繋がれるように、普段の生活とは異なる“質”(時間、空間、価値)を考慮して設計いたしました。

また、滞在期間内外において、快適で、安全に利用、維持できるように、各種の操作は、可能な限りシンプルでバリアーフリーになるように、給水、給湯機器などには、寒冷地の凍結防止対策など、最小限のメンテナンスフリーになるように、特に考慮いたしました。
暖房のエネルギーには、薪、ガス、石油、電気、と異なる4種類のバックアップ方法を準備いたしました。


2003年12月27日放送
静岡県三島市・浅場邸
-富士山と駿河湾を一望-
1999年4月完成
敷地面積   562平米(170坪)
建築面積     96平米(29坪)
延床面積     85平米(26坪)
鉄骨造平屋建て


浅場さんのお宅は鉄骨で足場を組み、高いところにフロアレベルを実現したお宅です。浅場さん曰く、箱根に降り立つ宇宙船。確かに形はどこか宇宙船のように見えますね。浅場さんは美しい景色と富士山を楽しむための家を建てて欲しいと建築家へ依頼されてたそうです。


玄関までの階段を登って行くと…。目の前に富士山が姿を見せてくれました。階段を一段一段上がるたびにその姿が少しずつ見えてきます。そして、富士山の前には美しい草原が一面に広がっていました。実はこの草原は牧草地となっていて、年に2回、刈ってもらえるため、手入れ要らずでいつもこの景色が楽しめるそうです。


LDKは3方ガラス張りです。どこを見ても素晴らしい景色が楽しめるようになっています。そして、なんと言っても嬉しいのが、家の中からつながっているように草原、そして富士山が見える。素晴らしい空間です。

ここから見えるのは富士山だけではありません。自然の中で美しいものといったら山、そして、海。その海、相模湾が一望できます。夕方には一面が赤く染まり、より一層美しい姿を見せてくれます。

リビングのには2つのデッキがあります。ひとつは草原にツながっていて、ひとつは空に飛び出しています。両方の窓を開ければ、気持ちのいい風が抜けるそうです。

キッチンはアイランド型。別荘のため、生活観を出さないように冷蔵庫から食器まで全てのものを後ろの収納に隠しています。非日常を楽しむためにもすっきりとした空間にしておく工夫もされていました。

浴室は富士山のみえる方向に窓が設けられています。浴槽に浸かりながら、美しい富士山を眺める。究極の絶景を楽しみながらのお風呂は最高でしょうね。

最後に草原に出て、愛犬の風(ふー)ちゃんと遊びました。広大な草原が家の目の前にあるだけでうらやましいうえにさらに富士が見えます。そんな美しい風景の中で大切な愛犬と心置きなく遊べるんですね。久しぶりに気持ちよく駆け回りました。

山内 真人
1958年   東京生まれ
1980年   日本大学生産工学部建築工学科卒
藤井伸一設計事務所勤務  
1994年   <DENアーキテクツ一級建築士事務所>設立
現在に至る

DENアーキテクツ一級建築士事務所

神奈川県藤沢市鵠沼藤が谷4-6-5
TEL   0466-25-2664
FAX   0466-25-2778
E-mail   yamauchi@den-jp.com

施主の浅場さんと一緒に週末住宅の候補地を見て廻り、最後に見た土地を、こんな斜面・・・と二人で登った先が草原でした。
牧草地であるために家は立たず人の手が入ったものの見えない別天地。さらに眼下には駿河湾のきらめき。そして草原の向こうに富士山。
その場で土地を決め、その場で設計をしてしまったような家です。
要望は草原のレベルにフロアを合わせたい・富士山が見たい・駿河湾も見たい。
不必要なものをやめ、残ったものがこの形でした。このような土地がらとても厳しい自然にさらされていて、ここで感じる寒さ・風・霧・雨には本当に自然のすごさを感じます。
難しい事は考えずすなおにそれを最大限感じられる家として設計しました。



2003年12月27日放送
山梨県山中湖村・中島邸
-究極の隠れ家!芸術家のアトリエ-
1995年7月完成
敷地面積   403平米(122坪)
建築面積     43平米(13坪)
延床面積     51平米(15坪)
木造2階建て


中島さんのお宅は素晴らしい景色を楽しめる場所に建てられたお宅。まず目を引くのが家の形。左右に二つの棟があり、その間にデッキスペースがあります。家の前にもデッキのような空間があります。実はこの家の前の空間は駐車場だとか。


棟の間にあるデッキの前に立つと視線が抜け、どんな景色が広がっているか、期待させてくれます。そして、今日ゥせてくれた自然の表情は光と湖、森が奏でるシンフォニーでした。山の天気は変わりやすいものといいます。そのおかげで時間によって色々な景色が楽しめる。山の楽しみ方も考え方ひとつで変ってきますね。


さて、家の中にと思ったのですが、玄関が見当たりません。訪ねてみると駐車場スペースの間に階段があり、その階段を下りるとか。下りてみるとそこには正面にだけ視線が抜けたスペースが出現。建築家はここを土間のような空間として作ったそうです。

左側の棟がLDKとなります。広さは15畳。天井や壁にはグラフィックデザイナーであるご主人の作品が置かれていました。照明は電球に習字で使用する半紙を巻いただけのもの。素朴ながらとてもいい味が出ています。

リビングの南側には開口部を設けました。ここからはくつろぎながら素晴らしい景色を楽しめます。窓を開けるとその素晴らしさを肌で感じられます。手すりやデッキがないため、より自然が迫ってきているように感じますよね。

右側の棟に移るとまず目に入ったのがトイレ。ここからは素晴らしい景色が楽しめ、明るい日差しが入り込みます。はじめトイレを南側にするか、浴室を南側にするか迷ったそうです。考え抜いた末、一日何回も行くトイレを南側にしたとか。洗面の壁にはご主人自ら絵を描かれました。壁がベニヤばかりではおもしろくないと壁に直接描かれています。

寝室は2階になります。寝室からは一番初めに見せて頂いたデッキへ出ることができます。朝起きてデッキで新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むのもいいですね。

ずっと気になっていたのですが、富士山はどこに見えるのでしょうか?そんなことを思っていると散歩に誘われました。そして、見えてきたのは夕焼けの富士山。雲が赤くなりとても美しいです。毎日表情が違う富士山を見るために散歩に出かける。今日はどんな姿を見せてくれるのだろうと楽しみにしながら歩くのもいいですよね。

泉本 晋一
1947年   東京都生まれ
1970年   工学院大学建築学科 武藤章研究室卒業
1970年~1973年   (株)INA新建築研究所勤務
1973年~1974年   フリー 山口県宇部市にて設計活動
1974年~1980年   独楽蔵建築デザイン勤務
1980年~現在   龕建築デザイン主催
 
■1981年から現在までヨーロッパ10カ国をはじめ中近東、アメリカなどの都市・建築を見学。また「遊びの住まい」、「私のシルバー計画」など様々なテーマで各地で講演をし、建築雑誌やテレビでその作品も紹介されている。
住宅・店舗・中小ビルを主体に「住環境を作りながら街に開いて建つ」をテーマに年間10件前後の設計管理を手掛けている。

■ 1991年11月より狭山市在住の建築家・彫刻家・主婦の6人のメンバーとともに、狭山市の街づくりについて考えてきました。その結果を1993年の小冊子『狭山市駅西口地区まちづくりの再考1』にまとめ、市長はじめ行政担当者、市民グループや個人にも配布し自分達で考える『まちづくり』をめざしている。

■ 2001年には「ユニバーサルデザインのまちづくり」をテーマにシンボジウムを開催し、健常者・障害者、子供からお年寄りまで「安心して暮らせるまち『狭山』」を提案。
     
1998年~   工学院大学建築学科 非常勤講師

龕(がん)建築デザイン

〒350-1305
埼玉県狭山市入間川4-20-31
TEL   042-954-0797
FAX   042-954-1024
E-mail   gan_izushin@yahoo.co.jp

『一沈庵』-3つのデッキを持つ異次元体験舞台。道から平らに広がる2枚の木製デッキが駐車場である。
その先にはさらに一段上がって手すりのないデッキが南傾斜面の空中に突き出し、山中湖を一望できる。駐車場の間のステップを降りると、パブリックゾーンとプライベートゾーンを分け繋ぐもうひとつのオープンデッキが広がる。雨や雪にも見舞われるが、四季を通じて朝の陽光を浴びながら、ちょっと遅めのブランチは最高である。
合理的な生活に囲まれ、自己スペースでゆっくりとした時間の流れの中に身を置くことが難しくなって久しい。
山中湖を望む自然環境を共存するために外部者はやたら入れない管理された一大別荘地であるが、もっと大らかに、もっとのびのびと自然に対峙するダイナミズムを2つの小さな舞台『一沈庵』が伝えてくれる。


今回は富士山がみえる隠れ家を特集しました。富士はその姿が美しく威厳に満ちています。詩に、絵画に、文章に…。歴代の芸術家は筆を取らざるを得ませんでした。そんな富士と過ごすのはまさに至福の時。「究極の絶景」は「究極の借景」といってもいいんじゃないでしょうか。絶景も時と共に移り変り、日や時間によって色々な表情を見せるもの。そんな美しい景色との出会いの瞬間はとても素晴らしく、大切にしたいものです。