2003年10月18日放送
東京都江戸川区・大越邸
-2人の母とガレージに暮らす家-
2003年4月完成
敷地面積   133平米(40坪)
建築面積    77平米(23坪)
延床面積   128平米(39坪)
木造2階建て
建築費:2900万円  坪単価:75万円


大越さんのお宅は敷地40坪に建てられた木造2階建て。ご家族はご夫婦とそれぞれのお母さんの4人。ご主人には家族というべき存在がもう一つありました。それは、大切な愛車。だからこそ愛車のための部屋、ガレージを希望されました。ご主人曰く、「愛車がなければ家を建てなかった」とか。外観も愛車が収められて絵になるデザインとなっています。

ガレージには「ロータス・ヨーロッパ」と「ブルーバード510 1800SSSオートマティック」が収められていました。「ロータス・ヨーロッパ」の黄色は大越さんの愛車のために職人さんが特別に作ってくれた色だとか。また、愛車のためのエアコンも完備しています。

玄関に入ると目に飛び込んでくるのが床と壁の黄色です。愛車のロータスと合わせてありました。そして、玄関奥の扉を開けると…。愛車が見えました。帰宅してすぐに愛車と会えるのがいいですよね。玄関から2階に行くにはエレベーターを使用します。2人のお母さんへの心遣いもされています。

2階のLDKは広さ11畳、天井高2.4メートルの空間。落ち着いた和のしつらえとなっています。障子には布を使用。紙とは違う雰囲気を出してくれています。

2階には広いデッキがありました。ここで朝食をとられることもあるそうです。ひさしが深いため、雨が降ってきても濡れる心配はありません。

お母さんの部屋はそれぞれ6畳。和室と洋室、お母さんの希望に合わせての部屋づくりとなっています。この2部屋はデッキを挟むように両脇にあります。デッキを挟んでお母さん同士でコミュニケーションもとれます。

奥さんの部屋は1階にあります。広さは6畳。奥さんは大のネコ好きだとか。壁には大切なネコグッズが飾られています。そして、奥さんの愛猫のフミャ子ちゃんとご挨拶。部屋の横にはデッキ兼駐車場を設けました。ここはネコの遊び場になっているそうです。

ご主人の部屋は広さ6畳。車関連の小物や本、ヘルメットなど趣味のものが置かれています。この部屋はいつも愛車といられる最高の場所だとか。


山本 学

1966年 静岡市伊東市生まれ
1984年   加藤学園暁秀高等学校卒業
1988年   宇都宮大学建築工学科卒業
1988年   林・山田・中原設計同人入社
20件余の住宅作品・公共施設を担当
2001年   アトリエ ガク 設立
2002年~   桑沢デザイン研究所講師
     
受賞     
1988年   読売新聞主催ハウスコンペ特別賞受賞
     
 
アトリエ ガク 一級建築士事務所

〒124-0005
東京都葛飾区宝町2-38-11
TEL/FAX   03-3695-2690
E-mail   skipper@da3.so-net.ne.jp

江戸川共生ガレージ

 愛車と共に生活する。カーマニアならば、誰もがあこがれる生活である。最近各種雑誌で、そのような住宅がかなり紹介されている。大越さんのお住まいもその一つなのだが、それらと大きく違うところとして、車以外にもご夫妻それぞれの母上(おばあちゃん)が一緒にお暮らしになり、奥さんの愛猫も加わっているところである。
 4人の成人と1匹のネコ、3台の車たちを、どのように共生させることができるかが、設計コンセプトになっている。日当たりの良い2階に、おばあちゃん達の個室と、みんなが集まる空間をもっていき、居間と同じ大きさのルーフデッキに、それぞれの部屋からアクセスできるように配置した。エレベータを設置して水回りとエントランスへの動線も考慮している。ガレージはこの家にとって、第二のリビングと考えている。2階で営まれる日常生活と、夜になって集まってくる車仲間の騒音や悪臭(ゴメンナサイ)とを切り離すためである。西側の庭は奥さんとネコのふみゃこのためのアウトドアリビング。
 ガレージというのは車のためだけのものではなく、そこで生活する人々の、ドックみたいなものと考えている。そのガレージからそれぞれ社会や地域のコミュニティへ出て行き、また戻って来る場所。そして、多くの人や車が集まって来る憩いの場所になればと願っている。
                         山 本  学 / アトリエ ガク

 
大越さんのお宅の外観は和風の落ち着いたデザインになっています。その中心にはガレージ。ガレージには愛車が大切に収められていました。ご主人の趣味は半端ではありません。その影響を奥さんも多少受けて車を愛する。そして、ネコちゃんを愛する。奥さんも楽しみのを大切にした部屋をお持ちです。この家のポイントは何と言ってもガレージ。そして、ご夫婦それぞれの母親との共同生活です。高齢者に対する優しい配慮随所に見受けられました。建築家は色々な難題を解いていく設計作業だったと思いますが、それを楽しみに変えたに違いありません。