2003年5月24日放送
神奈川県鎌倉市・小川邸
-古都鎌倉 骨董に囲まれた洋館-
2001年11月 完成
敷地面積  136平米(41坪)
建築面積  54平米(16坪)
延床面積 107平米(32坪)
木造3階建て
建築費:2010万円            坪単価:62万円


小川さんのお宅は古い洋館を意識した木造2階建て。古い洋館への憧れはご夫婦で温めてきたとか。ご夫婦は骨董品も大好き。外灯は骨董屋さんで見つけたものだそうです。門は鎌倉石で作られています。

1階のLDKは広さ17畳。落ち着いた洋館のイメージを大切にした空間となっています。壁にはフランスの住宅の90%に使われているフランス漆喰を使用。古い洋館のイメージに合うようマツヤニを塗り、クラシックな雰囲気を演出しています。

居間には変わった小鳥と金魚がいました。小鳥は相思鳥(そうしちょう)の草一くん。緑色の美しい鳴き声を聞かせてくれます。金魚は茶金魚のカエデちゃん。人が近寄るとエサだと間違えて寄ってくるとか。

ダイニングには骨董品が数多くありました。ダインニングの机と椅子は1930年頃イギリスで製造されたもの。マフィン・ディシュは1900年頃イギリスにて製造されたもの。イギリス製のものが多く置いてありますね。

造り付けの棚にはテレビが隠されていました。必要の無いときには仕舞っておけるのがいいですよね。時計も古いものを使用されています。こちらは昭和初期に日本で製造されてものです。

キッチンはアイランド型。アイランドの角まで丸みのあるタイルで貼ってあります。ご夫婦はこのタイルを探すのに相当苦労されたとか。調味料入れとして使用しているのは、なんと蝿帳(はいちょ)でした。これも大正から昭和初期にかけて日本で製造された骨董品です。

キッチンには大切に使用されているイギリス製のティーカップも置かれていました。家を建てたらキッチンに飾りたいと思っていたそうです。他にもキッチンには小物がいくつも置かれていますが、どれもこの家にしっくり馴染んでいます。

浴室もこだわりのタイルを張った白色を基調とした空間となっています。壁の照明は骨董品のお皿を置けるようにしてもらい、裏側に電球をはめ込んだもの。浴室からは海も見えます。


土屋 義雄(つちや よしお)

1952年 静岡県生まれ
1975年   明治大学工学部建築学科卒業
1993年   TAD建築設計コンサルタンツ設立
1998年   現TAD建築設計事務所に改称
   
TAD建築設計事務所

〒252-0816
藤沢市遠藤745-17
TEL   0466-88-2160
FAX   0466-88-8160
E-mail   tad-s@shonanfujisawa.com

住まいが、人の住まう為の器だとすれば、そのデザイン性はもちろんのこと、機能性も快適性も無視することはできません。いかに長く、快適に過ごすかは、いにしえからの命題でもありました。
強固な構造体と、飽きのこない外観デザインと、自然素材による経年美、そしてグローバルな視野から見れば環境問題までもが家づくりの大きな要素となってきています。
風通しの良い高気密・高断熱に24時間連続定量換気や、パネルラジエーターによる輻射暖房。地熱や太陽熱を有効利用したパッシブエナジーコントロールなど家自体の性能を高める設備も充実。
手造りによる自然素材がますます重厚で、味わいを増していく一方で、長く快適に暮らしていくための工夫も充分に兼ね備えた住まいとなっています。
 
小川さんのお宅は落ち着いた街並みに立つ品の良い建物です。ご夫婦共にアンティークが大好きでクラシックな感じ大切にした建物にしたかったとか。建物のあり方としてモダンとクラシックがあり、いずれも極端になりすぎてしまいます。極端になりすぎず、丁度いいところは十人十色です。選択肢がいろいろある中で小川さんは昭和の洋館をイメージされました。西洋の建物を日本に輸入し、しばらく時間を掛けてそしゃくされたんですね。そして、無理の無いご夫婦に合った建物が完成しました。このことを大事にしたいものです。