2003年6月7日放送
神奈川県川崎市・川上邸
−木造傑作 子供が遊ぶなごみの家−
1999年3月完成
敷地面積  213平米(65坪)
建築面積   85平米(25坪)
延床面積 130平米(39.5坪)
木造2階建て
建築費:2983万円            坪単価:76万円


川上さんのお宅は閑静な住宅地にある敷地65坪に建てられた木造2階建て。外壁には不燃処理済のパイン材を使用しました。消防法が気になるところですが、消防法の厳しい規定もクリアした木材のため、燃えにくく安心して暮らせます。

家の周りには多くの緑が植えられています。この緑は完成当時の4年前に植えたもの。それが今では葉が豊かに繁っています。この植栽が自然の目隠しとなって家の中が見えにくくしてくれます。この緑は住まう者のプライバシーを守り、近隣の景観を損なうことなく、近隣の方の目を楽しませてくれます。住まう人にも、近隣の方にも嬉しい緑です。

居間兼食堂は広さ25畳。天井、壁、床と全てに木を使用しています。木の温もりに包まれた空間です。

ダイニングテーブルの天板はムクのカバサクラ材を使用。椅子は家も建てたときに家具屋さんにオーダーして作ってもらったものです。こちらもムクのチーク材でできています。また、使い込んで、味が出てきている子供用の椅子もナラのムクの木でできています。家具にも木へのこだわりが伺えますよね。

居間の隅にはお子さん用の椅子やおもちゃが置いてありました。これは全て木でできています。しかも全てご主人の手作り。ご主人のお子さんへの愛情を感じますよね。

デッキももちろんムクの木を使用しています。こちらの木材はベイスギ。広さ7畳ものスペースを確保しているため、お子さんがここで遊びまわるそうです。ひさしも大きいものを設置されました。日本の伝統も取り入れた設計です。

川上さんのお宅は洗面、洗濯機、クローゼットとひとつにつながる設計になっています。洗濯、干す、たたんでしまえるのが嬉しいですよね。

2階への階段はこちらにもお子さんに優しい設計となっています。ここでの工夫は一見、気づきにくい勾配です。階段の勾配は通常40度前後だとか。その勾配を小学校と同じ32度にしたそうです。なだらかで上り下りが楽にできるのがいいですよね。


矢部 真知子(やべ まちこ)

1966年 神奈川生まれ
1991年   東京工業大学大学院建築学終了
1991〜1995年   (株)日本設計
1995年〜   独立・矢部真知子1級建築士事務所設立
   
矢部真知子1級建築士事務所
〒105-0001
東京都港区虎ノ門1-11-10 浜田ビル
TEL   03-3501-2058
FAX   03-3501-2058
E-mail   m@yabeken.com

メインの部屋で、家族それぞれがくつろぎ・食べ・遊び・学び・働きたいというご希望から、25畳のスペースに、変化のある居場所をつくることになりました。 片流れの屋根と2階を支える床の構造を現して、天井が様々な高さに感じられるように、また、正面の窓はテラスと緑に、サイドの高窓は青い空に続いていくようにしています。
緩やかな階段と独立の丸柱は遊び道具に、梁から吊るしたハンモックは篭り場になっています。
冬は日だまりに夏は日影になるように、南の窓を大きく庇を深くし、人の居場所が南から北へぬける風の通り道になるように、南北に窓を配置しました。
道行く方々にとっても、川上さんの家まわりが少しでもやすらぎを感じられる場になるように、道路側の軒を低くして樹木で囲い、アプローチ正面にはよりどころとなる大きな樫の木を植えました。
道路沿いに柵が無く、樹木と木素材に包まれたテラスは、子供達の溜まり場になっています。
 
川上さんのお宅はとことん木にこだわった建物です。外観、室内までムクの木をふんだんに使用し、居心地良く暮らせる空間となっています。採光、通風等のいろいろな工夫がこの家を素晴らしいものにしてくれているんですね。しばらく私もお邪魔させて頂きましたが、その空間の気持ち良さを感じました。身を置く者が体の芯から喜び、温かさを感じる建物でした。