2003年9月13日放送
神奈川県横浜市・吉原邸
−質実剛健 光が流れるNY風の家−
2001年9月完成
敷地面積  122平米(37坪)
建築面積   64平米(19坪)
延床面積 168平米(駐車場含む)(51坪)
RC造地階+2階建て
建築費:4000万円  坪単価:79万円


吉原さんのお宅はコンクリートの地下1階地上2階の3層の建物。地下は吉原さんが経営されるオフィス、1・2階が住居となっています。玄関もオフィス用と家族用の2つを1階の左右に設けてあります。1階の中央部分は曇りガラスを採用。建物内の人影がうすっらと感じられます。
1階LDKは広さ18畳、天井高5.2メートルの空間。南側は前面ガラス張りの大開口を設け、光が常に入る明るいスペースです。

LDKの北側の壁沿いには長いベンチが造り付けられています。どこか縁側を連想させてくれます。吉原さんが建築家の要望したのはしっかりとした構造の建物。珍しい要望ですよね。吉原さんは青年時代をNYで過し、そのとき住んだアパートの壁の厚さに驚かれたとか。その時の経験から厚みのある壁の家に住みたいとお思いになるようになったそうです。

家族と会話を楽しみながら調理ができるようにキッチンはカウンター式になっています。白色とステンレスのを基調としたシンプルなデザイン。収納も最小限に抑えて余分なものを置かないようにしているそうです。
2階に設けられた居室空間は1階のLDKと間仕切りをなくしたロフトのようなスペースとなっています。見下ろせば居間兼食堂にいる家族とコミュニケーションを取れるのが嬉しいですよね。家族の気配を感じながらひとりでくつろぐことのできる空間です。

浴室も北側に開口を設け、光が入る空間となっています。浴槽は日本で手に入るもの既製品で一番大きいものを選ばれました。NY生活で使用していた浴槽がとても大きく、その影響が強いようです。洗面台は建築家のオリジナル。蛇口から水を出せば、渦を描きながら流れていきます。

寝室は広さ10畳。寝室の横には階段の上にブリッジを設けました。一見無駄なスペースですが、ここで本を読んだりしてくつろぐのがとても気持ち良いとか。さらに扉を一枚開ければ1階のLDKとつながります。

地下室は広さ36畳の空間。今はご主人のオフィスとして使用しています。そして、将来は子供室にするつもりだとか。吉原さんのお子さんは4人。現在、奥さんとお子さん達は山梨県に住まわれています。将来進学のため上京したときは、オフィスは外へ。家族のライフスタイルによって用途を変えられる設計になっています。


平倉直子
平倉直子建築設計事務所

〒152-0021
東京都目黒区東ケ丘2-13-45
TEL   03-3421-7416
FAX   03-3421-2337
E-mail   nha@abox9.so-net.ne.jp


平倉直子建築設計事務所主宰
日本女子大学、名古屋工業大学非常勤講師

≪建築:公共≫
2003 鹿沢インフォーメーションセンターの開館予定
2000〜上信越高原国立公園 鹿沢園地 自然学習歩道施設整備事業
    プロポーザルコンペにて選定され、園地利用の調査企画からスタート
    フィールド及びインフォーメーションセンター他 施設の基本・実施設計及び設計監理
    案内・展示などソフトの企画及び設計、監理
1996 CTO(クリエイティブタウン岡山)倉敷市栄中庄団地・マスタープラン提案
    あかりの交番PART2−恵比寿4丁目交番
1994 あかりの交番PART1−三田交番 1995目黒景観賞
1993 バラの交番   −荒川遊園前交番・・・東京都の設計者選定委員会指名

≪建築:民間≫
2002 千石の集合住宅計画中
1998 オフィス・赤坂
    都賀の住まい 2001千葉市景観賞/2000暖かな住いコンテスト優秀賞
1997 常盤台の住まい 1998新日本建築家協会新人賞/2000日本建築学会作品選奨
1995 羽沢のすまい                   1998東京建築賞最優秀賞
1983 井上邸、谷平倉邸 1983建築士会ブロック会賞、東京建築士会住宅コンクール賞

≪商品開発≫
1997 フライングソーサー(洗髪洗面器意匠登録)1999デザインフォーラム入選
1994〜 机・椅子などの家具、雑貨(傘立て意匠登録)

≪その他の活動≫
2002 国立公園内建築施設研究会主催・・・国立公園の自然景観にふさわしい計画
2000/01上信越高原国立公園 鹿沢 地区地域連携事業主催・・・保全活動の計画と実施
2000〜 東京都の設計者選定委員
2000〜 柏市の景観デザイン委員会、景観アドバイザー委員
1998〜 林野庁の各種委員会に参画。


吉原さんの住まいの計画は建物を建てる方法を検討することから始めました。
敷地が急な斜面地にあり、狭い道路に面しているため、大型トラックなどが入れない環境にあったからです。傾斜地を生かした計画として地下室を提案し、このことによって、鉄筋コンクリート造であることが必要となりました。そこで、柱や梁のプロポーションを必要に応じて設定し、室内の空間を邪魔しない最小限の構造でおおらかな空間を提案することができました。

街並みに対しても、玄関前のアプローチ兼駐車場のピロティによって、ゆとりの空間を提供しながら、すっきりとした佇まいを作っています。住まいはお子さんたちの成長につれて変化する暮らしを受けとめ、その時々に対応した使い方を想定しています。ソーホー型から専用住宅へ、やがて2世代住宅への展開もあるかもしれません。
 
吉原さんのお宅の敷地は前面道路が大変狭く、傾斜地になっています。この形状を建築家は読み取って設計されています。外観は四角いシンプルな箱のようですが、中に入れば大空間が迎えてくれます。南側は大開口になっており、所々開け閉めができるようになっています。風の流れを計算した設計。そして、ご主人は「光の流れも感じる」とおっしゃっていました。実にいい表現です。将来、上京されるであろうお子さんとの生活を考えてフレキシブルな対応ができるようにもなっています。ご夫婦は若い頃にNYで生活されていました。そこで見たソーホーの大胆な暮らしぶり。吉原邸は建築家の設計力もさることながら、NYでの生活も色濃く影響されているようです。