2003年8月16日放送
東京都・和田邸
−20畳の浴室 若き芸術家が集う家!−
2002年1月完成
敷地面積    109平米(33坪)
建築面積     55平米(17坪)
延床面積    168平米(51坪)
RC造地階+木造2階建て(一部鉄骨造)


和田さんのお宅は都心に建つ地階+地上2階の3層住宅。外壁には蔵を思わせる落ち着いた色合いになっています。階段の下はガレージ。将来、ギャラリーとして近所に開放する予定だとか。

デッキは白色をベースとした広々とした空間となっています。デッキの東側の壁面には2段の窓を設けています。下の窓は1階の和室に、上の窓は2階のリビングへとつながっています。デッキにいながら、和室やリビングにいる家族とコミュニケーションを取れるのがいいですよね。

デッキの一角に浴室を設けました。仕切りの窓ガラスは開閉式。開ければ露天風呂へと様変わりします。デッキを入れて広さ20畳の開放的な空間で入浴を楽しめむのもいいでよね。

1階の客間は広さ9畳。廊下との仕切りは障子を使用。閉じれば一直線になり、まるで障子の壁のよう。

地下の寝室はゆっくりと休める落ち着いた空間です。とてもスッキリとした印象がありますが、それもそのはず、テレビも隠れるようになっています。眠るときに必要なもの以外は片付けられるようになっています。

2階のLDKは広さ25畳。白色を基調とした美しいスペースです。光が差し込むハイサイドライトは部屋を囲むように360度設けられています。このおかげで常に明るく、快適に過ごせます。

キッチンから続くカウンターは多くの来客時の役立つとか。幅は60センチと広め。ここに料理が盛り付けられた大皿をいくつも並べることができるそうです。大学で教鞭を取るご主人は学生の皆さんをここに集め、授業をするのが夢だったとか。和田さんのお宅は芸術家が集まる家なんですね。

キッチンも炊飯器やオーブンなどが一切でない、スッキリとしたスペースとなっています。そして、冷蔵庫も寸法を測り、スッキリと埋め込まれていました。電化製品はいつか壊れてしまうもの。買い換えたらサイズが変わってしまう…と心配になりますよね。しかし、そんなことのないよう建築家の配慮がしっかりとされていました。表のパネルを作り変えるだけで、大小様々な冷蔵庫が入るようになっています。


塚田眞樹子(つかだ・まきこ)

1961年 北海道生まれ
1986年   北海道大学工学部建築工学科卒業
1986〜89年   大林組構造設計
1989〜93年   竹山実建築綜合研究所
1993〜94年   坂茂建築設計
1995年   塚田眞樹子建築設計設立
   
塚田眞樹子建築設計

東京都練馬区下石神井
TEL   03-5372-7584
E-mail   mt@makikotsukada-architects.jp

和田さんご夫妻は私の前作(U&U HOUSE)を雑誌でご覧になり、自宅の設計を依頼して下さいました。その前作の住宅は2階建てで、大きな正方形の部屋を2層重ね、その部屋の周りを回廊が取り囲みさらにその外に小さな部屋が点在したものです。回廊を使って平面的に連続性のある建物にしたのです。
和田さんの住宅の場合は敷地が南北に細長いことと、特殊な部屋を計画しなければならなかったことなどを考えあわせ、各部屋と廊下と外部空間全てを使って連続性を確保することとしました。さらに、南と北両方に階段を用意し、平面的な連続性だけではなく、縦方向の連続性も考慮したのです。
細長く東西に分かれた各空間は階段を半階あがって連続的につながっているのですが、それぞれが半階ずれることによって、充分な光の確保ができたことと、上下に分断された部屋をその中間階を通して、相互に気配をつなげることもできました。
この連続する空間で家族のみんながいつも仲良く楽しい時間を過ごしてくれることを願っています。
 
和田さんのお宅にはご夫婦の友人が大勢集まり、よくパーティーをされるそうです。そして、ご主人のゼミの学生さん達が多く集まります。ご主人はデザインのプロ。できるだけいい建物を建てたいと思うものです。この建物は建築家に設計を依頼されてコラボレーションを経てできあがりました。その建物を感性の塊のような若者達が厳しい目を持ってこの建物を観るわけです。そして、学生達を充分に納得させてくれていると思います。ご夫婦、建築家ともに生みの苦しみはありながら、家造りを楽しまれた結果がこの建物になったという感じが致しました。