2003年5月17日放送
神奈川県藤沢市・山田邸
-愛犬と住むためだけに建てた家-
2001年11月 完成
敷地面積  210平米(64坪)
建築面積  44平米(13坪)
延床面積 92平米(28坪)
木造3階建て
建築費:1750万円            坪単価:63万円


山田さんのお宅は高台に建つ白い箱のお宅。建築家はご主人の高校の頃からの友人。古い付き合いなので、考え方や趣味をよく理解してくれていたそうです。玄関扉からの上には同じデザインの扉が2枚設置されています。白色にこげ茶色の扉がアクセントになっていますよね。

玄関に入ると正面に黒色の階段、その脇に白色の階段がありました。山田さんは犬と共生できる家を建築家に頼みました。黒い階段は2階へ続く犬用階段、白い階段は3階へ続く人間用階段となっています。

2階に上がるとそこには机と座布団が置いてありました。ご主人曰く「ワンちゃんのリビング」だとか。犬用のスペースとなっているんですね。壁だと思っていた引き戸を開けると…。奥にまだ部屋がありました。

リビングの引き戸を開けると、アリスちゃんとジャスミンちゃんが出迎えてくれました。犬用の部屋は「ワンちゃん用リビング」に留まらず、まだまだあったんですね。リビングの奥にあるのが寝室だとか。なんと山田さんは2階全体を犬専用フロアとして建築家に設計してもらっていました。

1階の寝室はご主人と奥さんのスペース。寝室は2階の犬用フロアと吹抜けでつながっているため、大切なワンちゃんがのぞきに来たりしてコミュニケーションを取れるのがうれしいですね。服や大きなものを入れるための収納スペースもあります。

洗面所にシンクが2つありました。丸型は人間用、長方形は犬用となっています。ここにもワンちゃんに対しての愛情が表れていました。人間用より犬用の方が大きいんですね。

3階の人間用フロアとなっていて居間兼食堂となっています。3階も2階の犬用フロアとつながりを持たせてるために、「ワンちゃん用リビング」が覗き込めるようになっています。

高台に建つ3階建てだけあって、眺望は抜群。眺めを楽しむための窓も設置されています。また、緑を楽しむための大開口もあります。眺望と大自然を同時に楽しめるんですね。大開口にはシナを使用したロールカーテンも設置されています。


石川 淳 (いしかわ じゅん)

1966年 神奈川県生まれ
1987年   建築模型を通して建築と出会う
1990年   東京理科大学工学部卒業
1990年   早川邦彦建築研究室
1993年   インターデザインアソシエイツに参加
2002年   J&T一級建築事務所設立
   
一級建築士事務所 J&T

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小さな家ですが、初めて訪れる人々にとっては想像をこえた内部の広がりを持つ家のようです。施主夫婦と2匹の犬たちは広がりのある小さな家を楽しそうに使いこなしています。

山田さんのお宅は解釈の仕方が色々あります。それは大きく2つあると思います。まずはペットとの共生。ここまで繊細な感性で、犬の気持ちになって建てられたお宅というのは初めてです。そして、緑との関係。原生林に近い山と草原があります。この緑を味わうための創意工夫がなされています。前面道路から家まで急な階段になっていますが、上がってきた甲斐がありましたね。