2003年11月22日放送
東京都港区・長洲邸
−西麻布で15坪 ガラスの壁と屋上庭園−
2000年11月完成
敷地面積   50平米(15坪)
建築面積    30平米(9坪)
延床面積  120平米(36坪)
RC造地下2階+鉄骨造3階建て
建築費:2000万円   坪単価:55万円


長洲さんのお宅は東京都心にある15坪の敷地に建てられた住宅。地下に2階、地上に3階、そして、屋上に庭園を設けた6層からなる都心で心地良い生活を実現した建物です。設計は建築家のご主人自ら担当されました。外部を工事の用のシートで覆い、プライバシーを守っています。夜には内部から明かりが漏れ、行灯のようにも見えます。

玄関は地下1階になります。中央に置かれた灰色の棚は下駄箱。全てが網目状のエキスパンドメタルでできているため、中に何が入っているかよく見えます。下駄箱の隣は地下2階からの吹き抜けとなっています。

お風呂はご主人の力作。施工の仕事は素人だから職人さんのようにできるはずがないとあえて手作り感も大切にしながら作られたそうです。気づいたら大きくなり過ぎて、奥さんが入れなくなっていたとか。そこで急遽、踏み台も作られたとのこと。

地下2階は冬温かく、夏涼しい場所、冷暖房機器を使わずに一年中快適に過ごせる場所だとか。広さは14畳。天井が吹き抜けているためさらに広く感じます。見上げるとエキスパンドメタルの影が…。光と影が作る芸術ですね。床には擬石を敷き詰めています。

リビングは地下と雰囲気が変わってガラス張りの明るい空間です。壁という壁は全てガラス張り。鉄骨とガラスだけ出来上がっています。そのため内装屋さんが必要なかったとか。それだけでもローコストにつながりますが、長洲さんは工務店などを仲介せず、すべて自分で職人さんに仕事を依頼する分離発注方式をとりました。仲介業者がないため、安くすみます。しかし、奥さんは鉄骨部分全てにペンキを塗ったりと大変苦労されたそうです。

ダイニングキッチンは2階になります。広さは10畳。家具の棚は鉄骨屋さんに作ってもらったとか。家具屋さんではないため、ちょっといびつなところなどありますが、安くできがったそうです。吹き抜けからはリビングが見下ろせ、コミュニケーションもとれるのがいいですね。

3階には洗面とご主人の書斎コーナー、寝室などで構成されています。洗面のシンクは2000円ほどだとか。それもそのはず実はこれうどんすきの鍋なんです。とても鍋とは思えないのが面白いですね。

屋上には芝生を植え、愛犬ダンちゃんの小屋もあります。屋上に犬小屋というのも珍しいですね。芝生を植えるのに土を使用しました。この土が断熱材となります。夏にはさらに水をまくため、効果もさらにアップするそうです。


長洲 研志

1964年   東京生まれ
1988年   横浜国立大学建築学科卒
1988年   I.C.D.建築設計事務所入社
1995年   同役員〜現在にいたる
1997年   (有)六中総研設立〜現在にいたる

I.C.D.建築設計事務所

〒171-0044
豊島区千早2-27-6熊谷守一美術館3階
TEL   03-3530-4891
FAX   03-3530-4893


「住むこと」とは建物だけでなく、その町もひっくるめてどうかということだと思います。実は私たちはここ<都心>に住めるということだけでだいぶ満足しています。今でも「自分の住宅は雨露をしのげればそれでよい」程度に考えています。自分も発展途上だから建物も発展途上でかまわないと。われわれの生活はまだまだ変化しつづけ、それも予測が出来るものではないと考えたので、建物はあとからどうにでもなるほうがよいだろうと思いました。生活感は、ソファーや家具、観葉植物が雰囲気を作ってくれる。建物はそのままうそをつかない格好で良い。外側はすべてガラス、鉄骨はそのままむきだし、扉も鉄板と玄関はガラス扉なら自分で取り付けられる。内装は自分達でやる。工事中のシートもそのまま目隠しにしてしまう、などなど・・。そうやって組み立てていったらこうなりました。結局それはそれで主張の強いものになってしまい、気がつくと込めた思いがたくさん詰まっていて、実はそれが少し照れくさいような気もしています。
 
長洲さんのお宅は都心の狭小の敷地に建っています。この土地を見てなかなか買おうとは思わないのですが、ご主人はさすがに建築家です。出来上がった住宅の展開、想像、構成は見事です。実に感性豊かないい建築だと思います。地下1、2階とコンクリートで地上1、2、3階が鉄骨造です。地上階に柱はあります。しかし、壁がない。4方全て大開口です。これも珍しい。南側がふさがっているということでの苦肉の策なんですが、実はこれが素晴らしい開放感をもたらしてます。それぞれフロアによって目的が違いますが大きくひとつにつながっています。そして、屋上庭園では、ダンちゃんが元気でした。あの緑がとても素晴らしい。普段は近隣と交流の無い屋上で手をつなぎ合う、新しい発想と言う感じが致します。