2003年7月5日放送
神奈川県逗子市・村山邸
-緑の山間に建つメガホン形の家-
2000年12月完成
敷地面積    116平米(36坪)
建築面積     58平米(18坪)
延床面積     105平米(32坪)
RC造2階建て
建築費:3880万円    坪単価:121万円


村山さんのお宅は36坪の谷間の土地に建てられてた家族4人が暮らす2世帯住宅です。谷間は日照時間が少なく、太陽光をいかに取り込むかは大事な設計の大事なポイント。建築家は大切な太陽光を取り込むため、南側に大開口を設けたメガホン形に設計しました。

1階はお母さんのスペース。2階は子世帯となっています。RC造だからお互いの生活音が気にならず…と思っていたら、これが結構聞こえてるとか。1階と2階をらせん階段でつないぐことであえてお互いの生活音が聞こえるようにしたそうです。お母さんとしてはお孫さんの歌声や笑い声が聞こえ、生活を楽しくしてくるとか。

もちろん浴室などの水周りも親世帯、子世帯別々に設置しました。親世帯は洗面、水周り、浴室が一体化したスリー・イン・ワン。広々としていて使い勝手もいいそうです。お孫さんと一緒にお風呂に入ることもあるとか。お母さんの最高の楽しみにもなっています。

2階の居間兼食堂は広さ14畳。居間兼食堂の中心に位置するのが、親世帯と子世帯をつなぐらせん階段。家族の心をつなぐだけでなく、オブジェとしても生活スペースを引き立ててくれています。

2階スペースにいると自然と視線が外に向いてしまいます。南側に設けられた大開口からは緑が楽しめます。太陽光を取り組むためだけでなく、四季折々、様々な表情を見せてくれる自然を堪能できる窓でもあるわけです。

リビングにはハンモックやブランコがありました。こちらはご主人の力作。ご主人職業は建設現場の現場監督をされています。現場にある道具を巧みに使いわれています。お父さんのおかげでお子さんも大喜び!!

キッチンはオープン型。横幅も大きく取り、家族みんなで料理ができるように自由に使用できるように設計してもらったとか。天板下などに広々とした収納スペースを確保しました。キッチンのスイッチはトグルスイッチを採用。これは建築家達の要望が強かったとか。今ではこのようなスイッチを付けれる職人さんも少なくなったそうです。

村山さんのお宅を建てた建築家に来て頂きました。建築家は左から西松さん、野伏さん、山中さんのなんと3人。実は3人とも村山さんとは大学時代からの親友なんです。村山さんが家を建てることになり、親友の3人がひと肌脱ぐ形になったとか。村山さんを含めた4人で意見を闘わせながら、家造りをしたそうです。温かい仲間に恵まれて村山さんは良かったですね。


山中 新太郎(やまなか しんたろう)

1968年 神奈川県生まれ
1992年   日本大学理工学部建築学科卒業
1994年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修
2000年   山中新太郎建築設計事務所 設立
2001年   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了
1994年   東京建築士会住宅建築賞「金賞」受賞
現在   明治大学・跡見学園女子短期大学非常勤講師、工学博士
   
一級建築士事務所 山中新太郎建築設計事務所

〒231-0821
神奈川県横浜市中区本牧原25-19
TEL   045-624-0749
FAX   045-621-6227
E-mail   shintaro@c2system.co.jp

西松 繁郎(にしまつ しげお)

1969年 東京都生まれ
1992年   日本大学理工学部建築学科卒業
1992~1977年 近藤春司建築事務所
1997~1999年   (株)杉デザイン事務所
1999年~   西松建築設計工房 設立
現在   (株)安宅設計勤務
E-mai   shigen@air.linkclub.or.jp

野伏 武彦(のぶし たけひこ)

1969年 神奈川県生れ
1992年   日本大学理工学部建築学科卒業
1992年   株式会社水澤工務店入社
2001年 株式会社N.0.Bアソシエーション設立
2003年   株式会社ケイズプランニング設立
現在   株式会社N.O.Bアソシエーション代表取締役
兼株式会社ケイズプランニング取締役
   
設計者3人の間では様々なアイディアが出ましたが、「谷間の家なんだから、大きく南の空を向いた家にしよう!」ということで、このデザインに決まりました。打ち合わせでは、二つの家族が「離れながらも、どこかで繋がっていられるような、ほど良い関係」をどうやって作っていくかを、よく話し合いました。家が出来上がり、らせん階段や玄関を通って家中を駆け回っているお子さんを見ると、「この家で二つの家族が一つになれたんだな」と感じます。気心の知れた仲間が集まって出来た、楽しい仕事でした。
 
村山さんのご主人は、学生時にラグビーをされていました。そして、今では建設現場の現場監督です。家を建てるとき、普通建築家は1人ですが、村山さんのお宅を設計した建築家は3人いました。しかも、3人とも気心を知り尽くした親友です。その3人がスクラム組んで親友のために色々な意見を闘わせながらひとつの家を作り上げました。できあがった家は2世帯住宅です。親世帯が1階、子世帯が2階にあります。その間を取り持つのがシリンダーのらせん階段です。この階段を通して、2階のお子さんの声が1階の親世帯に届きます。
私が好きなのは緑を取り込む大開口です。衣装面、機能面ともに色々工夫があって楽しく住まうことができる家という感じが致しました。