2003年10月4日放送
神奈川県真鶴町・押田邸
-お洒落 コートダジュールの夢-
2003年5月完成
敷地面積  330平米(100坪)
建築面積    73平米(22坪)
延床面積   111平米(34坪)
RC造3階建て(一部鉄骨造)


押田さんのお宅は丘の上に建てられた鉄筋コンクリートの建物。海から見ると住宅が海に突き出すようになっています。近くで見上げると突き出し具合の凄さが分かります。押田さんご夫婦が海の見えるこの土地を探されたのは新婚旅行で訪れた南仏のコートダジュールに似ていたから。新婚旅行で泊まったホテルからも美しい海が眺められたそうです。
玄関を入ると出迎えてくれるのが、2階のLDK。広さは30畳。縦に細長い空間の先には壁一面の窓に切り取られた海と空が広がります。そして、海側から室内を見ると景色が無くても目を楽しませてくれるデザインとなっています。

LDKの中で一番玄関に近いのがカウンター式のキッチン。大開口からは一番離れていますが、カウンターと吊り収納の間をあけ、キッチンにいながら景色が楽しめるようになっています。

海と空を一番近くで楽しめるのがリビング。大開口に一番近いだけあって、目の前に広がる海と空は迫力があります。L型のソファーは造り付け。座り心地が良く、ゆったりとくつろげます。
LDKの横にはデッキがありました。デッキからも海と空が眺められます。しかし、同じ景色のはずが見え方が違います。建築家は押田さんの敷地から見える一番いい景色だけを建物の壁と屋根を利用して切り取っていました。場所によって切り取り方を変え、違った味わいに仕上げてあるんですね。

3階は広さ11畳。3階は客間になっています。ここからりLDKの大開口を見ると、海を見下ろせ、リビングとは違った見え方になります。まるで巨大な絵を見ているようです。

1階は広さ25畳。主に寝室と浴室で構成されています。1階は2階と違い、横に細長い空間となっています。そして、海側は全て開口にし、パノラマの景色を楽しめるようになっています。寝室には奥さんの化粧台とベッドは造り付け。夫婦揃って寝る前に読書をされるとか。その話をしたところ建築家は斬新な照明を作ってくれたそうです。

寝室には大きな浴槽を設置。そして、入浴を楽しくしてくれる物が配置されました。まずは海への眺望。そして、円卓。これは建築家のオリジナルです。ここに本やシャンパンを置くそうです。ご主人は大のお風呂好き。本やシャンパンを片手に何時間も入浴されているとか。絶景と美味しいお酒や面白い本があったら一日中入っていても飽きないですよね。


横河 健(よこがわ けん) 

1948年 東京都生まれ
1970年   ワシントン州立大学交換留学生
1972年   日本大学芸術学部美術学科卒業
1976年   設計事務所クレヨン&アソシエイツ設立
1982年   株式会社横河設計工房設立
現在   日本大学理工学部教授
     
《受賞歴》  
1989年   「日比谷公園前派出所」 東京建築賞/都市計画局長賞受賞
1999年   「グラスハウス」 日本建築学会作品賞/デュポン・ベネディクタス建築
賞特別賞受賞
2002年   「CESS/埼玉県環境科学国際センター」日本建築学会作品選奨受賞/JIA環
境建築賞受賞
2003年   「武蔵野市立0123はらっぱ」 日本建築学会作品選奨受賞
   
横河設計工房

〒224-0041
神奈川県横浜市都筑区仲町台1-33-1 THE TERRACE
TEL   045-949-4900
FAX   045-949-4944
E-mail   kya@kenyokogawa.co.jp

「Mona House」
この家は、小高い山の上、ひっそりと、一見納屋のようにたたずんでいます。
しかし、ひとたび扉を開けて中に入れば、その様相は一変して、明るく大きな開口部が吹抜け
全面にとられ眼下に広がる海に向けて一望することが出来るのです。
今回は、南仏の地中海に面するオーベルジュとかプチホテルに犬づれで長期滞在すること_。
こんな生活をご存知のご夫妻の為、また、ご夫妻がかわれている最愛のノーフォークテリア犬
モナちゃんのための家を設計しました。
上階は、筒状に海に向けて突き出し、下階は、御主人の一番の趣味であるお風呂を寝室と一体
に(ビアンコカラーラの白大理石)設けた中、左右に大きく広がるパノラマビューを手に入れ
たという、上の階と下の階の対比が特徴的な建物です。
 
押田さんは新婚旅行で南仏のコートダジュールへ行かれました。泊まったホテルから見る景色が目に焼き付いて、将来どうしても海の近くに建物を建てたいということで、この土地を探されました。この土地からの景色は素晴らしいです。この景色をいい形で眺められる、味わえる建物を建てたいということで建築家を探され、横河健さんと出会いがありました。横河さんは本当に一生懸命頑張りました。創意工夫の数々は御覧頂いた通りです。いわゆるモダン建築になると四角四面の建物になりがちですが、切妻屋根を設けることによって随分空間の解釈、感じ方が変わってくると思いました。