2003年12月6日放送
神奈川県逗子市・久世邸
−絵画の窓 逗子になじむ黒壁の家−
2003年5月完成
敷地面積   137平米(40坪)
建築面積   68平米(21坪)
延床面積  109平米(33坪)
木造2階建て
建築費:2850万円   坪単価:87万円


久世さんのお宅の外壁は黒色となっています。外壁の色は街並みになじむようにするための配慮から選ばれたそうです。家の前に植えられた植栽は全て奥さんが選びました。少しでも街並みに貢献し、美しい街並みを維持したいという気持ちで植栽のスペースを確保。海が近い土地柄、植えられたのは全て潮風に強いものだとか。

1階の寝室は広さ5畳。寝室の開口部は障子を入れました。障子の奥にゆらぐ樹木の影を眺めるのも、いいでものです。

2階のダイニングキッチンは2階の中心に配置。ご主人はここを家族が集まってくるスペースとしたかったとか。その要望の通り、お子さんが宿題をしたり、絵を書いたり、家族みんなが集まる場所となっています。

ダイニングの南側の窓にも障子をはめ込みました。この障子を開けると、見えるのは美しい緑。近隣の家の植栽をうまく借景としています。まさに絵画の窓、ピクチャーウィンドーですよね。

キッチンはアイランド型。キッチンはダイニングの北側、家族の様子が見渡せ、窓から美しい景色が眺められる場所に配置されています。家の中で一番良い場所かも知れませんね。カウンターの下は収納になっています。

リビングには南北に窓を配置。両方の窓からは、美しい緑の借景が眺められます。建築家はこの景色を窓枠で切り取るために窓の大きさ、配置、デッキの手すりの高さまで入念にチェックされたそうです。素晴らしい借景をさせていただいたら、それをお返ししたい。久世さんはそういった考えを大切しながら家作りに取り組まれたとか。そのための植栽や外観でもあるわけですね。

物見やぐらを思わせるような雰囲気です。こちらではご近所の方、友人を招いてバーベキューをされるそうです。家族に限らず、多くの方を招いて行うバーベキューは格別でしょうね。

奥様の部屋は家の一番北側に配置。北側は日光が入らず、嫌わる方角でもありますが、久世さんのお宅では窓からの風景がすばらしい。ほんの二畳ほどのスペースですが、家事を忘れてこもれる空間をもつ贅沢さ。


堀部安嗣

1967年   神奈川県生まれ
1989年   筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業
1991〜94年   益子アトリエ
1994年   堀部安嗣建築設計事務所設立

堀部安嗣建築設計事務所

〒112-0002
東京都文京区小石川4-5-6-302
TEL&FAX   03-5800-1240


この家は逗子の海岸近く、古き良き湘南の面影を残す閑静な住宅地の一角にあります。
設計にあたっては、軒の高さを低く押え、建物のボリュームを軽減し、外壁を黒の塗装とし周辺を緑化することにより、建物を周囲の町並みに溶け込ませるよう考慮しています。内部では周辺の建物の静かなたたずまいや豊かな緑を借景として取り入れ、街と良い関係を持つことによる家の広がりを得ています。
今良い環境があってこそ、それを借りて生かせる事。同時に、この建物も風景の一部として存在し、街の環境を担って行く一員であることを常に自覚していきたいと思います。
 
久世さんのお宅は周囲の環境に配慮して建てられています。今、日本の住環境の風景が問われています。東京近郊において地所が事情あって細分化されて開発されていきます。大金を投じますから勝手に作っていいんです。ですが、風景は渾然一体、残念な形だと思います。土地は子孫から借りているものだとネイティブアメリカンの人たちが言っている。そんなことをテレビで観ました。久世さんの奥さんがおっしゃるとおり、借景をさせていただいたら、自ら建てる家で、また環境で周囲にお返しをするという配慮がもっとあれば、美しい住宅郡ができるのではないかと思います。